6月のある休日に妻から「息子に自転車の乗り方を教えてあげて。」との依頼。

 

『息子は自転車に上手く乗れない、妻が練習しようと誘っても息子は自転車に乗ろうとしない』とのこと。

 

 

以前から書かせてもらっていますが、我が子は発達の凸凹の差が激しいタイプ。2つ以上のことを同時にするのが苦手で、情報量が多いと頭が真っ白になります。

 

 

取りあえず、近くの公園に息子を連れていき、息子に自転車に乗ってもらいました。

 

 自転車が止まっている状態で、両足を同時にペダルにかけて、数秒後に左右のどちらかに自転車が倒れるといった具合で、自転車を漕ぐことは難しそうです。

 

それに目線も足元ばかり見ています。

 

 

『なるほど、なるほど。』

 

どうやら息子の目には、大人達の自転車に乗る姿は止まった状態で両足をかけて乗ってから自転車を漕いでいるように映っているようです。

 

 

 

私が息子に尋ねます。

 

「大きくなったら車を運転したいの?」と私。

 

「運転したいよ。」と息子。

 

「そっか、車の運転には2つ以上のことを同時にしなければならないし、多くの情報を頭の中で処理する必要があるんだよ。大きくなって車を運転したいなら、まずは自転車を乗りこなそうよ。」

 

それに続けて「自転車も、車ほどじゃないにしろ同時に2つ以上のことをする必要があるのよ。1つづつ覚えていこう!自動車運転の第一歩!」と私。

 

我が子に限ってのことかもしれませんが、自転車に乗れる乗れないといった今の話より、楽しそうな未来をイメージをさせる方が良いような気がしています。

 

 

そして、我が子のよう動きがチグハグな子供には、1つ1つの段階を区切って、具体的に本人に伝わりやすそうな説明をするのがベストな気がします。

 

まずは、自転車に乗って、ペダルを一回漕ぐ練習。

 

一方のペダルを踏みこみやすい位置まで引き上げて、そして『ぎゅー』と思い切りペダルを踏みこむのと同時に、お尻をサドルにのせ、もう一方の足をペダルに乗せるように指示します。

 

 

「ぎゅー、乗る、足をのせる。」というリズムで、これを繰り返し繰り返し行います。

 

前に進む推進力が自転車の安定につながり、それが安心につながると息子に実感してもらわねばなりません。

 

 

そして、それができるようになったら、次は、そのもう一方のペダルに乗せた足を更に踏み込むことを教えます。

 

私は、これを「ぎゅー、乗る、こぐ」というリズムで言葉を発して、彼の頭に残るように繰り返します。

 

『ぎゅー』も、『漕ぐ』も同じ動作です。

 

続ければ、一連の漕ぐ動作になります。

 

繰り返していくと真っすぐだけであれば自転車に乗れるようになっていきます。

 

 

次の課題は、曲がり角の運転です。

 

息子は、曲がり角を曲がるときに、ハンドルを曲がり角の角度に合わせて曲げられなようです。

 

ひたすら真っすぐに突き進みます。

 

 

息子を観察して感じるのは、おそらく、曲がることと、それと同時に足でペダルを漕ぐという2つの作業が頭の中で整理できていないようです。

 

そこで、次に教えるのは、曲がるときにはペダルを漕がないように指示を出すとともに、目線を進行方向に真っすぐ向けるように指示をします。

 

そうすると徐々に曲がれるようになってきます。

 

 

そして曲がり角を曲がり切り、進行方向に自転車と体が真っすぐ向いたら、また漕ぐように指示をだします。

 

 

繰り返ししていくうちに、彼はドンドン上達していきました。

 

ものの30分程で「ママ、じいじ、ばーばに自転車が乗れるところを見せたい。」と言うほどの上達ぶりです。

 

 

そして得意満面に私にいいます。

 

「これで自転車は乗れるようになったね」と。

 

「そうだね。」と私。

 

 

『しかし、実は、ここからが本番。』

 

『さてさて、情報溢れる危険な公道デビューは、どうするかな?』

 

『息子には公道は怖いだろうな。』

 

楽しそうに自転車で走る息子の姿を見ながら、私はそんなことを考えていました。