<アンケートによる商品開発依頼>

登山保険本体を開発後は、登山関連の付加的商品開発を依頼されるようになりました。

 

依頼のほとんどは、依頼主が関係するマーケットにおけるアンケート結果によるものが大半です。そのアンケート内容を検討した結果、開発すべき商品は、遭難捜索救助関連に限定したシンプルで低額な商品を開発することになりました。

 

お客様のニーズにあった補償を保険契約者の方々に提供できることは喜ばしいことですが、ここで予期せぬ事態に遭遇することになりました。

   

 

保険金が支払われる事故が少ない?!

 

先程も記載しましたが、遭難の捜索は警察等の方々を中心に行われるので、救助費用がお客様に対して請求されないことがしばしばです。

 

しかし、山での遭難にケガはつきもので、そのケガについて保険金を請求されるわけですが、マーケットにおけるアンケート結果によって商品を開発した場合、そのケガに関する補償が保険契約についておらず保険金が支払われないといった事態が発生します。

 

お客様にとっては残念な気分にはなるでしょうし、我々にとっても実態に沿った真に必要な補償を提供できていないことに口惜しい気持ちになります。

 

<保険金を請求されるお客様の要望>

その中でも、考えを改めさせられる契機になったのが遺族の方から伺った話です。

 

ある年の6月の梅雨が始まる頃に当社に1本の電話が入りました。「遭難した子供を探してくれた子供の友達たちにお礼をしたいのですが、そちらの保険に我が子は加入していませんでしたか?」と。

 

お話を伺うと、その方のお子様の勤め先から2月初旬の月曜日に会社に出社していないとの電話があり、警察に届け出て探したところスキー場に行ったことまでは分かったそうですが、その後の行方はわからなかったそうです。

 

月日が流れ、5月の終わりの雪が解けた頃に、お子様がスキー場の外れで発見されたので捜索を手伝ってくれたお友達に保険金の支払いがあるのであれば御礼に使いたいというのです。

 

当社に保険契約があるかを確認したところ、保険契約は存在しましたが、お子様のお友達に御礼を支払えるような保険への加入はありませんでした。

 

当社は、これを機に、お客様からの保険金請求が多い商品を組み合わせた保険商品を自社で販売する方向にシフトしていくことになっていきます。