恒川光太郎 「雷の季節の終わりに」 | The Key of Midnight

恒川光太郎 「雷の季節の終わりに」

恒川 光太郎
雷の季節の終わりに

現世から隠れて存在する小さな町・穏で暮らす少年・賢也。

彼にはかつて一緒に暮らしていた姉がいた。しかし、姉はある年の雷の季節に行方不明になってしまう。姉の失踪と同時に、賢也は「風わいわい」という物の怪に取り憑かれる。風わいわいは姉を失った賢也を励ましてくれたが、穏では「風わいわい憑き」は忌み嫌われるため、賢也はその存在を隠し続けていた。

賢也の穏での生活は、突然に断ち切られる。ある秘密を知ってしまった賢也は、穏を追われる羽目になったのだ。風わいわいと共に穏を出た賢也を待ち受けていたものは―?

透明感あふれる筆致と、読者の魂をつかむ圧倒的な描写力。『夜市』で第12回日本ホラー小説大賞を受賞した恒川光太郎、待望の受賞第一作。

 ◆ ◆ ◆

前作「夜市」が気に入ったので、発売直後に図書館に予約を入れたのですが・・・・・・。

かなりの待ち人数で、今になってようやく読めました。

やはり、前作が良かっただけに人気があるようです。

・・・・・・ただ、本書が前作ほど良いか、といわれると微妙なところ。

前半は物凄く良かったですし、雰囲気も好きだったのですが、後半の展開がなんとも・・・・・・。

茜の視点が入ってきてから話は一転、予想外の方向に転がっていきます。

微妙にリアルなところがまざってきたり、若干終わり方が唐突だったりと、色々な部分で勿体無く感じました。

話としてはきっちりオチもつけてある上、伏線もしっかり張ってあったりと、よく出来ているのですが。その方向性が、望んでいたものと少しずれていました。

このあたりは、好き嫌いが分かれるところだと思いますが。

個人的に、この人の作品の一番のよさは雰囲気だと思っているので、やはりそれは最後まで貫いてほしかったです。

無理にオチを作ろうとしなくても、この文章力と世界観があれば、自然に物語もついてくると思うのですが・・・・・・。

一応、前作が好きだった人は、本書もそれなりに楽しめると思います。

あとは後半部が好みに合うか合わないか。

全体的に非常に読みやすく、読後感も決して悪くないので、読んで損はないでしょう。

7点

次作がどういったタイプの物語になるのかはわかりませんが、これから一体どういう方向に行くのか、楽しみだったり不安だったり。

長編なら、「風の小道」のような話の、ロングバージョンが読んでみたいです。