映画『渇水』 | Magnoliart's Blog

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大学生母の記録

映画『渇水』

劇場での公開はほぼ終わっており、
上映する映画館はごく僅か

昨夜、滑り込みでそこを訪ねた

作品紹介のサイトには、“孤独を抱えた水道局員と、たった二人取り残された幼い姉妹。給水制限の夏、一件の<停水執行>が波乱に満ちた人間模様を紡ぎだし現代社会に真の絆を問う珠玉のヒューマンドラマ”とある

感動を求めて行った訳ではないが、
今と今後の自分の活動の為に観ておきたかった

生田斗真さんが、料金滞納者には水を止めることも辞さない水道局員を演じること
育児放棄された貧しく幼い姉妹がいること

その他の予備情報はほぼ入れずに行った

淡々と進む日々、急に訪れる転換、

不思議に思う展開や気になる細部もあったし、

クライマックスは突拍子もないとも言える

まとまりのない場面を集めた印象すらあったが、
しかし、作り手の「心」が伝わる良い作品だと感じた


白石和彌氏は監督ではなく本作はプロデューサーだったか

なるほど……

氏の作品に精通している訳ではないが、作風の違いはすぐに感じて、
でもそれは概ね嫌いなトーンや演出ではなかった


主人公のあり得ない衝動も実はない話ではない
社会に隅に潜む怒りの一片

ニュースに載らない小さな事件たち

子ども達や母親の日々にも「現実」がある

帰宅後に見た複数のレビューは賛否分かれていて、
酷評する人もいたし、監督名を出し穿った見方をする人もいた

しかし私は好きな作品だと感じた

作品をどのように観るかはその人がどう生きてきたかに拠る

静かでどこか荒削りで正直で優しくて
目を逸らしたくない社会を観ている

私は良い作品だと思った

滝のシーンはじめ、映画ではなく舞台作品を
観ているような箇所が複数あったが、それが
この作品を好意的に観られた一因かもしれない
(何十年、数多くの舞台を観てきたので
 馴染みがある感触というか……)

不完全にもがく彼らと私たち
生きるために必要なものたち

現実は夢物語ではない


大袈裟過ぎず力強い音楽も良かった

配信でまた観たい

ラストが異なるという原作も読んでみたい