クリストファー・プリースト 「魔法」 | The Key of Midnight

クリストファー・プリースト 「魔法」

クリストファー プリースト, Christopher Priest, 古沢 嘉通
魔法

爆弾テロに巻きこまれ、記憶を失った報道カメラマンのグレイ。彼のもとへ、かつての恋人を名乗るスーザンが訪ねてきた。彼女との再会をきっかけに、グレイは徐々に記憶を取り戻したかに思われたのだが…

南仏とイギリスを舞台に展開するラブ・ストーリーは、穏やかな幕開けから一転、読者の眼前にめくるめく驚愕の異世界を現出させる!

奇才プリーストが語り(=騙り)の技巧を遺憾なく発揮して描いた珠玉の幻想小説。


 ◆ ◆ ◆


読了してから一ヶ月以上経っているのですが、

それだけの時間をかけても、結局真実が何であったかわかりませんでした。そんな状態で感想を書いてよいのかどうか迷ったのですが、このままだと結局書かないまま終わってしまいそうだったので、暫定でまとめておきます。


まず、最初に書いておかなければならないことは、本書はファンタジーである、ということ。確かにミステリ的な要素もあるにはあるのですが、結局のところはファンタジーです。

それは、中盤で明かされる、有る一つの重要な要素が示しているのですが・・・・・・・。

それをあらかじめ知っているかどうかで、感想も変わってくると思うので、一応伏字に。

その要素とは、透明人間。この、一つのファンタジー要素が核となって、中盤以降は進んでいきます。


一見するとただの恋愛小説にしか見えないのですが、読んでいくうちに奇妙な感覚にとらわれていくでしょう。

記憶の食い違い、というのは良くあるテーマですが、この作品ではそれを突き詰めています。

そして、その謎がラストで解かれるのか、と思いきや。

ラスト数ページで、話は全く予想しなかった方向に。

意外すぎる、というか・・・・・・・。読み終えて、呆然としてしまいました。

一体何だったのだろう、と最初に戻ってパラパラと読み返し、伏線を拾おうとしたものの。

――結局、真実はわからず。

ミステリではなくファンタジーなので、厳密な答えが用意されているかどうかはわからないのですが・・・・・・・。そのあたりで、少しもやもやしたものが残ってしまいました。

もしかしたら、しっかり読み返せば、割り切れる答えのようなものが存在するのかもしれませんが。

個人的に、読み返したくなる、というようなストーリーでもなかったですし・・・・・・。

ある種、「夏と冬の奏鳴曲」にも通じるようなものを感じたのですが。

ファンタジーだから何でもありかなあ、と思ってしまうと・・・・・・厳しいですね。

「夏冬」のような作品を未読であれば、もっと強い衝撃を受けたのかもしれません。

一つ一つの話がしっかりまとめてあり、各所に伏線の断片も見えるので、考察のしがいは十分にあるでしょう。

そういった系統のものがお好きな方にはお薦めです。8点


しかし・・・・・・。

本当に綺麗な解釈は存在するのでしょうか。

確かに、何か凄いトリックが仕掛けてあるような気がするのですが。うーん。

気になります。

今度、余裕のあるときにでも、もう一度挑戦してみたいです。