家族は皆、仕事に行き静かな時が流れていた。
自宅には棺の中の娘と二人きりになった。
2月の寒い日でも娘の身体を保つために暖房をつけないでいた。
寒くて静かなリビングで、娘の顔をじっと見ていた。
昨日までは家族が皆んないたから、大人7人幼児2人の食事の心配をしていたけれど、もう何も作る気になれなかった。
私の友人から「食事を作って持って行くから、ゆっくりしていてね。」とLINEが来ていた。
納棺したら急に寂しくなって、何もする気が起きなかった・・・友人からのLINEは嬉しかった。
亡くなってから納棺式まで来客が続いて気が張っていたけど、この日はドライアイスの交換も無いので気が緩んでいた。
友人は重なる事なく、皆んな良いタイミングで来てくださる。
食事を届けに来てくださった友人は娘を知らない。
会うのは今日が初めてだった。
「さーちゃん。
初めまして。
綺麗なお顔ね。
がんばりましたね。
辛かったね。
ゆっくり休んでね。」
と泣きながら声をかけてくださった。
娘の結婚パーティーの時の写真を見ながら、幼い頃からの話しなどを頷きながら聞いてくれた。
友人は私と同じ歳、友人にも同じ年頃の娘さんが二人おられるので、私の辛さや悲しみを自分事のように感じて泣いてくださった。
この日は友人の差し入れで夕食の支度もせずにゆっくりと過ごせた。
2023.02.14 (火)
ドライアイスの交換日
葬儀社の方は若い女性の方がいらした。
何度かお会いしていたので娘の闘病中の話しもさせていただいた。
👩💼「最近は癌で亡くなる若い方が多いです。
実は私の姉も腕がずっと痛くて、病院に行ったら乳がんでした。腕の痛みは骨転移でした。
半年後に亡くなりました。」と涙ぐみながら話してくださった。
娘は闘病期間は一年半だけど、癌と分かってからは一年3ヶ月で亡くなった。
短いと思っていたけど、葬儀社の方のお姉様はたった半年・・・悲しい思いをされたのだろうな、と思うと泣けてきた。
2023.02.15 (水)
中学の部活仲間がいらした。
「ケイ君から『15日までに持ってきてくだされば、葬儀場の祭壇飾りに間に合う』と聞いていたから」と、わざわざ友人や友人の子どもさんの書いた寄書きの色紙を届けに来てくださった。
「葬儀に出られないからせめて飾ってください」と、忙しい中を来てくださった。
感謝の気持ちでいっぱいだった。
2023.02.16 (木)
14時30分
葬儀場にさーちゃんを運んだ。
家族が行けるのは16時以降だった。
飾りつけにはケイ君と末弟が行ってくれた。
私は介護ベッドの返却が済んだら会場に行く予定にしていた。
予定より遅れてレンタル会社の方がいらした。
亡くなる1時間前に「足元の柵も外して」と娘に言われて「出来ないの」と言ったけれど、柵は簡単に取り外せるタイプだった。
私はまた心の中で「さーちゃんごめんね。最後の願いを叶えてやれなくて」と呟いた。
レンタル会社の方に
🙎♀️「何度もすみません。車椅子もコロコロ変わって、その度に迅速に対応していただいて本当にお世話になりました。」
👨💼「ご希望の車椅子の手配が間に合わなくてすみませんでした。
江ノ島にドライブに行かれた事は訪問看護師のKさんから伺っていました。
私どもも喜んでいたんですよ。
娘さん、一度は元気になられて春先に介護ベッドの回収に来た時は嬉しかったんですよ。
暮れから体調崩されてからは早かったですね。
残念です。」
介護用品のレンタル会社の社員さんは皆さん優しくて穏やかでご親切な方々ばかりだった。
在宅酸素療法の会社の方もそうだった。
娘の在宅医療を支えてくださった関係者の方々には深く感謝しています。
ありがとうございました。