桜坂洋 「ALL YOU NEED IS KILL」
- 桜坂 洋
- ALL YOU NEED IS KILL
敵弾が体を貫いた瞬間、キリヤ・ケイジは出撃前日に戻っていた。トーキョーのはるか南方、コトイウシと呼ばれる島の激戦区。寄せ集め部隊は敗北必至の激戦を繰り返す。
出撃。戦死。出撃。戦死―死すら日常になる毎日。ループが百五十八回を数えたとき、煙たなびく戦場でケイジはひとりの女性と再会する…。
期待の新鋭が放つ、切なく不思議なSFアクション。はたして、絶望的な戦況を覆し、まだ見ぬ明日へ脱出することはできるのか。
◆ ◆ ◆
個人的にとても苦手な作家なのですが、ループものということで読んでみました。
戦場で死ぬたびに出撃前日に戻り、戦いを繰り返す主人公。
ループものではありますが、その部分がメインではありません。
特にギミック等が仕掛けてあったりすることもなく、一応ループに理由付けはあるものの、軽く流されています。
そのため、ミステリ的な要素はほとんどなし。
この点、期待していたものと違ったのですが、それでもループ自体は物語に上手く生かされています。
ループというよりは、ゲームのリセット、という感覚のほうが近いでしょうか。
肉体は何度ループしても変わらない。しかし、覚えた戦い方は継承される。
ループを繰り返すうちに、どんどん強くなっていく主人公。
非常にストレートな物語ですが、展開が上手いです。
読みやすいですし、万人受けしそう。
中盤、一人の女性が出てきてから、また若干話の方向性が変わるのですが、
そのあたりも王道を踏まえて良く作ってあると思います。
・・・・・・しかし、それはそれで良いのですが、おかげで物足りなく感じる部分も。
ラストも随分あっさりしていた気がします。切ないエンディング、なのでしょうが、それまでの書き込みが薄いので、淡々と終わってしまった感じです。
やっぱり自分には合わないなー、という部分もあったものの、それでも予想していたよりは遥かに良かった作品。
「よくわかる現代魔法」等が合わなかった人も、こちらは読んでみても良いと思います。
7点。