松尾由美 「九月の恋と出会うまで」 | The Key of Midnight

松尾由美 「九月の恋と出会うまで」

松尾 由美
九月の恋と出会うまで

壁穴から囁く不思議な男。戸惑いながらも志織は彼の奇妙な依頼を引き受けた。愛の魔法に導かれているとも知らず…。

恋が恋を呼ぶ、知的でキュートな奇跡のラブストーリー。

 ◆ ◆ ◆

時間もののSFミステリ、ということだったので、気になって読んでみました。

一見恋愛小説で、実際純粋な恋愛小説だったのですが、加えて時間ものSFとミステリの要素が巧く融合しています。

「未来からの声」パターンの物語で、時間ものとしての構造は非常にシンプルですが、その分物語としては綺麗にまとまっています。

解決も、読めやすい部分もあるのですが、意外性は十分。

ミステリ的にもSF的にも納得できるオチが用意されており、それが結果的に恋愛小説としての構成につながっていく、というのが良いですね、

また、タイムパラドックス関連で初めて見るアイデアがあったのですが、これは単に自分が知らなかっただけでしょうか。面白いのですが、SFというよりはファンタジーよりかな、と思いました。

実際、理論的な部分は細かく突き詰めていないですし、厳密なSFというより、SF風のファンタジーといったほうが近いかもしれません。

日常の中の小さなファンタジー。まさに「マグカップ一杯分の奇跡」。

大げさではないけれど、良い話。
7点
タイトルも良いですね。