■リハーサルの大切さ。
一口にイベントといっても、
オリンピックの開会式から、
企業や団体の式典や発表会、
結婚式やお葬式、
パーティーや会議など様々なものがあり、
イベントのプロが介在する場合とそうでない場合があります。
MCの仕事は実に不思議なもので、
プロの仕事も素人の仕事も、
その中間みたいな仕事も引き受けることになります。
多くのプロが介在する比較的予算規模の大きなイベントでは、
百戦錬磨の監督や演出家の下、
音響や照明のプロや各種のディレクターなど分業化が進むため、
指示権者の要求や、
細かく全てが想定された台本から役割を読み取り、
的確に表現することが求められます。
逆に、
プロの手が一切入らないものの、
MCだけプロに依頼する、というケースがあります。
極端な場合、
進行表やタイムスケジュールだけの確認で、
自力でヒアリングしながら、自分で台本やメモを作り、
進行しなければならないという現場もあります。
職業として長くMCをやっていると、
案外誰もが遭遇するもの。
お友達から頼まれた披露宴や同窓会の司会、
なんていうケースもありますよね。
そして、
プロほど重要視するのがリハーサル。
一般に考えられている以上に綿密に行われるものです。
音響や照明だけのテクニカルなリハーサルを行なったり、
その後実際にマイクを使って台本に添って通しで行ったり、
場合によっては出演者全員の代役を立てて登場するところから退場する場面まで、
時間の許す限りバカみたいに全てをやってみます。
しかしやってみると、
「テープカットの白手袋の装着には案外時間がかかるものだな。」とか、
「登壇者が上手から上がるとアシスタントが邪魔だな。」とか、
「ステージの下手ギリギリまで歩くとマイクがハウリングを起こすな。」とか、
「これでは足元が暗すぎて危ないな。」とか、
気づいた小さなリスクを丁寧に排除することができます。
さて、
プロでなくても普通に生きていれば、
イベントをお手伝いしたり、司会を頼まれたりすることがあるでしょう。
器用で慣れている人ほど、
このリハーサルをないがしろにするという傾向があります。
「まあ、なりゆきで適当にやりましょう。」
「人前でのスピーチは慣れてるから大丈夫。」
確かにイベントは、
良くも悪くも時間が来れば終わります。
しかしもし、
少しでも事前の時間が取れるなら、
できる限りのリハーサルをやってみましょう。
例えば、
会社の大きな会議でも親戚の宴会でも、
もし自分が司会や幹事を頼まれることがあったら、
ぜひ一度マイリハーサルをしてみましょう。
タイムスケジュールを作って、
できることならその場に立ち、
声に出して一度リハーサルを行ってみるのです。
参加者が会場に入るところから想定して、
バカみたいに一つずつリハーサルしてみると、
「受付時にバッグを置く椅子が欲しいな。」とか、
「名札があったほうがお互いの名前が覚えられていいな。」とか、
「時間が押したらここで調整しよう。」とか、
「最後に誰かもう1人挨拶をもらったほうが締まるな。」とか、
いろいろな改善点に気づくでしょう。
大変な仕事ですが、
きっとみんなが感謝してくれます。
イベントが終わったときの達成感は、
きっとより大きな感動に変わるでしょう。