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☆内容紹介
明るすぎるし、見晴らしがよすぎる。どうも死ににくい。飄然から超然へ。
世界を睥睨する町田文学の新境地。
☆感想
この作品は随筆だと思って読み進めていたので、最後の最後にフィクションです、実在する人物、団体等とは一切関係ありませんと告げられ、拍子抜けした。
事実、田宮市は存在しないようだが、モデルは熱海らしい。
序盤の「超然」を目指してもんどりうちながら、思考がぐにゃぐにゃ、まさにどつぼにはまってしまう「余」の非超然とした姿がすごく面白い。
人間の不完全な部分の可笑しさがたっぷり詰まっていた。
パンクロッカーが気にするような事とは思えない、とてつもなく些細な「変な所」に目を付けて、ずるずると彼の思索の世界に読者を巻き込んでいく力に感動した。
自分も一人称を変えてみたくなる(笑)
でも読み進めていくうちに、正直なところまどろっこしい独特の文章に飽きがきた。
なんというか、中盤から読んでいて疲れるような気がした。
死を覚悟したあたりまでがピークなのかな、とも感じる。
といっても、笑った箇所は多々あるけど。引用したい文も沢山あるけど!
数々の著名な楽曲や映画の説明、ふれあい祭での親子の会話で特に笑った。
マーチダさんの素敵な屁理屈に魅了されたのも本当。
結論として、超然とするよりも、普通でいるよりも、異常になるよりも、元気なのがいちばんってことだ(笑)
☆面白かった部分を引用
・NO MUSIC,NO LIFEについて
「どういうことかというと、音楽がないと人生もない、と言っているのであって、人生がないということは死んでいるということで、最近携帯音楽プレイヤーを常時携行、耳から不細工な紐を垂らして市中で音楽を聴いている人が多いが、あれは不意に音楽がなくなって死ぬのを防止しているのである。」204p
・並べられた文豪たちのパネルを見て
「小僧の神様が痴人を愛したところ路傍の石にぶつかって滝壺に落ち、春の雪に降りこめられつつ富士を眺め、グッド・バイという、みたいな御本人が生きておられたら、こいつとだけは絶対に同席したくない、みたいなパネルであった。」284p