恒川光太郎 「雷の季節の終わりに」
- 恒川 光太郎
- 雷の季節の終わりに
現世から隠れて存在する小さな町・穏で暮らす少年・賢也。
彼にはかつて一緒に暮らしていた姉がいた。しかし、姉はある年の雷の季節に行方不明になってしまう。姉の失踪と同時に、賢也は「風わいわい」という物の怪に取り憑かれる。風わいわいは姉を失った賢也を励ましてくれたが、穏では「風わいわい憑き」は忌み嫌われるため、賢也はその存在を隠し続けていた。
賢也の穏での生活は、突然に断ち切られる。ある秘密を知ってしまった賢也は、穏を追われる羽目になったのだ。風わいわいと共に穏を出た賢也を待ち受けていたものは―?
透明感あふれる筆致と、読者の魂をつかむ圧倒的な描写力。『夜市』で第12回日本ホラー小説大賞を受賞した恒川光太郎、待望の受賞第一作。
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前作「夜市」が気に入ったので、発売直後に図書館に予約を入れたのですが・・・・・・。
かなりの待ち人数で、今になってようやく読めました。
やはり、前作が良かっただけに人気があるようです。
・・・・・・ただ、本書が前作ほど良いか、といわれると微妙なところ。
前半は物凄く良かったですし、雰囲気も好きだったのですが、後半の展開がなんとも・・・・・・。
茜の視点が入ってきてから話は一転、予想外の方向に転がっていきます。
微妙にリアルなところがまざってきたり、若干終わり方が唐突だったりと、色々な部分で勿体無く感じました。
話としてはきっちりオチもつけてある上、伏線もしっかり張ってあったりと、よく出来ているのですが。その方向性が、望んでいたものと少しずれていました。
このあたりは、好き嫌いが分かれるところだと思いますが。
個人的に、この人の作品の一番のよさは雰囲気だと思っているので、やはりそれは最後まで貫いてほしかったです。
無理にオチを作ろうとしなくても、この文章力と世界観があれば、自然に物語もついてくると思うのですが・・・・・・。
一応、前作が好きだった人は、本書もそれなりに楽しめると思います。
あとは後半部が好みに合うか合わないか。
全体的に非常に読みやすく、読後感も決して悪くないので、読んで損はないでしょう。
7点。
次作がどういったタイプの物語になるのかはわかりませんが、これから一体どういう方向に行くのか、楽しみだったり不安だったり。
長編なら、「風の小道」のような話の、ロングバージョンが読んでみたいです。