竹内真 「自転車少年期―あの風の中へ」
- 竹内 真
- 自転車少年記―あの風の中へ
生まれ育った南房総の風ケ丘から、目指すは大都会・東京。新世界への旅立ちだ。
喜びや挫折を味わいながら、僕らは夢に向け、ペダルをひたすら漕ぎ続けた。仲間と、東京から日本海を目指す自転車ラリーを完走した。もちろん素敵な恋もした。
単行本版『自転車少年記』の構想を元に新たに書き下ろされた、爽快無比の成長小説。
◆ ◆ ◆
去年読んだ小説の中で、ベスト3には入るほど面白かった「自転車少年記」の、ある意味続編ともいえる一冊です。
あらすじにもあるように、本書は「自転車少年記」がっただ文庫落ちしただけ、というわけではありません。
ここらへんは、大矢さんの解説を読んでいただくのが一番だと思うのですが・・・・・・。
本書は、「自転車少年記」の後半部分(八海ラリー以降)を昇平の後編で統一し、それに加えて単行本の続きが書かれたものです。
「自転車少年記」が楽しめた人は、読む価値があると思います。
ただし、単行本のほうを未読の方には、こちらより先にまず単行本を読んでおくことをお勧めしておきます。
勿論、これを単体で読んでも楽しめることには間違いありませんが、単行本と併せて読んでこそ、より本書の面白さがわかると思うのです。
そういった意味で、本書はある意味ファンサービス的な一冊とも言えるかもしれません。
本書もまた、自転車少年記というタイトルではありますが、どちらかといえば「少年」というより「大人」といったほうが良いような登場人物ばかりです。
それでも「少年記」なのは、いくら歳を取っても、その思いは未だ少年のまま――ということなのでしょう。
また、本書での「自転車少年」は、単行本に加えてもう一人います。
後半では、ある意味その人物が新たな”主人公”とも言えるのですが・・・・・・。
あまり多くのことは言えませんが、さすが竹内さん、巧いなあ、と思いました。
色々な人たちの半生を、自転車に絡めて書いた小説――ということで、続編でこういった終わり方を持ってくるのは良かったと思います。
欲を言えば、もう少し昇平以外の登場人物に対しても、深く書いて欲しかったところですが、
本書は昇平の物語であるため、それは仕方がないのでしょうね。
せっかくなのだから、草太の物語もいつか書いて欲しいものです。
「自転車少年記」が好きだった人に、お勧めの一冊。
単行本と切り離して考えることがどうしても無理なので、単体としての評価はできませんが、
単行本を読んだ上での評価で8点。
ある程度内容があって、500円を切る安さ、というのも良いです。