道尾秀介 「片眼の猿」
- 道尾 秀介
- 片眼の猿 One‐eyed monkeys
俺は私立探偵。ちょっとした特技のため、この業界では有名人だ。その秘密は追々分かってくるだろうが、「音」に関することだ、とだけ言っておこう。
今はある産業スパイについての仕事をしている。地味だが報酬が破格なのだ。楽勝な仕事だったはずが―。
気付けば俺は、とんでもない現場を「目撃」してしまっていた。
◆ ◆ ◆
読了してから数週間経過してしまいましたが・・・・・・・。
このところ傑作続きの、道尾さんの新作です。
発売前から「テーマを重視した作品」と言っていたので、期待していたのですが・・・・・・。
確かにテーマ性は今までの作品で一番高いのですが、ミステリとしては割り切れないものが残ってしまう作品です。
伏線はしっかり張ってあるのですが、何かいまいち。
巧いなあ、と思うと同時に、アンフェアすれすれでは? とも思ってしまいます。
仕掛け自体も、事件とは関係の無い部分でのものですし。
それも、「テーマ性」を考えていけば、自然と半分くらいは見えてきます。あくまで半分くらいは、ですが。
全部見抜ける人は・・・・・・・いないでしょう。
それは誇張ではないと思います。
・・・・・・決して納得できないトリックではないですし、読後感も良いので、これが悪いというつもりはありませんが。
今までの作品から本格度の高いミステリを期待して読んでしまったので、ちょっと期待外れだったかな、といった感じです。
特に、「骸の爪」あたりの作品が好みだったので・・・・・・・。
ミステリ風の一般小説だと思えば、これはこれでアリだと思います。
事件の真相にしろ、数多くの「騙し」にしろ、確実にテーマには結びついていますし。
読みやすさも今までの中ではベストではないでしょうか。
読み終わって真っ先に思い浮かべたのは、数年前に話題になった某作ですが、何となく構成や「やりたかったであろうこと」が似ている気がします。意識して書いたのかな? と思ってしまったほど。勿論、トリック等は別物ですが。
それほど本格にこだわらず、驚ける作品が読みたい、という方にはお薦めできる一冊です。
7点。
・・・・・・ところで、全くどうでもいいことですが、作中でマジックを演じている描写があると「それは実際にできるかどうか?」を一瞬考えてしまいます。マジックの知識がある作家の書いた作品などは、まず確実に「実際にできる現象」なのですが・・・・・・。
本書はちょっと厳しいかな、と思いました。相当負担が大きいというか、失敗率が高そうです。
・・・・・・本当にどうでもいい話ですね。