ついに、ついに、シナリオ50本書き上げて、シナリオ学校卒業です!原稿用紙500枚分。我ながらよくがんばった!予定より少しばかり時間が掛かったけど(約4年も掛かってしまった)……。

最後の課題は時代劇。苦労したけど、なんとか形にはなったかと。言葉使いは難しくて、ぶれてます……。

内容は結構評判よくて、今までで一番さわやかなシナリオだというご評価いただきました!ぐちゃぐちゃに人殺したり、精子飛ばしたり、そんなシナリオばかりだったので、納得。

それで、内容的には、柱(お話の舞台となる場所)が一本しかない、演劇のようなスタイルです。でも、飽きさせないよう、いろいろ工夫しました。映像シナリオのスタンダードからはかなり外れてますが、毎度のことで、そこが自分の持ち味かと思います。
時代劇の定番は勧善懲悪の痛快なお話だけど、自分、そんなこと書いてもたいして上手に書く自信もないし、他に上手な方がたくさんおられるので、そちらの方向は、上手な方にお任せして、自分は書きたいものを自由に書く。

それで、何が書きたいか、をよく考えてみた。うーん……。雰囲気、空気感、それが一番大事。それを掴めばある程度は書ける。書く自信がある。なので、そのことを念頭に、はじめの数ページ以外は流れで書きました。毎回そんな感じ。細かい構成は考えない!出だしの雰囲気を掴むことに全神経を費やす!

書き始めるコツをだいたい掴んだので、シナリオはもう卒業!今のところ、今後書く予定はないです。これからは小説との格闘がスタート!
一区切りつき、すっきりした気持ちでチャレンジできる。35歳の誕生日前に終えられてよかった!ボランティアにも気持ちよく行ける!嬉しい!


長々と書きました……。本編どうぞ!





課題:時代劇
タイトル:花より団子



人物
山口権兵衛(33)浪人
山口二郎兵衛(31)浪人
山口花(13)権兵衛の娘






○山奥の里・田んぼ
   のどかな山奥の山村。周りを山々に囲まれ、平地には一面、田んぼが水を湛え日に輝いている。田にはまだ淡い緑色をした稲の苗が太陽に向かってその葉を元気に広げている。山口権兵衛(33)が畦に座ってキセルを燻らせている。
   山口二郎兵衛(31)があわてた様子で全速力で走ってくる。
二郎兵衛「あ、兄上!大変だ!いよいよ徳川が大坂を攻めるらしいぞ!」
権兵衛「ほう、そうかい」
二郎兵衛「そうかい、じゃなかろうて!戦じゃぞ、戦!関ヶ原以来の大戦じゃ!」
権兵衛「そうかい」
二郎兵衛「だから、そうかい、じゃなかろうて!兄上、戦と聞いて血が騒がんのか!」
権兵衛「騒がんのう」
   権兵衛、たばこを燻らせ、大きく煙を吐き出す。
二郎兵衛「どうしてじゃ、兄上!あんなに戦を待ちわびてたじゃねえべか!わしら、いつか関ヶ原の借りを返そうと誓ったじゃねえべか!指切りしたじゃろが!」
権兵衛「ふん!忘れたわ、そんな遠い昔のこと。何年前じゃ。もう十五年も前のことじゃ。わしゃ、もうどうでもいいわ。百姓暮らしで充分じゃ」
二郎兵衛「何言うとる!いつまでも田なんぞ耕してるばあいじゃなかろう、兄上!わしらは落ちぶれても武士じゃぞ!このままこうして鍬をかかえて死んでよかろうはずがないべ!たとえ死ぬなら、わしらの死ぬる場所は戦場以外にありはせん!」
権兵衛「わしら、と言うな!わしゃ、まだ死なんぞ!お花が嫁に行くまで、わしゃ死なんと決めたのじゃ!」
二郎兵衛「何言うとる、兄上!お花ももう十三じゃ、武家の娘として、きっと、いつ父が死のうと覚悟は出来とるわ!」
権兵衛「何が武家じゃ!見てみい!上から下まで骨の髄まで百姓そのものじゃ!」
   権兵衛、大げさに二郎兵衛の方を見る。
二郎兵衛「そりゃ、戦がなけりゃ、食うために田でも畑でも耕さにゃならん。そう見えて当然じゃ。でもわしらの心の奥には武士としての魂が染み付いとるんじゃ。だから、ひとたび戦が起こりゃあ、鍬を捨て、戦場に駆けつけにゃあならんのじゃ!」
権兵衛「ばかこけ!そんな決まりありゃあせん!行きたくなけりゃ行かんでいいんじゃ。わしらは浪人ぞ!」
二郎兵衛「うぐぐ……」
   二郎兵衛、悔しそうに唇を噛む。
権兵衛「考えてみい。どう見ても、もはや天下は徳川のものぞ。いくら豊臣でも徳川に敵いわせぬ。味方がおらねばの……」
二郎兵衛「うぐぐぐぐ……」
   二郎兵衛、すごく悔しそうにじたんだを踏む。
権兵衛「二郎兵衛、武士なら戦況をちったあ見んかい!」
   うなだれてしゅんとする二郎兵衛。
権兵衛「無駄に命を捨てることなかれ」
   山の方からカラスの「あほー、あほー」という鳴き声が聞こえる。
権兵衛「ははは、それみい、わしらカラスにばかにされとるわ」
   二郎兵衛、さらにしゅんとして小さくなる。権兵衛、包みを開き、にぎりめしを取り出し二郎兵衛に勧める。二郎兵衛、受け取って権兵衛の隣に座る。ふたり、無言でにぎりめしをほおばる。
権兵衛「なあ、いい天気だなあ。空がきれいだぞ。おらあこんなに青い空見るの初めてじゃ。二郎兵衛、ここで暮らすのも悪くねえじゃあねえか。今更武士に戻ってどうする。ここ十年、ろくに稽古してねえべ、わしら。すっかり百姓の生活が染み付いとるべ。きっとわしらが行ったところで無様に切られて死ぬるだけじゃ。武士らしく死ぬることもできぬのやもしれん。ならここで、妻と子供と一緒に田を耕すことも悪くねえじゃあねえか!」
   無言で膝を抱えて、落ち込んだ表情で田んぼの水面を見つめる二郎兵衛。
二郎兵衛「でもよう……、でもよう……。父上に、死んだ父上に申し訳がたたねえべ……。命がけでわしらを逃がしてくれた父上に何て言えばいいんじゃ……」
権兵衛「何を言う。父上はわしらに、無事でいろよ、と言っとったじゃなかろうて。何も言いわせぬ、父上も」
二郎兵衛「そうかのう……」
権兵衛「そうじゃ、きっとそうじゃ……」
   権兵衛も少し落ち込んだ表情になる。しばらく黙って座り続けるふたり。
権兵衛「二郎兵衛、久方ぶりに稽古するか!」
二郎兵衛「でも、戦には行かんと……」
権兵衛「アホたれ!戦に行かなくとも稽古してよかろうて!なにごともはなから決めて掛かるでない、と、いつも言っとろうが!」
   権兵衛、山の方に歩いて行き、適当な長さの棒切れをふたつ拾ってきて、二郎兵衛の前に差し出す。
権兵衛「好きな方を選べ」
   二郎兵衛、一本を選び、構える。
権兵衛「思い切り掛かってこい!手加減はせぬぞ!」
   二郎兵衛、真剣な目つきになる。
二郎兵衛「望むところ!」
   権兵衛と二郎兵衛、お互い棒切れを構え、間合いを取る。呼吸を整えじりじりと間合いを詰めるふたり。二郎兵衛、しびれを切らせて、権兵衛に襲い掛かる。
二郎兵衛「いやーー!!」
   権兵衛、襲いかかる二郎兵衛の太刀を素早く弾いていなす。二郎兵衛、向き直り、諦めず再び権兵衛に向かって行くが再びいなされる、それでも諦めずに向かっていく二郎兵衛。権兵衛、二郎兵衛の気迫に押され、二郎兵衛の太刀を受け止める。絡み合う棒切れを挟んで、二人の視線が交差する。お互い、気迫のこもった目つきで睨み合う。と、権兵衛の表情が歪む。
権兵衛「卑怯な……」
   二郎兵衛の足が、権兵衛の足を踏みつけている。
二郎兵衛「兄上、甘いぜ!戦場で卑怯も糞もあるものか!」
   二郎兵衛、そのまま権兵衛を押して行き、田んぼに突き落とす。権兵衛、尻餅を突いて下半身が泥まみれになる。
二郎兵衛「ははは!兄上、わしの勝ちじゃ!」
権兵衛「いててて……」
   二郎兵衛、少し心配そうな顔になる。
二郎兵衛「兄上、大丈夫か……?」
   二郎兵衛、権兵衛に手を差し出す。権兵衛、その手を掴むと、思い切り引っ張り、二郎兵衛を田んぼに落とす。二郎兵衛は顔から田んぼに落ち、全身泥まみれになる。権兵衛、すかさず起き上がり、棒で二郎兵衛の頭を叩く。
権兵衛「はははは!油断したな!戦場ではなんでもありと、お前が言ったのだぞ!わしの勝ちじゃ!」
二郎兵衛「何を!まだまだ!」
   二郎兵衛、棒を捨て、権兵衛の顔に泥を塗る。
権兵衛「あ!この!やりおったな!」
   権兵衛も負けじと、二郎兵衛の顔に泥を塗る。ふたり、子供の様に取っ組み合う。
花の声「父上!叔父上!何をしているのですか!」
   花の声を聞き、権兵衛と二郎兵衛、その場で固まって、恐る恐る振り返る。ふたりの視線の先には頬を膨らませて恐い目つきで権兵衛と二郎兵衛を睨みつけている山口花(13)が腕組みをして立っている。
権兵衛「お、お花……」
   お花と目が合い、気まずそうな権兵衛。
権兵衛「な、何って、見りゃあ、分かろうに……。久方ぶりに剣の稽古じゃ……。わしらもこれでも武士の端くれだからな……」
   益々、気まずそうな、権兵衛。権兵衛の困った様子を見て苦笑いの二郎兵衛。
花「これの、どこが剣の稽古ですか!花には泥遊びにしか見えませぬ!」
   しゅんとするふたり。
花「まったく……。一生懸命に仕事をしているかと思って、母上と団子を作って持って参ったのに。この様子じゃ、団子は要りませぬな!帰って母上とふたりで食べます!母上には、泥遊びで忙しくて団子どころじゃなさそうでしたとご報告致しておきます!じゃあ!」
   花、怒って元来た道を引き返す。権兵衛と二郎兵衛、慌てて起き上がり、花のもとに駆け寄る。
権兵衛「は、花!は、母上には内緒にしておいてくれ!な!な!頼む!」
   権兵衛、手を合わせて、懇願する。
花「父上!泥が着物に付きます!」
   尚も懇願する、権兵衛。
花「わかりました。母上には内緒にします。ただし、条件があります」
権兵衛「条件?何じゃ?」
花「新しい髪飾り買ってくだされ」
権兵衛「髪飾り?」
花「この前、町のお店で父上と一緒に見た赤い飾りの付いた髪飾りが欲しいのです」
権兵衛「あ、あれか……。あれはちと値が張るのう……」
花「じゃあ、今日のことは母上に申し上げます……!」
権兵衛「わ、わかった!今度買ってやるから、母上には言わんでくれ!」
   花、笑顔になる。
花「父上、約束ですよ!」
   花、小指を出して指切りのポーズ。権兵衛が渋々小指を胸の前に出すと泥の付いた権兵衛の小指にちょんと触れる。
二郎兵衛「ははは!兄上、お花には敵わぬなあ!さあ、団子食べよう、お花!」
   三人、畦道の草の上に座って笑顔で団子を食べる。

(おわり!)
以前書いたシナリオ「リアル」を書き直したものです。

サスペンスの課題で書いたのだけど、サスペンスになっていない、との先生のコメントをいただき、サスペンスとはなんぞや、と、自分自身に問いながら書き直しました。






課題:サスペンス
タイトル:トランス(仮)

人物
高橋明(28)編集者
田中太郎(28)無職
佐藤祐次(38)小説家
田中鮎子(28)会社員・田中の妻
鈴木夕子(27)佐藤秘書




○電車・中
   田舎のローカル線。人はまばら。客は観光客と思われる人たちが数人。高橋
   明(28)が四人掛けの席に一人で座っている。スーツを着た高橋の姿はひ
   とり浮いている。高橋、つまらなそうに景色を眺めている。のどかな郊外の
   田園風景。遠くに時々海が見える。輝きながら揺れる海面。高橋、内ポケッ
   トからピルケースを取り出し、中の薬を幾つか口に含み、お茶で流し込む。

○駅・外観
   田舎の駅。小さな駅前ロータリーとコンビニ。数件の商店と土産屋。改札か
   ら高橋が出てくる。時計を見てタクシーに乗り込む。

○佐藤の家・外観
   山の中腹に建つ近代的な建物。家の前にタクシーが止まる。

○佐藤の家・応接間
   高橋が緊張した表情でソファーに座って原稿を読んでいる。佐藤祐次(38)
   が入ってきて高橋の向かいに座る。高橋、少し言葉を詰まらせて、
高橋「あ、せ、先生、すごくいいです、今回も。い、今までとはがらりと変わって
 いて新鮮です」
佐藤「読者を飽きさせないように、常に新しいチャレンジをする。それが自分に課
 したノルマだからね」
   鈴木夕子(27)が紅茶のセットを持って入ってくる。カップに紅茶を淹れ、
   佐藤の前に置く。高橋にお代わりを勧める。恐縮した表情でお代わりをもら
   う高橋。扉の前でお辞儀をして部屋を出て行こうとする夕子の目と高橋の目
   とが一瞬合う。
          ×   ×   ×
   窓から差し込む光がオレンジ色に染まり始めている。佐藤と高橋が打ち合わ
   せを続けている。夕子が入ってきて、挨拶をして出て行く。佐藤、夕子が玄
   関から出るのを確認し、話を切り出す。
佐藤「最近よからぬ噂を耳にしてね。街で君と夕子くんが腕を組んで歩いているの
 を見たと、編集部の鈴木くんから聞いてね。高橋くん、君、まだ夕子と関係を
 持っているのかね?忠告したはずだけどね。さて、どうしよう。編集長に相談し
 ようとかと思っているんだけど、高橋君、何か言うことはあるかね?」
   高橋、うろたえて、佐藤と目を合わせられず、下を向く。
高橋「な、何かの間違いかと思います……。心当たり思い浮かびません」
佐藤「そうか。これでもかね?」
   高橋、ポケットを探る。

○駅前の喫茶店・外観(夜)
   地味な喫茶店。夕子がお茶を飲んでいるのが見える。高橋が店に入って行
   く。夕子の向かいに座る高橋。

○心療内科・外観
   目立たない裏通りの普通のビル。高橋が中に入って行く。

○心療内科入り口
   いろいろなテナントが入るビルの廊下。その中のひとつの入り口に「中央メ
   ンタルクリニック」の文字。高橋が入って行く。

○心療内科・待合室
   静かな室内。田中太郎(28)が座って日本史の本を読んでいる。その隣で手
   帳をじっと見つめている高橋。手帳の間から紙片が田中の前に落ちる。高橋
   と夕子が仲良く腕を組んだ写真。田中、拾って高橋に渡す。高橋、一瞬焦る
   が、焦る必要のないことに気づく。高橋、礼を言い、写真を手帳に挟み、内
   ポケットに仕舞う。高橋、田中の読んでいる本を見て、
高橋「幕末、好きなんですか?」
   田中、少しおどおどして、小さな声で頷いた後、無視するように、また本を
   読み出す。それ以上話すのを諦める高橋。田中の名前が呼ばれる。田中、雑
   誌を鞄に仕舞い、診察室に消える。高橋、何かに気づく。ソファの田中の
   座っていた辺りに青いカードのようなものが落ちている。高橋、それを手に
   取る。「自立支援医療受給者証(精神通院)」と記入されている。高橋、中
   を見ると通院履歴がびっしりと記録されている。高橋、少し考えてから、辺
   りを見回す。高橋の方を見ている人はいない。高橋、携帯を取り出し、名
   前と住所などを写真に撮る。咳をしてシャッター音をごまかす高橋。高橋、
   撮影するとカードを元の場所に戻す。少しして、田中が戻ってくると、今気
   づいたふりをして、
高橋「それ、違います?」
   田中、受給者証を拾って小さな声で「どうも」と、いうような感じの礼を言
   い、鞄に仕舞う。

○高橋の家・ベッドルーム(夜)
   高橋、自分と夕子の写った写真を睨みながらベッドでなにやら考えている。
   ふと時計を見ると三時を過ぎている。枕元の薬を口に含み、水で流し込み、
   電気を消す高橋。

○(夢)マンション・リビングルーム(夜)
   ぼやっとした感じの映像。田中が夕子と酒を飲んでいる。夕子、胸元の露わ
   な服装をしている。夕子、酔った感じで田中にもたれ掛かる。夕子、田中に
   酒を勧める。田中、一気に飲み干す。少しして急に眠そうな表情になり、
   眠ってしまう田中。

○森の中の国道
   森の間を真っすぐに延びる一本道。シルバーの高級セダンが一台走ってく
   る。運転席に田中の姿が見える。

○車内
   考ごとをするように、難しい顔で運転をしている田中。

○(回想)佐藤の家・リビングルーム(朝)
   窓から朝日が注ぎ込んでいる。辺りはとても静まり返っている。周りの森か
   ら時々、小鳥のかわいらしいさえずりが聞こえる。映画のワンシーンのよう
   な夢のような穏やかな朝の時間。
   入り口近くに血まみれの田中が俯せに倒れている。田中の右手には血まみれ
   の金属バットが握られている。
   田中、目を覚まし、部屋の中をぐるりと見回し、机の下で視線を止める。田
   中の視線の先には半分頭の潰れた佐藤の死体が仰向けに倒れている。田中、
   それが何なのか理解できないといった様子で目をぱちぱちとさせ、手で何度
   も目をこする。やがて、田中は自分体の異変に気づく。田中の体は血まみれ
   で、右手にはどろりとした赤黒い血の付いた金属バットを握っている。田中
   はゆっくりと身を起こして、その場に座り込む。田中、気分が優れない、と
   いった感じで、それだけの動作をするだけでもかなり大変そうな様子。
   ただ呆然と目の前の光景を眺め続ける田中。白い壁に付着した血と肉片。死
   体の周りに広がる赤黒い血溜まり。田中は何度も佐藤の死体と手に握った金
   属バットとを交互に見直すが、一向に事態を把握することはできない様子。
田中「いったい、これはなんだ……? これは俺がしたことなのか……!?」
   田中、再び右手に握った金属バットと佐藤の死体とを交互に見る。そして目
   をつぶってしばらく何かを考える。やがて田中は、左手の拳でこめかみの辺
   りを強く押さえる。拳を回してぐりぐりと、何度も何度も繰り返す。
田中「だめだ!何も思い出せない……」
   田中、金属バットをその場に置き、立ち上がる。机のそばに行き、死体をし
   ばらく見つめてから、机の上に目をやる田中。田中の視線の先にはノートパ
   ソコンとプリントアウトされた小説原稿の束。それらをしばらく見つめる田
   中。原稿の初めに『佐藤祐次』の文字。田中、原稿の束を手に取ってざっと
   目を通す。
田中「小説家……?」
   田中、原稿を置き足下の死体に見をやる。そして、本棚の前に歩いて行く。
   本棚には背に「佐藤祐次」と書かれた小説がたくさん並んでいる。
   机の上の電話のベルが鳴る。ビクッとして驚く田中。恐る恐るベルの音のす
   る方を振り返る田中。田中、電話を見つけ、しばらく見つめ続ける。鳴り止
   む気配のないベルの音。田中、ゆっくりと電話に近寄り、電話の前で右手を
   宙に上げ、受話器を取るべきか取らざるべきか、と逡巡する。なおも鳴り続
   けるベル。田中、意を決して、受話器を取る。
高橋の声「もしもし、高橋です。今、駅に着きました。あと、三十分位で行きます
 ので……。先生、佐藤先生? もしもし? 聞こえてますか……?」
   田中、慌てて受話器を置く。少しの間、その場でじっと何事か考え込む田
   中。田中、改めて、部屋の中をぐるっと見回すが、目的のものは見つからな
   い様子。田中、何かを思いつき、足早に机まで駆け寄り、着ているTシャツ
   の裾を伸ばし、指紋が付着しないように引き出しを開け、中を物色する。二
   段目の引き出しで車のキーを見つけ、ポケットに入れる田中。田中、踵を返
   して出口から足早に部屋を出て行く。
    以下回想

○佐藤の家・廊下(朝)
   田中、急いで、しかし、指紋が付かないよう服で手を覆って、部屋の扉を
   次々と開けては中をのぞき込み、何部屋目かで中に入って行く。
   
○佐藤の家・クローゼット部屋(朝)
   大きなクローゼットのある部屋。田中が入ってきて、クローゼットの中を物
   色し、適当な服を選んで血まみれの自分の服と着替える。脱いだ服を持って
   出て行く田中。

○佐藤の家・リビングルーム(朝)
   田中が入ってきて、手に持っている服で部屋中を拭く。特に自分の倒れてい
   た辺りを念入りに拭く田中。血走らんばかりの田中の目。

○佐藤の家・庭(朝)
   田中の乗ったシルバーの高級セダンが走り去って行く。
    回想終わり

○元の車内
   難しい顔で運転している田中。

○森の中の国道
   走り過ぎる田中の車。

○森の中の国道(夕)
   空が夕日に染まっていく。国道脇の森の奥はすでに暗闇に包まれている。田
   中の車が国道を走り抜けてゆく。

○国道沿いのみやげ物屋・駐車場(夜)
   国道沿いにぽつんと建っているみやげ物屋。近所に他の店は無く、見渡す限
   り森と道路だけである。空は雲に覆われ、ほとんど月は見えない。辺り一帯
   は真っ暗で、既に店のシャッターは閉じられている。店の前には、乗用車十
   数台程が止められるスペースを持つ駐車場がある。駐車場の端に数台の自販
   機があり、僅かに辺りを照らしだしてくれるおかげで、なんとか、駐車場の
   真ん中にぽつんと一台車が止まっていることが確認できる。車内には、運転
   席のシートを倒して、眠っている田中の姿が僅かに見える。

○車内(夜)
   腕を組み、険しい顔で眠っている田中。

○(夢)佐藤の家・リビングルーム(朝)
   現実感を伴うクリアでリアルな映像。
   今にも雨が降り出しそうな薄暗い空からは、ほとんど光が差し込んでこな
   い。
   田中、右手に金属バットを握り、座ってただ、頭の潰れて横たわっている佐
   藤の死体を見つめている。
   田中の背後から物音がする。田中が振り返ると、少し開いた扉の向こうに田
   中鮎子(28)が立っているのが見える。
田中「鮎子……」
   僅かなドアの隙間を通して、鮎子と田中の目が合う。鮎子はしばらく田中の
   目を見つめてから、田中と死体とを交互に見る。何度も何度もそれを繰り返
   す鮎子。
   やがて、事態を把握し、凄い声で悲鳴を上げ勢いよくドアを閉めて廊下を
   走って行く鮎子。田中、慌てて後を追う。
   
○(夢)佐藤の家・廊下(朝)
   必死で逃げる鮎子と、必死で追いかける田中。
田中「ちょ、ちょっと待ってくれ!鮎子、俺の話を聞いてくれ!なあ、鮎子!」
   田中、鮎子に追いつき、腕を掴む。鮎子、両手で頭を覆い、怯えてその場に
   座り込む。鮎子、目をつぶって下を向き、ぶるぶると体を震わせている。鮎
   子、泣きそうな声で、
鮎子「やめて!私に指一本触れないで!」
   鮎子、田中の手を強く払い除ける。
鮎子「助けて……。殺さないで……」
   田中、しばらく鮎子の様子を見てから、やっと、自分が金属バットを振り上
   げていることに気付く。しばらく、金属バットを見つめる田中。金属バット
   がぶるぶると震えながら緩やかに下ろされる。
鮎子「なんで、なんで……。どうして太郎はいつもそうなの……。もうこれ以上私
 を苦しませないで……。お願い、お願い……」
   鮎子、嗚咽を上げてすすり泣く。顔をくしゃくしゃにして、よだれを垂ら
   し、鼻水が垂れる鮎子。取り乱した鮎子の姿は滑稽である。
   田中、鮎子の姿をじっと見つめている。
   外から激しい雨音が聞こえ始める。明かり取りの窓に轟音と共に大粒の雨が
   吹き付ける。稲光が光る。田中の腕に力が入る。田中の頭上に再び振り上げ
   られる金属バット。金属バットが勢いよく振り下ろされる。田中の顔に血が
   飛び散る。

○元の車内
   田中、飛び起きる。顔全体に大量の汗をかき、体全体を使って必死に酸素を
   体内に取り込む。田中、大きく目を見開いている。暗闇に光る田中の瞳が
   ゆっくりと助手席の方を見る。助手席には血の付いた金属バットとTシャツ
   が転がっている。自販機の光に、鈍く輝く金属バット。
田中「まさか、鮎子を殺したなんてことはないよな……」
   震え出す田中の体。


(つづく?)
苦戦していたホームドラマを、なんとか書き上げたのだけど、今日は発表希望者が多くて発表できませんでした。残念!消化不良だけど、気持ちを切り替えて、明日から次の課題に取り組もうと思う。
今回の内容は、どうだろうか……。退屈かもしれないけど、これが精一杯……。無理に盛り上げることは狙うところではないので、まあ、仕方がない。書き続ければ自然と盛り上がるときは盛り上がるだろうし、そのままいっちゃうこともあるだろうし。流れに身を(指を)任せる次第です。





課題:ホームドラマ
タイトル:ある夏の記憶


人物
吉岡京子(15)中学3年生
吉岡耕造(46)会社員・京子の父
吉岡秋子(46)パート従業員・京子の母
吉岡明(21)大学3年生・京子の兄
吉岡佑治(13)中学1年生・京子の弟
小学生の男の子たち
図書館の警備員






○図書館・外観
   真夏の抜けるような青空。ぎらぎらと照りつける太陽。図書館入り口脇の花
   壇には、鮮やかな緑色の葉をたたえ、はつらつ元気とした黄色のひまわりの
   花が咲いている。花壇のブロックに座ってアイスを食べている小学生の男の
   子たち。風に揺れるひまわり。

○図書館・学習室・中
   黙々と勉強をしている学生たち。その中に混じって吉岡京子(15)も必死に
   勉強をしている。京子、ふと手を止めて窓の外を眺める。花壇のひまわりの
   黄色と緑色との隙間から見える、楽しそうな小学生の男子たちの表情。
京子のN「この年の夏、私は高校受験を控えた中学三年生だった。毎日、受験のこ
 とを考え、不安で胸が張り裂けそうだったと記憶している。今にして思えば、た
 いしたことではなかったようにも思えるのだけど、きっと当時の私には一大事
 だったのだろう。
 でも、なぜか、受験のことはあまり覚えてなくて、当時のどうでもいいことに
 限って鮮明に覚えていたりする。たぶん、そんなどうでもいいと思える記憶の方
 が私にとって案外、大切な記憶なのかもしれない」
   一人の男子が腕時計を気にして家に帰って行く。その他の男子たちも次々と
   帰途に着く。取り残されたひとりの男子が友達の後ろ姿に寂しく手を振っ
   た後、ウエストポーチからゲーム機と菓子パンを取り出し、ゲーム機のス
   イッチを入れ、菓子パンの袋を開け、口にくわえる。寂しそうな表情でその
   姿を見つめる京子。

○図書館・外観(夕)
   夕日に染まる空。浮かび上がる図書館のシルエット。

○図書館・学習室・中(夕)
   誰も居なくなった室内。京子が窓際に一人ぽつんと座っている。まだ机の上
   に教科書などが開かれている。警備員の男が忘れものなどをチェックしに来
   る。警備員、京子に気づく。
警備員「ごめんね。もう閉館なんだ」
京子「すみません。すぐ片付けます」
   力のない表情の京子。京子、急いで片付けて部屋を出て行く。警備員、気に
   なる様子で目で追う。

○図書館近くの道(朝)
   青い空。朝の柔らかな光が、歩く京子を照らす。

○図書館・入り口・前(朝)
   入り口自動ドアのガラスの向こうに立て札が立っている。
   『本日、書庫整理のため休館いたします。』の文字。
   胸に鞄を抱えたまま、立ち尽くす京子。

○吉岡家・外観
   古い平屋建ての日本家屋。辺りに響く蝉の声。

○吉岡家・庭
   縁側のある、美しい庭。小さいながら、緑が濃い。たわわに実った大きな夏
   みかんの実。手入れの行き届いた植木は、強い日差しに照らされて、心持ち
   元気がないように見える。庭の端にある、小さな池の金魚は日向を避け、水
   草の陰でじっとしている。
   縁側のひさしの陰で京子が日本史の参考書を読みながら、スイカを齧ってい
   る。京子は口の中で種をより分けて、勢いよく庭に飛ばす。京子の後ろに見
   える居間の中はがらんとしている。部屋の隅に積み上げられた段ボール箱。
   幾つかの箱の口は開いていて、荷物が幾らか詰め込まれている。
   吉岡耕造(46)と吉岡明(21)が額に汗して、荷物を段ボール箱に詰め込ん
   でいる。吉岡佑治(13)が荷物を詰め込む手を止め、NHKの高校野球中継
   に見入っている。テレビの前を段ボール箱を抱えた吉岡秋子(46)が通る。
佑治「(鹿児島弁で。以下吉岡家の会話は全て鹿児島弁)母ちゃん!ホームランの瞬
 間見逃したじゃん!」
秋子「まったく!こっちはあんたの荷物まで手伝ってんだよ!テレビ見てる暇が
 あったらさっさと片付けなよ!」
   秋子、縁側の京子の後ろを通って別の部屋に荷物を運んで行く。秋子、京子
   をちらっと見るが何も言わない。京子も知らんぷりをして参考書を読んでい
   る。荷物を置いて戻ってくる秋子。秋子、庭の植木に目をやる。
秋子「あら、大変。植木が枯れちゃう!」
   秋子、縁側から庭に降り、サンダルを突っかけ、水道でバケツに水を汲み、
   植木に水をかける。一通り水をかけ、ふと、感慨深い表情になる秋子。
秋子「せっかくここまで育てたけど、全部は持って行けないね……」
   寂しそうな表情で植木を眺める秋子。
京子「東京なんて行くことないよ、お母さん。私とお兄ちゃんと一緒におばあちゃ
 んとこに行こうよ。その方が、きっとおばあちゃんだって喜ぶよ。一人じゃ寂し
 いもん、おばあちゃん」
明「お前、まだ、そんなこと言ってるのかよ!大学卒業したら、きっとそっち行く
 から、お前は素直にみんなと東京行けよ!」
京子「やだ!」
明「みんな心配するするだろ!余計な心配掛けるな!」
   耕造、表情が険しくなる。
耕造「京子!」
   耕造を睨みつける京子。京子と耕造、そのまましばらく睨み合う。京子、そ
   の場を立ち、家の奥へと歩いて行く。秋子、京子の背中に向かって、
秋子「京子、そんなわからないこと言うものじゃないよ。あんたも、もう十五なん
 だから、受験勉強と引越しで大変なのは分かるけど、少しはお父さんの気持ちも
 考えてあげなさいよ」
   無視して歩いて行く京子。苦々しい表情で京子の後ろ姿を見つめる耕造、秋
   子、明、祐治。

○京子の部屋
   片付け途中といった感じの部屋。散乱する荷物。扉が開き、京子が入ってき
   て、ベッドにうつ伏せに倒れる。京子、顔をシーツに伏せたまま泣いてい
   る。京子が少し顔を上げるとシーツに涙がこぼれ落ちる。
京子「そんなことわかってるよ……。でも……、でも……」
   京子、手の甲で涙を拭く。

○吉岡家・居間
   耕造、秋子、明、祐治、京子の部屋の扉を見つめている。無言。耕造、庭の
   秋子に向かって、
耕造「母さん、飯にしよう」
秋子「そ、そうね、今用意します」
   秋子、サンダルを脱ぎ、縁側から台所に向かう。気まずそうに座っている明
   と祐治。

○京子の部屋
   京子、ベッドの上で仰向けになり、天井を見つめている。古い木の板の天井
   には、いろいろな形の木目や染みの模様がある。じっとそれらを見つめる京
   子。それらの模様の幾つかが、人間の顔、人間の怒った顔、のように見え
   る。京子、たまらず目をつぶる。
   扉をノックする音。
耕造「京子、昼飯だぞ」
京子「いらない。お腹空いてないの」
耕造「食べないと夏バテするぞ。そうめんだから少しくらい食べられるだろう」
   京子、涙を手で念入りに拭き、机の上の手鏡で顔を確認してから、部屋を出
   て行く。

○吉岡家・台所
   食卓を囲む京子、耕造、秋子、明、祐治。誰もしゃべらず、黙々とそうめん
   をすすっている。その音だけが部屋の中に響く。重い空気に堪り兼ねた様子
   で秋子が口を開く。
秋子「暑いわねえ。それにしても……。そうだ、午後から海に行こうよ、おとうさん。ドライブがてら。疲れたでしょ、みんな?たまには気分転換しましょう!」

○郊外の道路
   郊外の比較的広い真っ直ぐな国道。のどかな風景が広がる。山を背景に畑や
   田んぼが見える。ちらほらと見える民家に混じって郊外型のディスカウント
   ストアやチェーン展開の飲食店やらパチンコ店の派手な装飾の店舗が目につ
   く。白いファミリーワゴンタイプの車が走ってくる。

○車内
   カーステレオからFM放送で、古い歌謡曲が流れている。一番後ろの三列目
   の席で一人、京子が参考書を読んでいる。耕造が運転し、助手席には秋子が
   座っている。秋子、音楽に合わせて軽く指でリズムを取る。二列目の席では
   明と祐治が自分の近くの窓を全開にして別々に、お互いそっぽを向くよう
   に、つまらなそうに、景色を眺めている。そんな様子を参考書越しに時々見
   つめる京子。

○海岸・駐車場
   人がまばらな海水浴場。一件だけぽつんと建ったおんぼろの海の家。砂浜に
   隣接する駐車場。京子たちの乗った車が駐車場に入ってきて止まる。車内か
   ら荷物を持って京子たち全員が出てくる。日よけに被った麦わら帽子を飛ば
   されないように手でお押さえながら歩く京子と秋子。祐治が気持ちよさそう
   な声を上げて波打ち際まで走って行く。

(つづく?)
この前の土曜日に発表したシナリオです。課題はアクションドラマです。
アクションというイメージで考えたら、理不尽な銃撃を受けるシーンが浮かびました。どこだかわからないようなうらぶれた街で姿の見えない敵から狙われる。そのイメージと雰囲気を表現することを第一に考えました。研究室のシーンとかは後付けです。緩急を付けるという意味で。カーアクションも。

アクションシーンという意味では評判よかったです。うらぶれた、行き詰まった雰囲気も一部の人には伝わったようなので、よしとします。
あとは、書き切る、というのが課題です。それが一番重要で難しいんだけどさ。

シナリオは、二郎インスパイアー系ラーメンを食べた直後で、胸にまで上がってきそうなラーメンを必死に胃の中に押し戻しながら読みました。隣で、かわいらしい女の子が俺と同じ大盛りラーメンをひとりで食べていた(食べる前に携帯であらゆる角度から写真を撮っていた)のを見て微笑ましい、と同時に女性の時代だ、と感じたのは、おかしいだろうか?シナリオとは関係ないけどさ。






課題:アクションドラマ
タイトル:理不尽な仕打ち
目標:シュールさにほんの少しの物語性をプラス

人物
田中太郎(35)大学准教授
佐藤勇二(24)大学院生
吉田ハナ子(23)?





○大学キャンパス
   中庭のカフェテラスで楽しそうに話している学生たち。

○大学校舎内・廊下
   廊下の突き当たりに研究室の扉が見える。「文芸創作研究室」の表示。

○大学研究室・中
   白で統一されたシンプルな部屋。真ん中に割と大きな会議用のテーブルが置
   かれている。そのテーブルで佐藤勇二(24)がノートパソコンのキーを難し
   い表情で叩いている。田中太郎(35)が部屋の一番奥の窓際の机で本を読ん
   でいる。田中、本を閉じ、席を立ち、佐藤の向かいに座る。
田中「どうだい進み具合は? 順調?」
佐藤「だいたい書き上げたんですが、最後をどうまとめようか悩んでまして……」
   頭をかく佐藤。
田中「そうか。ふんばりどころだな。なんでも相談してくれよ」
   佐藤、微笑んでから、再びパソコンのキーを叩き始める。田中、何かを言い
   出そうか迷っている。やがて意を決して、
田中「佐藤君。今日、夢を見たんだ。鮮明なイメージで、内容は複雑に入り組んで
 いて、夢の中でまた夢を見る、という具合なんだ。そしてなにより、非常に現実
 感を伴う夢だった……」
   佐藤、手を止めて不思議そうな顔で田中の方を向く。田中、一瞬話を切るが
   再び話し始める。
田中「夢の中で私は、必死に考え、行動し、次から次へと起こる出来事に興奮し、
 一喜一憂した。そういう、夢の輪郭は鮮明に覚えているんだ。しかし、目を覚ま
 すと具体的な内容は一切思い出すことができず、ただ疲労感だけが体に残っ
 た……。
 今私は、こうして君と話をしているけど、明日、目を覚ましたら、このことを一
 切、何も思い出せないかもしれない、なんて思うのはおかしいだろうか……?」
   見つめ合う田中と佐藤。

○都会の雑踏
   都会独特のざわめき。交差点を世話しなく行き交う人々。信号が青に変わ
   り、一斉に動き出す車。

○都会の裏通り
   都会にしては奇妙なほどの静けさ。
   少しうらぶれた都会の裏通り。古い雑居ビルが立ち並んでいる。どのビルも
   全く違うデザインだが、区別するのは困難で、一度その前を通り過ぎたら、
   どんなデザインだったか、何色だったかさえも思い出すことはできない。そ
   の中のひとつのビルから田中が両手をズボンのポケットに突っ込み、口笛を
   吹きながら出てくる。         
   田中が出て来たビルは必要最低限の機能のみを満たしたシンプルな素っ気な
   い建物。
   田中は何かが気になる様子で口笛を吹くのを止め、その場で立ち止まって今
   出てきたビルの方を振り返り、見上げる。
   さほど高くないその建物を、田中は少し大袈裟とも言えるような態度で首と
   背中を捻り、しばらく見上げ続ける。その間も、辺りは不思議に静まり続け
   ている。
   静寂を破るように銃声がこだまする。乾いた鈍い音の後に、今、田中が出て
   来たビルの入口の強化ガラスが砕け散る。田中はその場に素早く伏せ、素早
   く辺りを見回す。空はどんよりと曇っている。くすんだ鉛色の雲。都会の淀
   んだ空気が集まり、なお一層と辺りが鉛色に染まる。
   田中、必死に不審な陰を探すが、近くの建物の窓や屋上に不審な人影は見当
   たらない。険しい田中の表情が段々と不安の表情に変わり始める。
   再び銃声。
   田中は身を低くしたまま十数メートル離れた白いクラウンのもとへ走り、リ
   モコン式のキーでロックを外す。素早く運転席のドアを開け、転がり込む田
   中。田中、急いでエンジンを掛け、車を急発信させる。十メートル程走った
   ところで銃弾がクラウンのタイヤを撃ち抜く。田中はハンドルを取られ、車
   はそのまま近くの電柱に突っ込む。
   フロントガラスに額を打ち付け、切り傷を負う田中。なおも容赦なく、次々
   と撃ち込まれる銃弾。車のリアと両サイドの窓ガラスが次々と砕け散る。田
   中、身を低くしながらドアを開け、車を出て、車の陰に隠れながらそっと頭
   を出して背中越しに銃弾の飛んで来る方の様子を窺う。田中は息を切らせな
   がら、怒りを込めて呟く。
田中「いったい、これはなんだ? なにが起こったんだ? なんで俺が命を狙われ
 るんだ!? 白昼、こんな無茶な方法で誰が俺の命を狙う……?」
   行き場のない怒りはさらに田中をいらだたせ、田中の顔はしわくちゃにな
   る。
   一台の赤いスポーツカーが猛スピードで走ってきて、田中の前に止まる。助
   手席のドアが開く。運転席から吉田ハナ子(23)が叫ぶ、
ハナ子「ぼーっとしてないで早く乗って!」
   銃弾が数発撃ち込まれる。ハナ子、身を低くして、田中に手を差し伸べる。   田中、その手を掴んで助手席に転がり込む。と、同時に車が発進する。その
   勢いで田中はバランスを崩し、開いたままのドアから落ちそうになる。
田中「うわっ、落ちる、落ちる!」
   ほとんど倒れた体勢で必死に踏ん張る田中。ハナ子、片手運転で巧みにハン
   ドルを捌きながら、もう片方の手でバランスを崩してだらしなく宙をさま
   よっている田中の足首を掴み、引っ張る。ハナ子、田中の安全を確認して、
   急ハンドルを切る。車が大通りに出る。急に飛び出したハナ子の車に驚き、
   後続車が事故を起こすが構わず走り去るハナ子の車。急ハンドルを切った反
   動で開いていたドアが閉まりかける。
ハナ子「ドア!ドア!手届くでしょ!」
   田中、先程の急ハンドルで、再び体勢を崩していてそれどころではない。ハ
   ナ子それを見て、
ハナ子「まったく。鈍いわね……」
   ハナ子、タイミングを見て助手席に身を乗り出す。ハナ子の短い、デニム生
   地のミニスカートがめくれて、すらっとして白い太ももが露出する。形の良
   い胸の膨らみが田中の顔に密着する。大胆に開いたピンク色のTシャツの襟
   からは胸の谷間とそれを包み込んでいる黒いレースのブラジャーが見えてい
   る。ハナ子は構わずドアを掴んで勢いよく閉め、素早く運転に戻る。田中、
   姿勢を立て直す。田中の表情はだらしなく半笑いになっている。田中、我に
   返り、恥ずかしそうに、
田中「ご、ごめん……」
   ハナ子、前を向いたまま冷たい声で、面倒くさそうに、
ハナ子「謝っている暇があったあら、シートベルトした方がいいんじゃない」
   田中、慌ててシートベルトをしようとするが金具がうまく入らない。それに
   構わず激しい運転をするハナ子。ハナ子、バックミラーに目をやる。
ハナ子「来たわ」
   田中もハナ子の視線を追って、バックミラーに目をやる。一台の黒いスポー
   ツカーが車の間を縫って追い上げてくる。映画のワンシーンのような神業的
   な運転。
田中「ねえ、これ夢なのかな……?」
ハナ子「だといいけどね」
   さらに勢いを増して近づいてくる黒いスポーツカー。
ハナ子「さーて、飛ばすわよ」
   アクセルを踏み込むハナ子。
田中「ちょ、ちょっと待って……」
   ハナ子、交差点を無理に右折する。対向車は急ブレーキで止まり、黒いス
   ポーツカーは行く手を阻まれる。田中、バランスを崩してドアに激しく頭を
   ぶつける。気を失う田中。

○大学研究室・中
   会議用のテーブルで、佐藤がノートパソコンに向かって文章を打ち込んでい
   る。扉が開く。眠たそうな表情で田中が入ってくる。佐藤、手を止めて、ふ
   らふらと歩く田中の姿を目で追う。田中、佐藤の向かい側に行き、テーブル
   の上に気怠そうに鞄を置き、座る。
佐藤「先生、昨晩はどうでしたか?また夢見ましたか?」
田中「……。見たよ」
佐藤「やはり、なにも覚えてないんですか?」
田中「覚えてないねえ……。ただ、言えるのは、前回よりも数段、疲れているって
 ことかな」
佐藤「先生、なにかひとつでも思い出せることはないんですか?」
田中「思い出せることねえ……」
   田中、額に手を当てて、目をつぶる。
田中「そうだ。高揚感のようなものを感じたなあ、いろいろな種類の高揚感を。それから、前の夢の続きのようにも思えるなあ……」
佐藤「高揚感、前の夢の続き……」
   パソコンに入力する佐藤。

(つづく?)
この前、授業で発表したシナリオです。
サスペンスです。難関です。ちょっとサスペンスじゃないかもしれないけど。。
余裕があったらもう一度書き直して、という感じの先生のコメントでした。。
難しいなサスペンス。

それと、毎回なことですが、小説の訓練をかねて、ト書きが長いです…。

近況は、長年愛用の眼鏡を踏潰されて、予備の黒縁眼鏡かけてます。そんな感じで日々過ごしてます。毎日寒いですね。バイク通勤にはつらい毎日。風防をつけたのでだいぶ楽だけど。オヤジくさいと思ってたけど、もうやめられない。
それから最近、頭痛持ちです。頭痛薬が手放せない。
村上春樹の雑文集いいですね。勉強になるなあ。




課題:サスペンス
タイトル:リアル

人物
田中太郎(28)無職
佐藤祐次(38)小説家(死体)
田中鮎子(28)会社員・田中の妻


今後登場予定?の人物
[高橋明(28)編集者]
[鈴木夕子(27)佐藤秘書]




○森の中の国道
   森の間を真っすぐに延びる一本道。シルバーの高級セダンが一台走ってく
   る。運転席に田中太郎(28)の姿が見える。

○車内
   考ごとをするように、難しい顔で運転をしている田中。

○(回想)郊外の家・リビングルーム(朝)
   山の中腹に建つ新しい洋風の家。まるでモデルルームのような、理想を現実
   にしたような印象を与える室内。部屋の中にふんだんに降り注ぐ朝のやさし
   い光が、映画のワンシーンを連想させる。
   装飾の少ないシンプルな部屋。吹き抜けの天井、クリーム色の壁、薄チョコ
   色のフローリングの床。家具は大きな木製の本棚がひとつと、モノトーンの
   作業デスクがワンセット。その他、生活に必要最小限のものだけが置かれて
   いる。入り口正面にある大きな窓がひときわ目に付く。眼下に広がる森と
   湖、そしてその向こうに小さく見える町並みが美しい。
   窓の左には、手入れの行き届いた広い芝生の庭がある。玄関先に見えるシル
   バーの高級セダンが、朝日に輝いている。近所にはちらほらと建物が見える
   だけで、辺りはとても静まり返っている。周りの森から時々、小鳥のかわい
   らしいさえずりが聞こえる。
   入り口近くに血まみれの田中が俯せに倒れている。田中の右手には血まみれ
   の金属バットが握られている。
   田中、目を覚まし、部屋の中をぐるりと見回し、机の下で視線を止める。
          以下回想
田中のN「その部屋で僕が気が付いたとき、辺りは血まみれで、僕の目の前には半
 分頭の潰れた男が倒れていた。初め、それが何なのか僕にはさっぱり理解できな
 かった。きっとこれは夢の中なのだ、とさえ思った。しかし、それは夢ではな
 かった。おそらく……。今もって信じられないが……。
 僕の体は血まみれで、右手にはどろりとした赤黒い血の付いた金属バットを握っ
 ていた」
   田中の視線の先、机の前に顔の潰れた男の死体。
田中のN「僕はゆっくりと身を起こして、その場に座り込んだ。それだけの動作を
 するだけでもかなり大変だった。体中がバラバラになりそうなくらい、ひどい筋
 肉痛だったのだ。そして、その部屋の光景を呆然と眺め続けた。その時、それし
 か僕には出来なかったのだ」
   白い壁に付着した血と肉片。死体の周りに広がる赤黒い水溜まり。
田中のN「僕は何度も男の死体と手に握った金属バットとを交互に見直したが、一
 向に事態を把握することはできなかった。それどころか、考えれば考える程、こ
 めかみの辺りがズキズキと痛むだけだった」
田中「いったい、これはなんだ……? これは俺がしたことなのか……!?」
   田中、右手に握った金属バットと男の死体とを交互に見る。そして目をつ
   ぶってしばらく何かを考える。やがて田中は、左手の拳でこめかみの辺りを
   強く押さえる。拳を回してぐりぐりと、何度も何度も繰り返す。
田中「だめだ!何も思い出せない……」
   田中、金属バットをその場に置き、立ち上がる。机のそばに行き、死体をし
   ばらく見つめてから、机の上に目をやる田中。田中の視線の先にはノートパ
   ソコンとプリントアウトされた小説原稿の束。それらをしばらく見つめる田
   中。原稿の初めに『佐藤祐次』の文字。田中、原稿の束を手に取ってざっと
   目を通す。
田中「小説家……?」
   田中、原稿を置き死体の背中に見をやる。そして、本棚の前に歩いて行く。
   本棚には「佐藤祐次」の小説がたくさん並んでいる。
   机の上の電話のベルが鳴る。ビクッとして驚く田中。恐る恐るベルの音のす
   る方を振り返る田中。田中、電話を見つけ、しばらく見つめ続ける。鳴り止
   む気配のないベルの音。田中、ゆっくりと電話に近寄り、電話の前で右手を
   宙に上げ、受話器を取るべきか取らざるべきか、と逡巡する。なおも鳴り続
   けるベル。田中、意を決して、受話器を取る。
受話器の声「もしもし、高橋です。今、駅に着きました。あと、三十分位で行きま
 すので……。先生、佐藤先生? もしもし? 聞こえてますか……?」
   田中、慌てて受話器を置く。少しの間、その場でじっと何事か考え込む田
   中。田中、改めて、部屋の中をぐるっと見回すが、目的のものは見つからな
   い様子。田中、何かを思いつき、足早に机まで駆け寄り、着ているTシャツ
   の裾を伸ばし、指紋が付着しないように引き出しを開け、中を物色する。二
   段目の引き出しで車のキーを見つけ、ポケットに入れる田中。田中、踵を返
   して出口から足早に部屋を出て行く。

○郊外の家・廊下(朝)
   田中、急いで、しかし、指紋が付かないよう服で手を覆って、部屋の扉を
   次々と開けては中をのぞき込み、何部屋目かで中に入って行く。
   
○郊外の家・クローゼット部屋(朝)
   大きなクローゼットのある部屋。田中が入ってきて、クローゼットの中を物
   色し、適当な服を選んで血まみれの自分の服と着替える。脱いだ服を持って
   出て行く田中。

○郊外の家・リビングルーム(朝)
   田中が入ってきて、手に持っている服で部屋中を拭く。特に自分の倒れてい
   た辺りを念入りに拭く田中。血走らんばかりの田中の目。

○郊外の家・庭(朝)
   田中の乗ったシルバーの高級セダンが走り去って行く。
      回想終わり

○元の車内
   難しい顔で運転している田中。

○森の中の国道
   走り過ぎる田中の車。

○森の中の国道(夕)
   空が夕日に染まっていく。国道脇の森の奥はすでに暗闇に包まれている。田
   中の車が国道を走り抜けてゆく。

○国道沿いのみやげ物屋・駐車場(夜)
   国道沿いにぽつんと建っているみやげ物屋。近所に他の店は無く、見渡す限
   り森と道路だけである。空は雲に覆われ、ほとんど月は見えない。辺り一帯
   は真っ暗で、既に店のシャッターは閉じられている。店の前には、乗用車十
   数台程が止められるスペースを持つ駐車場がある。駐車場の端に数台の自販
   機があり、僅かに辺りを照らしだしてくれるおかげで、なんとか、駐車場の
   真ん中にぽつんと一台車が止まっていることが確認できる。車内には、運転
   席のシートを倒して、眠っている田中の姿が僅かに見える。

○車内(夜)
   腕を組み、険しい顔で眠っている田中。

○(夢)郊外の家・リビングルーム(朝)
   現実感を伴うリアルな夢。
   今にも雨が降り出しそうな薄暗い空からは、ほとんど光が差し込んでこな
   い。
   田中、座ってただ、頭の潰れて横たわっている死体を見つめている。田中は
   血まみれではない。辺りも、死体の周りに僅かに血が流れているだけであ
   る。
   田中の背後から物音がする。田中が振り返ると、少し開いた扉の向こうに田
   中鮎子(28)が立っているのが見える。
田中「鮎子……」
   僅かなドアの隙間を通して、鮎子と田中の目が合う。鮎子はしばらく田中の
   目を見つめてから、田中と死体とを交互に見る。何度も何度もそれを繰り返
   す鮎子。
田中のN「そして、鮎子は出し抜けに、僕が今まで聞いたことのないような切実な
 悲鳴を上げた」
   悲鳴を上げ、勢いよくドアを閉めて廊下を走って行く鮎子。田中、慌てて後
   を追う。
   
○(夢)郊外の家・廊下(朝)
   必死で逃げる鮎子と、必死で追いかける田中。
田中「ちょ、ちょっと待ってくれ!鮎子、俺の話を聞いてくれ!なあ、鮎子!」
   田中、鮎子に追いつき、腕を掴む。鮎子、両手で頭を覆い、怯えてその場に
   座り込む。鮎子、目をつぶって下を向き、ぶるぶると体を震わせている。鮎
   子、泣きそうな声で、
鮎子「やめて!私に指一本触れないで!」
   鮎子、田中の手を強く払い除ける。
鮎子「助けて……。殺さないで……」
   田中、しばらく鮎子の様子を見てから、自分がいつの間にか右手に金属バッ
   トを握っていることに気付く。しばらく、金属バットを見つめる田中。
鮎子「なんで、なんで……。どうして太郎はいつもそうなの……。もうこれ以上私
 を苦しませないで……。お願い、お願い……」
   鮎子、嗚咽を上げてすすり泣く。顔をくしゃくしゃにして、よだれを垂ら
   し、鼻水が垂れる鮎子。取り乱した鮎子の姿は滑稽である。
   田中、鮎子の姿をじっと見つめている。
   外から激しい雨音が聞こえ始める。明かり取りの窓に大粒の雨が吹き付け
   る。
   やがて、田中の腕に力が入る。田中の頭上に振り上げられる金属バット。金
   属バットが勢いよく振り下ろされる。田中の顔に血が飛び散る。

○元の車内
   田中、飛び起きる。顔全体に大量の汗をかき、体全体を使って必死に酸素を
   体内に取り込む。田中、大きく目を見開いている。暗闇に光る田中の瞳が
   ゆっくりと助手席の方を見る。助手席には血の付いた金属バットとTシャツ
   が転がっている。自販機の光に、鈍く輝く金属バット。
田中「まさか、鮎子を殺したなんてことはないよな……」

(つづく?)
 昨日、久しぶりに、実に約半年ぶりに、シナリオを読みました。なかなかうまく医者の話が書けなかったので、開き直って、好きなように書いてみました。だから、あまり医者が活躍しないし、俺の好きな湖の話です。
 おまけに、シナリオと言うには語弊がある。小説、一人称で書かれた小説に近い。まあ、小説を書きたい気持ちなので、いいんだけど。
みなの評判はまずまずでした。思ったより好意的だったので、味を占めてしまいそう…。
 この、半年、再就職して転職して、と、いろいろな出来事があったり、なかなか気持ちが上がらなかったりと、書けない日々が続いたので、復帰作が書けて嬉しいです。書き方忘れかけてたよ、本当に。
 時間が許す方は読んで下さいね。




課題:医者
タイトル:池に潜る
              
人物
佐藤信二(33)内科医
鈴木光二郎(75)食堂主人




○山間の村
   大きな湖を囲むように広がる山間の静かな村。白いホンダのハッチバッ
   クが湖の脇の県道を走って来る。

○駐車場
   湖の畔の駐車場。白いハッチバックが止まり、中から、佐藤信二(3
   0)が降りて来る。辺りを見回す佐藤。近くに貸しボート屋や食堂や売
   店があるが、ひとけは殆どなく、ひっそりとしている。その中の一件の
   古い食堂に入って行く佐藤。

○食堂・中
   ひなびた雰囲気。店内は静まり返っている。入り口正面に大きな窓があ
   り、そこから湖が一望できる。窓際の席に鈴木光二郎(75)が湯呑みを手
   にして座って外を眺めている。
佐藤「こんにちは」
鈴木「ああ、佐藤先生。こんにちは。いつもお世話になります」   
   鈴木、佐藤の顔を見るとにっこりと微笑む。
佐藤「どうですか、お体の調子は?」
鈴木「ぼちぼちです、先生。良くもならなければ、悪くもならない。なんと
 か、毎日店を開けるだけの体力はあります。先生のおかげです。まあ、でも
 ご覧の通り客は殆ど来ませんが」
佐藤「でも、仕事をすることは良いことです。長生きの秘訣です」
鈴木「不思議なもので、こうしてお茶を飲みながら湖を眺めていると退屈しな
 いんです。いつまでだって眺めていられる」
   湯呑みを取り、ひとくちお茶を飲んで湖を眺める鈴木。鈴木、何かに気
   付いた様子で、
鈴木「失礼、先生にもお茶を入れてきます。先生、どうぞ座っていて下さい」
   鈴木、向かいの席を指差してから席を立ち、厨房に行く。佐藤、席に着
   き、お茶を入れている鈴木の顔を見る。とても穏やかな顔。佐藤、その
   顔をしばらく見つめてから湖を眺める。
   湖面は穏やかに小さなさざ波を立てている。さんさんと輝く夏の太陽が
   湖面に反射し、さざ波の具合によって時々、強く輝く。お盆に湯呑みを
   乗せて戻ってくる鈴木。鈴木、湯呑みを佐藤の前に置き、元の席に着
   く。
佐藤「鈴木さん、でもたまには散歩でもして体を動かさないとダメですよ。健
 康は丈夫な足腰からです」
   微笑みを浮かべる鈴木。
鈴木「先生、私は別に長生きなんてせんでもいいんです。寿命を全うするまで
 生きればそれで十分です」
佐藤「鈴木さん、何を言っているんです。まだ頼りないかもしれないけど、こ
 れから私、がんばりますから長生きして下さいよ!」
   小さく微笑む鈴木。
鈴木「先生はまだ若い。やりたいことを何でもできる。しかし、私はもう何で
 もできるというわけでもない…」
   鈴木、しばらく何かを考え込む。
鈴木「先生、あの突き出た岬のようになったところの向こう側に小さな島があ
 るのをご存知ですか?小さな島で、せいぜい、小学校の校庭くらいの大きさ
 です」
佐藤「いえ、知りませんでした。なにしろ、こっちに来てから引き継ぎなどが
 忙しくて、まだ村のことはあまり把握できていないんです」
鈴木「そうですか」
   鈴木、お茶を一口飲んでから、しばらく何かを考えるように湖を見つめ
   る。
鈴木「子供の頃、よくあの島へ渡りました。最近はすぐに親が危ないと言うの
 で、あまり行く子供たちはいなくなりましたが、昔は泳いで渡ったもので
 す。
 周囲を岩に囲まれていて、船では上陸できないのです。だから大人はめった
 に渡りません。子供たちが度胸試しに渡るくらいです。それでも島の中まで
 入って行く子供はいません。島の中はたくさんの木に被われているし、幽霊
 を見たとか噂があって、みんな気味悪がっておりますから。だけど私、ある
 日どうしても中に入ってみたくなって、勇気を出して入ったことがあるんで
 す。小学校五年生くらいだったと思います。随分昔のことです。だから、今
 となっては、どうしてそんなことを思ったのか思い出せませんが。
 そりゃあ、恐ろしかったですわ。真昼なのに夜みたいに暗くてじめじめして
 いて。そして、私、見付けたんです。池を。青く透き通っていて、とても奇
 麗でした。今でも、その時の記憶が鮮明に頭に浮かびます。小さな池でした
 がとても深くて底が見えないんです。急いで家に帰って、納屋からものさし
 と縄をかき集めて、再び島に渡り、縄の先に重しを付けて池に沈めてみまし
 た。百メートルまでは測れましたが、そこで縄はなくなり、手を離すと見え
 なくなるまで沈んで行きました。私、それ以来その池の神秘性に心惹かれ
 て、眺めるためによく、島へ渡るようになりました。さすがに冬には渡りま
 せんでしたが、春になると、水温が上がるのが待ち遠しくて、待ち遠しく
 て…。
 島へはもちろん、人目を避けて渡りました。小さい村ですから、見付かれ
 ば、あいつは島で何かしているぞ、と噂は瞬く間に広がってしまいます。そ
 うなれば、落ち着いて池を眺めることはできなくなってしまいます。それだ
 けはどうしても避けなければならないことです。なので、私は人目に付きに
 くい秘密の場所を見付けて、時間を選んで、そこから島へ渡りました。泳ぎ
 も随分訓練しました。素早く静かに泳げるように。その甲斐あって、五分も
 あれば、島まで渡れるようになりました。だから、私があの島に渡っている
 ことを知っている人は誰もいないはずです。さらに私は、念には念を入れ
 て、友達付き合いも控えました。クラスでは付かず離れず程々にクラスメイ
 トと付き合い、自分の時間を、島へ渡る時間を確保することに努めました。
 先程も申し上げましたように、私は島そのものではなく、その中心にある池
 に心惹かれていました。その池を眺めている間は日常のいろいろなことを忘
 れることができました。
 そのどこまでも深く透き通った色合いの青い水面を見ていると、なぜか心が
 落ち着くんです。なぜだかわからんけど、とにかく、その池の水面を見たい
 一心で私はその島に通ったんです。
 それは、最近まで、体調を崩して入院した数年前まで続きました。
 池を見ることができなくなってしばらく、私の心にある願望が芽生えてきま
 した。その想いは日に日に大きくなるばかりで、私はどうしていいか困りま
 した。先生、その想いが何だかわかりますか?」
   佐藤、首を横に振る。
鈴木「どうしても池の底をこの目で見たくなったんです。
 あの池の見えない底は死のイメージに満たされています。私にはどうしても
 そう思えるんです。池の透明な底なしの水を覗き込んでいると、まるで高層
 ビルの屋上から地上を覗き込むような恐怖を覚えるんです。そして、それは
 矛盾しますが、同時に新たな生への予感に満ちあふれています。そんな複雑
 な感情に捉われてしまったんです。
 先生、お願いがあります。あの池に潜る手助けをしてもらえませんか?残り
 少ないこの命、たとえ失ったところで何の悔いも残りません。先生、お願い
 します…」
   丁寧に頭を下げる鈴木。
佐藤「ちょ、ちょっと待って下さい。頭を上げて下さい、鈴木さん。突然そん
 なこと言われても、私には信じられません。そんな深い池が日本にあるなん
 てこと聞いたことないし、仮にあったとしても、七十歳を超えるご老人が潜
 るなんて、医師の立場から許すわけには行きませんよ!」
   鈴木の頭を上げさせようと、身を乗り出す佐藤。
鈴木「先生、本当に頼みます。老い先短い老人の最後の願い、どうぞ聞いて下
 さい。先生が手助けをしてくれないのなら、私、一人ででもやる覚悟です」
   鈴木、懇願するような顔で身を乗り出して佐藤に詰め寄る。困り顔の佐
   藤。
佐藤「わ、分かりました。とにかく一度、一緒に島に渡って、その池を見てみ
 ましょう…」
   笑顔になり、涙を目に溜める鈴木。

○湖(朝)
   岬のようになったところの近くの目立ちにくい場所から一隻の手漕ぎ
   ボートが出て来る。救命胴衣を身に付けた、佐藤と鈴木が乗っている。
   オールを必死に漕ぐ佐藤。その向かいで佐藤にオーバーリアクション気
   味に指示を出す鈴木。

○湖・ボートの上(朝)
   ボートの上には酸素ボンベやダイビングスーツなどが積んである。
鈴木「先生、島がすぐそこに見えるよ!何年ぶりだろうか…。いやあ、胸が高
 鳴るなあ!」
佐藤「鈴木さん、落ち着いて!立ち上がるとボートが倒れちゃいますよ!」

(つづく、たぶん…)

何ヶ月もかかって、やっとここまできました。ちょっとは物語らしくなってきたかと…。メロドラマかは微妙か!?
ちょっとしたきっかけでいっきに書けました。この数ヶ月間はなんだったんだ…。
まだまだ続きますが、取り敢えず、これをもとに原稿用紙10枚程のシナリオにします。ナレーション導入は避けられないかな…!?
本当はもっとエロくて、なおかつ、きゅんとするラブシーンまで書きたかったけど、まだまだ先になりそうなので、今回はこのあたりでよしと。最後がきまらないのでもう少し付け足すけど。



(以下本文)
「水曜日はいつも……(仮)」


 水曜日の昼、真治はいつも顔色が悪かった。そして、ほとんど、食事を口にしなかった。大半はコーヒーを一杯飲んで済ませてしまった。
 真治の水曜日二時限目の授業は解剖学だった。その授業で毎回、真治は貧血で倒れる寸前まで目が暗み、それを耐えるだけでヘロヘロになっていた。
 冗談のような話だけど、血を見ることが怖い医学生というのが真治だった。
 なぜ真治が医者を目指したか、クラスメイト殆どみんな首を傾げていた。しかし、真剣に悩んでいる真治を見ると気の毒で誰もそのことは聞けなかった。

 高三の夏、真治はひどい盲腸炎で入院し、病床で死を覚悟していた。そして、その時真治を手術した先生に憧れたというのがその理由だった。
もう一つ事実を明かすと、全然、死ぬような症状じゃなくて、ひとり真治が思いつめていたのだけれど……。
そのことをわたしたちが説得しても真治はまったく信じなかった。真治を安心させるための嘘だと思っていたようだ。そして、今もそう思っている。

 真治は医者になろうと決心したことをわたしにしか言わなかった。しかし、その理由を聞いても一切語ろうとしなかった。でも、わたしには、すぐにわかった(もちろん、そのことを真治には言わなかった)。
 両親をはじめ、真治のことをよく知っている人が、その決心を知っていたら、きっと即座に反対していただろうと思う。しかし、真治は一切―両親にさえ―そのことを隠し、合格してはじめて、その決心を告げた。
合格したのは国立大学の医学部で、両親に大きな金銭的負担を強いることはなかった。さらに、真治はその一校しか受験しておらず、両親は反対を押し切るだけの理由を見つけることがついにできなかった。

 真治は勉強もできたし、スポーツも得意だった。背もそこそこあったし、顔も結構かっこよかった。

 真治のことを好きな女の子はたくさんいたし、男子からも好かれていた。しかし、唯一の欠点は、思い込みが激しいということだった。それも決定的な場面でそれは必ず発揮された。普段はまったくというほどないのに、必ずといっていいほど、そういう場面で発揮されるのだった。
 しかし、それに気づいているのはわたしだけだった。何で気づかないの!? と、わたしには思えるのだけど、まったく、真治の両親さえも気づいていない様子だった。

 真治とわたしは、幼なじみで、赤ん坊の頃から常に一緒にいた。それがわたしたちふたりには普通のことで、そんな生活の中でわたしは真治の考えていることがなんとなくわかるようになったのだと思う。

 ある水曜日の昼、私は気分転換に真治を散歩に誘った。キャンパスの一番奥は雑木林になっていて、その中に通っている散歩コースをわたしたちふたりは並んでゆっくりと歩いた。初夏の日差しが青々と茂った葉を薄緑色に透かしていた。ふたりで時々、頭上に茂ったそれらの葉っぱを見上げながら歩いた。
 真治は、終始浮かない顔をして歩いていた。散歩コースの真ん中位に差し掛かったところで、私は切り出した。
「真治は神経細すぎるのよ。そんなことじゃ医者になんてなれないわよ。もう少し、気楽に考えたらいいのよ」
「そんなことが簡単に出来たなら、こんなに悩んでなんかいないさ。それが出来ないから、今、こうして悩んでいるんだ。自分自身、なぜ気分が悪くなるのかがまったく分からないし、どうしたら、克服できるのかもまったく思い浮かばない…」真治は頭を抱え今にも泣きだしそうな表情だった。
 真治のしゃべり方を見ていて、わたしはなぜか子供の頃を思い出した。
「あんたさ、小さい時から転んで血を見る度にべそをかいてたじゃない。血にびっくりして。そもそも、私が初めて生理になった時、スカートに付いた血を見て気絶したくせに、そもそも、医者になんてなれるわけがないじゃないの。医学部からだったらうちの学部に簡単に転部できるから、私と一緒に蛙の解剖したらいいのよ、ゲコゲコってかわいいのよ」とわたしは言った。言ってすぐに後悔した。すぐ頭に血が昇る、わたしの悪い癖だ。
「あのさ、冗談言わないでくれよ。人が真剣に悩んでいるときに。やっと入った国立の医学部、そう易々と辞められない」
「わたし、冗談なんて言わないわよ、こんなときに。真剣にそう思うのよ。本当にマジで、心の底から。その方があんた幸せよ、きっと、たぶん、いや、絶対……」
 居心地悪い空気にわたしは目線をどこに定めていいのか急にわからなくなった。
 子猫が林の中から急に現れた。白と黒のかわいらしい子猫で尻尾をくるくるまわすように動かしていた。私はバックから鮭のおにぎりをちぎって、そっと近寄って少し離れたところに置いてまた真治のもとに戻った。その間、真治は何も言わずにじっとわたしを見ていた。
 子猫は恐る恐る近寄ると、おにぎりのにおいを嗅いでから少しかぶりつき、スピードを早めて、あっという間にたいらげ、もっと欲しそうに、その場にじっと座ってわたしたちの方をみつめていた。
 わたしは残りのおにぎりをすべて子猫の前に置いた。子猫はそれもあっという間にたいらげ、もう食べる物がないとわかると、また林の中に戻っていった。

(つづく)


映画のもとは脚本death-粉々に砕けた虫の死骸


ゴールデンウィークも今日で最後です。腹が減った…。


起きる必要ないのに、比較的早く起きて、なんだかやろうとするのだけど、飽きてネットしたりお菓子食べたり、昼寝したり、Hビデオ観てしまったり(そして、気分が落ち着いたら少し勉強と脚本をやる)、なんだかダメなゴールデンウィークの典型です。寝なけりゃ寝ないで、ろくなことしていない…。


ここ数年、毎年こんな感じです。うーんしょうがねえか。小学生時代からあまり変わってないってことです。


さて、今は部屋の掃除をしています。なんだか思わぬものがたくさん出てきます。いろんなチラシだとか、古い雑誌だとか、ガラクタだとか、粉々に砕けた虫の死骸とか…。


こんなことをあと何十年か繰り返して、虫と同じく粉々になって死ぬのかもしれない。なんて思わずにはいられない、今日この頃。



応援お願いします!

人気ブログランキングへ

映画のもとは脚本death-ししとう苗


映画のもとは脚本death-サーフボード


映画のもとは脚本death-ベニヤ板



ここ数年のゴールデンウィーク恒例行事として行っている、母の日のプレゼントとして園芸用品のホームセンターへの買出しに行く。
父親に、ついでに(?)と、日曜大工に使う畳一畳ほどのベニヤ板を四枚も頼まれる。おかげで、軽トラックを借りるはめになった。
ホームセンターでタダで貸してくれるのでいいのだけど、返しに行くのが面倒で困る。道の混雑状況を考えると往復一時間以上かかる…。


そんなことを考えながら、ホームセンターへ向かってスクーターを走らせ、いつものように途中ににあるハードオフに寄った。そこで偶然発見した古いサーフボード。三千五百円の値札が輝いて見える。
いわゆる、ショートボードと呼ばれる、僕の身長(約170センチ)とほぼ同じコンパクトなボード。ちょっと借りてスクーターのシートの上に乗せてみる。シートに乗せてその上に座ることが出来そうだ。大通りは無理だけど。裏通りならそのまま海まで行っても大丈夫だろう、と考える(海までバイクで約5分)。
なにより、重要なことは、今日は軽トラックを借りるのだ。それもタダで。こんなチャンスは無い!
お試しで使うなら、これで充分!使わなくなっても邪魔にならない大きさだし、サーフィンに使わなくても年に一回くらい海の上を何も考えずに漂うのも悪くはない。ライフセーバーのバイトでレスキューボードで沖に出た時のあの景色をもう一度ぜひ味わいたいのです。海から陸地を眺めるのはなんとも言えず気持ちがいい!


そして、買い物をしながら悩んだ末に買ってしまいました。今年の夏はサーフィンデビューか!?あと二週間で33歳。体が動くうちに覚えておこう…。


写真はししとうの苗(夏から11月終わりくらいまで、毎日実が取れるオススメの植物です。プランターでも行けると思います))。
古いけど夢が詰まったサーフボード。
一畳ほどの大きさのベニヤ板(家の補修に使います)。



応援お願いします!

人気ブログランキングへ


映画のもとは脚本death-「汀」トークショー

映画のもとは脚本death-渚ようこ生ライブ


本日も職業技術校の授業の後、平塚から新宿ライナーに揺られて、新宿パークタワーまで、イメージフォーラム・フェスティバルを観に行く。


今日はプログラムは、
『酒場#7「汀」~渚ようこ新宿コマ劇場公演「新宿ゲバゲバリサイタル」~』
イメージフォーラム付属映像研究所でお世話になった、かわなかのぶひろ先生の作品です。

簡単に内容を説明すると、
新宿ゴールデン街で「汀」を営む歌手、渚ようこが子供の頃からの夢だった、阿久悠に作詞をしてもらう、コマ劇場でリサイタルをする、とゆう夢を叶える姿を追うドキュメンタリー。
くしくも、昨年幕を降ろした新宿コマ劇場。収容人数2000人の大劇場を個人で二日間借り切って夢を実現させようとする彼女の努力する姿をカメラは追う。
そして、この撮影を通して先生がかつて牛乳配達員としてコマ劇場の売店に牛乳を卸していた頃の記憶が甦り、重ね合わされて行く。


たった一人で撮影に挑む先生のカメラが大人数のオフィシャルスタッフでは撮ることが出来ないであろう渚ようこの素の表情をたくさん捉えていた。
決して大人数を集めればいいものが撮れるというわけではない、と、再認識させられた。


それから、幕間劇として行われた内藤陳のコメディーの凄さに驚く。
内藤陳さんのすっと真っ直ぐな凛々しい背筋から発せられる緊張感にはっとさせられました。歩くだけであの緊張感は凄いと思った。観ていて(演技の間なども含めて)映像にも通じる緊張感だと思った。


そして、今回のリサイタルをきっかけにして甦る先生の思い出を辿るのがとても面白かった(個人的にはもう少し観たかった…)。
田舎から上京して牛乳配達員として働く写真から、僕は何か感じるものがあった。夢に向かって進む力強さのようなものだろうか…。


夢は思い続ければ叶うことを信じて僕も頑張って行かなければと思った。


最後の先生、渚ようこさん、内藤陳さんのトークショー、渚さんの歌と盛りだくさんの内容で幕は下りた。


帰り道、先生と偶然お会いして、飲み会にせっかく誘って頂いたにもかかわらず、お断りしてしまった。渚ようこさん方も来る(内藤陳さんは?)という、またとない機会だったのに…。気後れしてしまい、どうしても一歩が踏み出せなかった。特に最近は新作を撮っていないので尚更何を話していいやら…。悪い癖です…。また誘って頂けるとうれしいです。 脚本の勉強ももう少しでひと段落。また映像を撮り始めたい。


それにしても、今年のテーマは「出会いを大切に、積極的に人と関わろう!」なのに、全然達成できていない…。少しずつでも前に進んで行かなくては。

「毎日のわずかな積み重ねが、とんでもない所に行く唯一の道だ」


ああ、寝ないと。朝早いのに、寝坊する…。



応援お願いします!

人気ブログランキングへ