■聞くプロ。 | 鈴木麻美子オフィシャルブログ「まみこのおしごと専用にっき。」Powered by Ameba

■聞くプロ。

アナウンサーや司会者というのは、

喋りが仕事です。


したがって、

カツゼツがよかったり、

鼻濁音ができたり、

いい声で喋りができることばかりにフォーカスします。



しかし、

トークショーやインタビューなどのケースでは、

聞き出したり、引き出したりするのも重要な役割です。



老練の政治家でも、

緊張した反抗期の中学生でも、

あまりおもしろくないお笑い芸人さんでも、

無口で頑固な和食の料理人でも、


対象にしなくてはならないものです。



通販番組では、

出演者同士が向き合って盛り上がっていると、

視聴者が置いてきぼりになる、といいます。


もちろん、

商品の良さを聞き出しながら、感情を露わにして驚くリアクターとしての役割もひとつですが、


出演者に向かってうなづくばかりでなく、

時々視聴者に向かって共感のうなづきをもちかけることで、


情報が自分に投げかけられている、

すなわち、

参加しているという実感につながるわけなのです。



阿川佐和子さんのベストセラーに、

「聞く力」という新書があるのですが、


数々のインタビューを成功された秘訣が、

とてもおもしろいタッチで描かれています。



安藤優子さんからも、

金丸信さんのトクダネを取ったエピソードを聞いたことがあります。



これらは、

本番中でももちろんですが、

打ち合わせの際にも言えること。



日頃から多くの打合せ&本番にたずさわり、

アナウンサーや司会者の動向を見ていると、


聞く力の良し悪しが見えてくることもあります。


悪い例としては、


「かぶせる」「詰める」があげられます。



■かぶせる。


私もしょっちゅうやっていて反省しているのですが、

時間がなくてあせっていると、


頭がよくて効率のよさを良しとする、

デキる人種に限って特に、


相手の話の語尾に、

かぶせて相槌したり質問したりするのです。


日頃からとても上手い!と思っているある司会者がいるのですが、

彼女は打合せでも本番でも、


語尾のギリギリの間合いで、


「なるほど。そうなんですね。」

「はい。わかりました。」と、


かぶせる癖があるのです。


当然最後まで聞いていないので、

そのリアクションがあべこべだったりすることもあり、

冷や冷やしたりもします。


更にかぶせられるほうは、

想像以上に感じが悪いので、

少しずつイライラして、

あらぬトラブルを誘発したりします。



■詰める


プロは元々カツゼツがいいし、美人だし、

声がよく、頭もいいので、


理路整然と質問を詰めることが、

相手方のプレッシャーになることがあるのです。


かつてクレームになった例として、


「現場に入るなり、


何時の時点ではどうしましょうか、

これはなんですか、

こうなったらどうしましょう、とか、


質問攻めにされた。


こちとらあれもこれもそれも確認したり調整したり打合せしたり、

やることが100倍あるのに、


ギャンギャンギャンギャンうるさいんだよ。」と、

仕事を降ろされた人がいました。



本人は意外極まりない事実だし、

仕事人として当然の確認をしたまでだと思うのですが、



カツゼツよく、声がよく、

美人で頭の切れる女性がギャンギャン「詰める」のは、


多くの、特に男性にとって、

キツい現象なのです。




今日、

社内の研修で、


美しく有能なメンバーが大勢集まってくれて、


生まれたての子牛のような潤んだ素直な瞳で、

熱心に聴いてくれたことが素晴らしくて、


ついそんなことを思ったりしました。



聞く力は、

表現者にとって、


実は忘れられがちな大切な要素です。


私も日々を反省しつつ。。。