京極夏彦 「塗仏の宴―宴の始末」
- 京極 夏彦
- 文庫版 塗仏の宴―宴の始末
「愉しかったでしょう。こんなに長い間、楽しませてあげたんですからねえ」。その男はそう言った。
蓮台寺温泉裸女殺害犯の嫌疑で逮捕された関口巽と、伊豆韮山の山深く分け入らんとする宗教集団。接点は果たしてあるのか?
ようやく乗り出した京極堂が、怒りと哀しみをもって開示する「宴」の驚愕の真相。
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・・・・・・もう二週間以上前に読み終わっているにも関わらず、随分感想が遅れてしまいました。
「塗仏の宴」始末編。感想が書き辛い作品です。
支度編の内容に触れるとネタバレになってしまうので、曖昧な書き方しかできないのですが、
本書の印象を一言で言うなら、徹底徹尾「本末転倒」。
実際、「本末転倒」「どんでん返し」といった単語は、作中でも重要なフレーズとして何度も登場しますが、
最期の最期まで「本末転倒」な作品です。
良い悪いはともかく、本書のラストで明かされる真相には驚かされます。
ここまでやるか、と思わせられるような真実ですが、
同時に、この程度のことのために・・・・・・と呟きたくなってしまいます。
スケールも、大きいのか小さいのか判断がし辛いところです。
勿論、シリーズ中最も長いだけあって(支度・始末で一作と数えた場合)、スケールの大きさは過去作品を凌ぐものですが、
それ以上に、「宴」の準備に年月をかけすぎです。
・・・・・・これだけの年月、人数をかけて、その結果がこの「宴」というのは・・・・・・。虚しいような気もしてしまいます。
まあ、読んでいて楽しいので作品としては文句はありません。
レギュラーキャラは勿論、過去作品の登場人物まで様々な人間が登場し、シリーズ読者には嬉しい展開(実際のところ、自分はかなり忘れていましたが。細かなキャラクターになってくると、さすがに覚えていられないです・・・・・・)。
終盤は派手ですし、憑き物落しも圧巻。
相変わらず、ミステリではなく「京極小説」なのだなあ、と思わせられる話でしたが、これだけの厚さを読んだ甲斐はありました。
シリーズファンなら必読・・・・・・というのは言うまでもないですね。
ただ、これから読まれる方は、「支度」は勿論「姑獲鳥」の内容なども少し整理してから取り掛かったほうが良いと思います。
どうしても長すぎる印象はありますが、ラストは良かったので8点。
しかし、このクラスの作品を何度も再読できる方は凄いと思います・・・・・・。