初心・uigokoro 19-1~歳月~
そう、憂鬱
それはきっと真由のことがあったからじゃなく、今までも気になってたことのひとつ。
なんとなくは思っていた、年上だって事を一番気にしてるのは自分自身だってことに
今更ながら驚いた。
それは・・・きっと
10年前に夕貴に告白された時もそうだったんだ。
私はお姉さんなんだから。ずっとそう思っていた、あの頃は・・・。
身長も私の方がまだ高くて、夕貴は童顔だったから余計にそう思ったのかもしれない。
今現在、再会してから色んな事がこの数ヶ月で起こって
その度、もろく崩れ落ちそうになる私を支えてくれていたのが夕貴。
真由がいなくなってしまったあの時、夕貴が居なかったら私はどうしていたのだろう?
それから・・・逆の場合も考えた。
夕貴とあの日、出逢わなかったら、そのまま連絡を取らなかったら
今でも真由は私の傍に居たのだろうか?
もし・・・なんて考えるとキリがないのは充分分かっているのに、何だか今日はそんな事ばかり考えてしまった。
夕貴と逢っていつものようにデートして・・・最近ちょっと進歩したのは別れ際にキスするくらい。
彼の事が好きになればなるほど、今の自分に自信が持てなくなってきていた。
「どうしたの?何だか元気ないみたい。」
ぼんやりとそんな事を考えていると不意に声をかけられた。
「なんでもないよ。」
無理に笑おうとすると、なんだかぎこちないのが自分で分かる。
「やっぱり変だ。」
「変?どこが?」ちょっと怒った口調で答える。
「会社で何かあったの?」
「何にもないってば!!」
自分でもおかしいって分かってるから尚更キツイ口調で返した。
「ごめん・・・夕貴が悪いんじゃないのに。」
<19-2>につづく