ポール・アルテ 「赤い霧」 | The Key of Midnight

ポール・アルテ 「赤い霧」

ポール アルテ, Paul Halter, 平岡 敦
赤い霧

1887年英国。ブラックフィールド村に、『デイリー・テレグラフ』の記者と名乗る男が十年振りに帰郷する。昔、この村で起こった密室殺人事件を、正体を隠して調べ直そうというのだ。

十年前、娘の誕生日に手品を披露する予定だった父親が、カーテンで仕切られた密室状態の部屋で、何故か背中を刺されて死んでいた。当時の関係者の協力を得て事件を再調査するうちに新たな殺人事件が起こり…。

奇怪極まる密室殺人と犯罪史上最も悪名高い連続殺人を融合させ、“フランスのディクスン・カー”と評される著者が偏愛して止まない冒険小説大賞受賞作。


◆ ◆ ◆


ただの不可能犯罪者だと思っていたらやられます。

「一筋縄ではいかない」というのが、本書を形容するのに最も適した表現かもしれません。

冒頭から出てくるにもかかわらず、解決編まで隠された語り手の正体。

非常に特殊な二段構成。

真相が読めた、と思った瞬間には、すでに作者の罠にはまっていました。

見事に「意外な犯人」です。

これは読めませんでした・・・・・・。

読者が、ある程度先を読むことを見越して仕掛けられたミスリード。これには舌を巻くほかありません。

しかも二段階。

読了後、この特殊な構成にはこんな意味があったのか、と驚くこと間違いなしです。

その分、不可能犯罪部分のトリックは、メインのネタに比べるとやや地味で、あまり印象には残らないかも。

第一の密室殺人のトリックは、ある程度予想できましたし・・・・・・。

ただ、「不可能状況をミスリードに使う」という手法は、すばらしいです。ミステリ好きな人ほど引っかかりやすそう。


「第四の扉」ほどの過剰さは感じられませんでしたが、これはこれで、特殊な形式のミステリとして楽しめました。

第二部の意外性に関しては、あらすじその他で読めてしまう部分もありますが・・・・・・。それでも、”あの探偵”や”あの犯人”が登場するのは、なんとなくお得感があります。

ある程度ミステリを読みなれた人にオススメの一冊。

7点