久住四季 「トリックスターズD」 | The Key of Midnight

久住四季 「トリックスターズD」

久住 四季
トリックスターズD
城翠大学の一大イベント、3日連続の学園祭、その一日目。
周と凛々子は異常な閉鎖空間の中に閉じ込められていた。すっぽりと闇のようなものに覆われてしまった講義棟。その中で、脱出するすべを探し、あがく周たち。この状況がどうやら魔術によるものであり、さらに周たちの中に魔術師の息がかかった裏切り者がいるらしいことが判明する。それが、それぞれの疑心暗鬼を招くことになり…。
招かれざる客“D”が来たりしとき、逃げ場のないその空間は恐怖と緊張で満たされる。魔術師と“D”の物語、登場。
 
 ◆ ◆ ◆
 
「トリックスターズ」3作目。
――これは、凄い。
読んでいる間の面白さも、解決編の意外性も、前二作を大きく上回っています。
今回のテーマは「メタミステリ」ですが・・・・・・。
こんな使い方があったとは、いやこれは本当に驚きます。
この真相は見抜けない。
学園祭一日目。暗闇の閉鎖空間に閉じ込められた男女。
「そして誰もいなくなった」風に、消えていく登場人物・・・・・・。
これにメタ的な趣向が合わさっているのですが・・・・・・。
御見事! としかいえないですね。
久々に、こんな面白いトリックを見ました。
読了後、「凄い」と連呼したくなるような作品も久々です。
今年トップクラスの衝撃でしょうか。
いや、衝撃とは微妙に違うのですが・・・・・・。何にしても大きな意外性。
大量の伏線が、ある一つの「転換」によって次々と収束していく様は感動すら覚えます。
前二作、少なくとも「トリックスターズ」は読んでおかないと”全く”トリックが通じない(或いは意味がわからない)わけですが、
シリーズ作品でここまで思い切ったことをやってくれたのは、純粋に嬉しいですね。
読者を騙すためとはいえ、シリーズ3作目でこんな作品が出てくるなんて。
このシリーズ、甘く見ていたかもしれません。

とにかく、細かなミスリードや伏線が上手く、思い返したときに再度驚きがあるのが良いですね。
特に今回は、ミスリードが凄かったです。
あらゆる方法を使っているというか・・・・・・。シリーズ作品であることや、本書がライトノベルであることさえ、ミスリードの一つになっています。
ある種、麻耶雄嵩の某作的な趣向もあったりして。
これは、ライトノベル本来の読者層よりも、むしろある程度ミステリを読みなれているほうが驚くでしょう。

本書を読むために、前二作を読む価値がある、とは言っておきます。
9点
このシリーズ、本当に続きが楽しみです。