私自身,何かひとつのことに気を取られると,他のことが見えなくなってしまってよく失敗をするが

生徒の中にもいろいろなヤツがいるようで,

今朝,教室に行くと,なんだか妙ななりの男の子が一人,ニヤニヤ笑いながらやってきた。

何が妙かと言うと,普通学生服は上下とも黒一色なのだが

その子は,学ランの下が学生ズボンではなく,トレーニングウエアなので

黒と青のツートンカラーなのである。


「あのね,先生。今日朝練習に出てくるときに体操服できたら,学生服忘れて,

教室に来たら,何故か上着だけ椅子に掛かってて。

それで,ラケット持って来たら,筆箱忘れて,で・・・・」

つまり,朝,部活の用意をして家を出たら,勉強の用意も学生服も忘れたということらしい。

彼の学生服は,朝早く,教室にホコリにまみれて,ぐるぐるにとぐろを巻いていたのを

私が拾って椅子の背もたれにかけておいたものだから,

前日彼は,学ランを学校に忘れて帰ったというだけのことだ。


そんな程度でクラクラしてはいられない。

放課後,劇の大道具になる大岩を,いよいよ搬入となったが,

男の子たちが張り切りすぎて,できた岩が大きすぎ,廊下を通り抜けていくことができなくなった。

ただでさえ両方の壁に岩がこすっているところにもってきて

運ぼうと岩の下に潜り込んだ男の子がまた,そのまま相撲に出られそうな男の子たちだったものだから

運ぶだけで岩が壊れそうにぶよぶよしている。

あっと思ったときは時すでに遅く,岩壁は中の骨組みから剥がれて,男の子たちの頭に乗って,一反木綿のごとく廊下を駆けていく。

まずい!壊れる。

ドサッ

一瞬後,段ボールでできた岩壁はそこここに残骸を残して,廊下にベターッと張り付くことになった。

あ~あ,またやり直し・・・・。

調子に乗って悪のりしすぎた一人が廊下に広がっている岩の上にダイブ。

当然涙が出るほど叱られることになる。


劇担当の教師が,あまりに到着の遅い岩の様子を見に来て,頭を抱えたことは言うまでもない。

これを目眩がするととらえるか,エキサイティングととらえるかは人によるのだろうが

少なくとも,こんなことで疲れているようでは教師は務まらない訳だから,

だんだん図太くなるのも仕方ないなと思った。