歴史的な記録物を保存するユネスコ「世界の記憶」に今年登録された「東学農民革命」。日清戦争のさなか、日本の侵略に抗した朝鮮の民衆を日本軍が徹底的に弾圧。日本軍最初のジェノサイドともいわれます
▼当時、朝鮮の人々は東学農民軍を組織。ライフル銃を持つ日本軍に竹やりや火縄銃で応戦しました。日本政府は掃討作戦を朝鮮全土で実施、5万人を超える犠牲者が出たとされます
▼この10月、日本軍の討伐本部が置かれた韓国南西部・全羅南道羅州市に日韓の市民によって「謝罪の碑」が建てられました。きっかけは日本近代史の専門家で奈良女子大の中塚明名誉教授が毎年行ってきた日韓歴史紀行でした
▼日本の市民が歴史を知ることで心を込めた謝罪を表そうと碑の建立基金を集め始めます。それを知った韓国の市民も感動と喜びをもって基金に参加。いまも強制動員や「慰安婦」被害者らから謝罪と賠償を求められている日本政府とは対照的です
▼除幕の直前に亡くなった中塚氏と研究を共にした韓国の円光大学・朴孟洙(パク・メンス)名誉教授は話します。謝罪と赦(ゆる)し、和解と共生という新たな日韓関係のモデルが誕生した。この小さな出来事がバタフライ効果となって、羅州が東アジアの平和と世界平和を実現する聖地になることを願う、と
▼2024年は日清戦争から130年の節目を迎えます。日本による侵略戦争と正面から向き合う年。歴史の教訓を学び、世界の戦争や紛争を止める年。そして、その思いを共にする政府をつくる年に。