新しい道を行くぜ
新しい未知を行くぜ


腰の重い僕は
1人シャドーボクシングそこに逃げてた
勝ち負けもない
結果もわからない
長い夏休み
次行く事に戸惑っていたのさ


怖くて
不安で


傷つく
他人にどう思われるか

そんな事頭ん中ぐるぐるしてて
前を見ながら
逃げていたのさ



そろそろ行くぜ
このままじゃ
何も変わらねー
腐っちゃうだけ


きのうまでの安全対策
妄想地図
かなぐり捨てて


今まで着てた予防線
洗濯機に突っ込んで


走る


今走る


暗闇だろーと
関係ねー
母の家に行った
猫と遊びながら
CDを聴く事にした

母は音楽が大好きで
SuperflyとEXILEのCDが転がっていた


アベマリア


そのタイトルのCDが目に飛び込んだ


これは盲目のバイオリニスト
かわばた なりみち のCDだ


私は泣きそうになった







私が母をまだ大切にしていた頃母の誕生日に上げたプレゼント

それがこのCDだった




母はまだ聴いてくれていたのだ


いつもお金のない私がなけなしなお金で買ったCD



CDはかなり傷ついていた


きっと何度も聴いてくれていたのだろう



今の私のささくれ立った心を10年前の私がなぐさめているようだ
そして私を叱っている



夏の終わりに何ヶ月か後のクリスマスに母にプレゼントをあげようと
決めた





私はたくさんのモノや人を自ら切りまた失った

大好きな人には上手く接する事ができなかった



そんな時怒りながらもいつもそばにいてくれた母をもう一度見つめ直そう



この人がいなければ
私はここにいない



アベマリア


このCDを母は今まで
どんな気持ちで聞いていたのだろう
水垂れ流しの
バスタブに体埋めて
命をカウントする

どこに行きたいの?

どこにも行かなくていいの


ただ
誰かが
私を迎えにくるのを
待っているの



腕につけた傷
はみ出した血が
水しぶきに
蹴飛ばされていく



知らなかったの
自分自身がずっと
寂しかったこと



知らなかったの
助けてって言葉 言葉 言葉


暗闇のバスルーム
傷だらけの僕ら
泣きじゃくりながら
体起こす


びしょ濡れの体をタオルで拭う前に


助けに来て


助けて


早く