<産経抄>一時しのぎの政治改革なら、有害無益 | 徒然なる儘に・・・
    自民党二階派の解散を決め、記者会見する二階俊博元幹事長(中央)=東京・平河町(市岡豊大撮影)

    衆院会派「有志の会」の緒方林太郎氏は9日の国会で、自民党に政策活動費の使途公開を求めるなら、野党側が率先して公開するよう提案した。つい先日、ある官僚OBが「公開要求は野党にとってブーメランになるのでは」と話すのを聞いたばかりで、タイムリーな質問だと手を打った。

    ▼一連の政治資金問題で野党は、自民の二階俊博元幹事長が5年間で約50億円の政策活動費を受け取っているのに、使途不明だと問題視する。官僚OBは苦笑していた。「野党だって政策活動費はあるし、仮に二階氏が公開したら、国会対策で野党に渡っていたとなりはしないか」。実際、政策活動費に関しては、自民が野党を追及したこともある。

    ▼平成17年の国会で、松岡利勝農水相民主党藤井裕久財務相自由党幹事長時代の14年に、約15億2千万円の支出を受けたが使途不明だと強調した。このカネの行方について藤井氏は22年、小紙のインタビューに語った。「全く知らなかった。どう使われたかも知りようがない」。自由党党首だった小沢一郎氏のみぞ知ると言わんばかりだった。

    ▼「各党各会派の共通のルールに基づいて取り扱う」。岸田文雄首相は政策活動費についてこう繰り返す。これに対する緒方氏の「野党だって出せないだろうと言っていると思う。足元を見る姿勢だ」との指摘は図星だろう。

    文芸春秋3月号で、自民の武田良太総務相が政治にカネがかかる事情を述べている。「二十人近く秘書がいますが、彼らにも家庭があり、生活がある」。秘書給与のほか事務所の賃料、光熱費…と際限がない。そんな実態を、多くの政治家が率直に明かすべきではないか。

    弥縫(びほう)策としての政治改革なら、有害無益である。

     

    物事を取り繕うために講じる処置、といった意味の語。 欠点を隠すための、一時的な間に合わせ、といった負の意味で用いられることが多い。 なお、「弥縫」は縫い合わせて取り繕うことを指す語。
     
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