先日のこと

息子との待ち合わせまで少し時間があったので、

書店で本を買い求めてファミレスに入った

独身時代に一時傾倒したその作家は
もう、あっけなくこの世を去ったが、
それを知っても「遺作」を読むことはなかった


乖離を感じてしまいたくなかったのかも

でも、最後の短編集の表題作は
あの頃の姿を残しつつも更に深く、
喪失感に胸が潰れそうになった……


次々にページを繰った
ファミリーレストランの店内には、
学生、家族連れ、赤ちゃん連れ、
そして老女の姿もあった

赤んぼうを大事そうに抱える
夫婦のすぐ傍で、頭を抱えながら
涙ぐむ人、会計をしながら愉快に
笑い合う人達

様々な幸福と人生が集約した場所で、
溢れる感情を持て余してしまった