今日のタイトルにあります、「聞く」と「聴く」の意味の違いは何でしょうか?

一つの例文をあげてみますね。

「車の騒音が聞こえてきて勉強に集中できないなあ」

「今日の授業はテストで出そうなところを話すので注意深く聴かなくては」

 

 前者は、自分の意志ではなく聞こえてくるというのに対して、後者は、自分のはっきりした意思を持って注意深く聴くということです。ですから「傾聴」という言葉の意味は、相手の話す言葉を注意深く、積極的に、関心をもって聴いてあげるということなのです。

 

 では、「傾聴」することによってどのような効果が期待できるでしょうか?

①相手の警戒心を取り除きます

②相手に安心感を与えます 

③相手の心の中に肯定感が大きくなります

④相手との信頼関係が築かれます

 

 以上のように思った以上に相手に対しての効果が大きいことがわかりますね。

以前マザーテレサが米国に招待されて聴衆の前でこう話されたことがありました。

 

「この国のどこに飢えや貧困で路上で苦しんでいる人がいるでしょうか?でもこの国にも貧困はあります。愛されていないという貧困です。誰からも必要とされていない、誰も話を聴いてくれる人がいないという愛の貧困です・・・・」

 

 今、日本でも老人の孤独死の問題が社会問題となっています。ふた昔前の日本では、親子3代が一つ屋根の下で暮らすというのは普通にありましたが、核家族化が進んだ日本では、孤独な晩年を迎える方々も年々増えてきています。

 話を聴いてあげることが必要とされる方々への傾聴ボランティアの方々の需要も年々増えてきています。

 

 また「聴く」⇒「聴し」と書いてなんと発音するかわかりますか?

私も辞書で調べてみたのですが、「聴し」と書いて「ゆるし」と発音するのです。

これは、傾聴をするということは同時に、相手の方が何を言ってもそれを受け止め赦しの気持ちをもって共感して聴いてあげるということなんですね。いやあ、傾聴って奥が深いですね。

 

 ここであるご婦人Aさんの話しを紹介しておきます。

 

 私から傾聴のスキルを学んだAさんですが、その後すぐにこれを使ってみたいなと思っていたところ、ママ友さんから、「実は、聞いてもらいたいことがあるんだけど・・・」と話しかけてくれたので、ここぞっとばかりに、とにかく傾聴することに集中して、話を聴くことに専念しようと思い、喫茶店で話すことになりました。

 

ママ友: 「今日はありがとうね、じつはね、最近子供が学校で友達と 

    仲良くできてないみたいで悩んでるの

 

Aさん:「そうなんだ、悩んでるんだね 具体的にどんなことで悩ん

    でいるの?

 

ママ友: 「最近のクラスで仲のよい友達ができないみたいで、休み時

    間でも一人ぼちでいるみたいなの。私も心配で…。」

 

A:「 それは心配だよね。親としては居ても立っても居られないよね。

 

ママ友:「もうね、私が聞いても話してくれないの。どうすればよく

    わからなくて…。」

 

A: 「そっか、どうすればよくわからないだね。自分の感情や悩みを

  上手に表現できないこともあるかもしれないね。 

 

         (以下省略)

 

 こんな感じで会話は進んでいき、こんどはご主人に対しての複雑な思いなども話して下さるようになってきました。

 Aさんはとにかく一生懸命聴いてあげ共感していくと、突然、ママ友さんが声をあげて泣き始めたのです。びっくりしたAさんでしたが、ママ友さんが言うには、「こんなに親身になって話を聴いてもらったの人生で初めてで、有難くて感動して思わず涙が出てきたの。A子本当にありがとうね」と言うことでした。

 別れ際に、ママ友さんは「家に帰ったら、もう一度娘と向き合い、ママはいつでもどんなことがあってもあなたの味方だよ」と伝え、抱きしめてあげると言って晴れ晴れとした表情で帰っていかれました。

 

Aさんは、特に何か素晴らしいアドバイスをしたわけではありません。

ですが傾聴と共感していくことを通して心が解放され、ママ友さん自身が自分でどうすべきか気づいていったのです。

 

 私もクライアントさんをコーチングをするときには、心構えとして「今日私は、この目の前にいるこの人の話を聴く為に生まれてきた」と、いう気持ちで臨むように意識しています。

 次回は、具体的な傾聴のスキルについてお話をしますね。