松尾由美 「九月の恋と出会うまで」
- 松尾 由美
- 九月の恋と出会うまで
壁穴から囁く不思議な男。戸惑いながらも志織は彼の奇妙な依頼を引き受けた。愛の魔法に導かれているとも知らず…。
恋が恋を呼ぶ、知的でキュートな奇跡のラブストーリー。
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時間もののSFミステリ、ということだったので、気になって読んでみました。
一見恋愛小説で、実際純粋な恋愛小説だったのですが、加えて時間ものSFとミステリの要素が巧く融合しています。
「未来からの声」パターンの物語で、時間ものとしての構造は非常にシンプルですが、その分物語としては綺麗にまとまっています。
解決も、読めやすい部分もあるのですが、意外性は十分。
ミステリ的にもSF的にも納得できるオチが用意されており、それが結果的に恋愛小説としての構成につながっていく、というのが良いですね、
また、タイムパラドックス関連で初めて見るアイデアがあったのですが、これは単に自分が知らなかっただけでしょうか。面白いのですが、SFというよりはファンタジーよりかな、と思いました。
実際、理論的な部分は細かく突き詰めていないですし、厳密なSFというより、SF風のファンタジーといったほうが近いかもしれません。
日常の中の小さなファンタジー。まさに「マグカップ一杯分の奇跡」。
- 大げさではないけれど、良い話。
- 7点。
- タイトルも良いですね。