「メメント」(映画)
- アミューズソフトエンタテインメント
- メメント
妻を何者かに殺されたショックから、10分しか記憶を保てなくなってしまったレナード。
彼は犯人を突き止める為、出会った人物や手がかりとなる物のポラロイド写真にメモを書き、自らの体にタトゥーを彫り、事件の真相を追っていくが…。
◆ ◆ ◆
映画自体が逆再生される、つまり、映画のオープニングが実際は話のラストに当たり、そのまま過去へ向けて――実際の「オープニング」に向けて、断片がいくつも再生されていくという奇妙な映画。
一本の映画を何分かおきに短いパートに区切り、それらの順番を逆に並び替えた、といえばいいのでしょうか。
その断片の合間には白黒のシーンが挟まれ、こちらは時系列順に進んでいきます。
とにかく、ややこしい映画。
冒頭で主人公が一人の男を殺すシーンから始まり(実際はこれがラストにあたる)、何故その男を主人公が殺すに至ったのかなどはその後で語られます。
主人公は、妻を殺した犯人に復讐をすることだけを考えている男。
果たして、事件の真相は何なのか?
「ラスト」から見ていても、全くそれが見えてこない上に、「逆再生」効果のおかげで全然話の展開の予測がつかないので、ついつい映像に集中してしまう。
というより、集中しないとすぐに何がなんだかわからなくなる。
一つの断片が再生され、白黒シーンが始まり、次の断片が再生され、そしてそのラストが一つ前の断片の冒頭へとつながる。おかげで、展開をしっかり覚えておかないと、途中で話がつながらなくなります。
これは主人公の「10分しか記憶を保てない」という障害を表すような構成ですが、本当に記憶なんて不確実なものだと思い知らされました・・・・・・。
きっと誰もがそう思うでしょう。
それがこの映画のテーマでもあるので、テーマが伝わるかいう点から見れば十分すぎるくらい成功しています。
そして、この映画のもう一つの見所は、独自の構成を生かしたどんでん返し。
最後のパート、すなわち「冒頭」で明かされる事実・・・・・・。
もちろん僕もそれなりに推理しながら見てはいたのですが、これは気づかなかった。というか、気づけるようなものなのか? 十分に驚かされました。でも、これがまた難解でもある。
結局、事件の真相は完全にわかるわけではないのですよ。
ただし、解決するための手がかりは与えられているので、考えればある程度妻殺しの真相は見えてきます。
しかし、やっぱり難しいことに変わりはないなぁ・・・・・・。
ただ、考えるのが好きな人にはとてもいいですね。
DVDには逆再生版(元の時系列順に戻してあるもの)も収録されているので、本編を見終わったあとそちらを見ると判らなかった人も理解できるかも。自信が無い人はDVDで見ることをお薦めします。
観ている間も観た後も、とにかく頭を使う映画なので、そういうのが嫌いな人には合わないと思いますが、
難解で斬新なサスペンスを求める人には丁度いいかと。
僕は結構楽しめたので、8点にします。
ただ、疲れるのは確かなので注意が必要です。