2021.11.11 Sセンター病院
・退院

気管支鏡検査の翌朝、退院する娘の病室に向かった。

娘は昨日の検査中に押さえつけられ骨の痛みが悪化し、車椅子か歩行器が無いと移動が出来ない状態のままだった。

私「朝の洗顔や歯磨きは看護師さんに手伝ってもらえたの?」

娘「朝食は持ってきてくださったけど、洗面はまだ」

私「え?洗面所まで歩けないのに?」

娘「看護師さん忙しいみたいだから・・・」

「肺癌骨転移、痛みのため自力歩行が出来ない状態の患者なのに?
サポートしてくれないの?」

「昨日の検査前まで歩けていたのに、検査中の扱いのせいで歩けなくなったのにほったらかしなの?」

私にとっては大切な娘でも病棟の看護師さんにとってはたくさんいる患者の1人、洗面所に行けない事など忘れているのかもしれない・・・何だかモヤモヤしてきたが早く退院したかったので、私がサポートして洗面と歯磨きは終わらせた。

退院の支度が出来たのでナースセンターに声をかけに行くと、誰もいなかった。
しばらく待っているとパタパタと小走りの看護師さんがいらした。

私が「今日退院の〇〇です。」と話しかけると、病室で待っているように言われた。

しばらくして娘の病室にやって来た看護師さんが「〇〇さんは歩けないんでしたね。病院の車椅子も歩行器も病院外に持ち出す事は出来ないのですが、玄関までは使用しても良いですよ。」と・・・


退院した後、歩行器も車椅子も無い状態で患者が困る事が分かっていても、何もしてもらえない。

病院の方針なんだから、目の前にいる看護師さんに何を言っても仕方がないと病棟を後にした。

病院の玄関からは退院の迎えに来てくれた息子と一緒に何とか娘を車に乗せて、娘のマンションまで連れて帰った。

マンションには手摺があるので、何とか手摺に捕まりながら少しずつ歩いてエレベーターで上り、転ば無いように支えながら何とか自宅まで辿り着く事が出来た。

おんぶが出来れば良いのだが、骨盤と大腿骨転移があるためおんぶの姿勢をすると痛むので、娘が自分の痛くない姿勢を見つけながら歩くしかなかった。



Sセンター病院は骨の痛みに対して「肺癌骨転移の痛みだから医療用麻薬飲むしか仕方がない」と思っているのだろう。

医療従事者の人達が諦めても、私も娘も諦めたくなかった。
検査結果は1週間後、それまでに絶対また歩けるようにしたかった。
歩けなければ通院することも出来ないから。

退院から2日目の朝、痛みや痺れに良いというオイルを試しに塗ってみた。
なんと!30分後に歩けたのだ!
娘も私も今度は嬉し涙を流した。

病院の治療だけが全てじゃない、娘の身体に負担が無く動きを楽にしてくれる物があれば何でも試したいと思いました。



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