第7回仙台国際音楽コンクール ヴァイオリン部門 セミファイナル1日目 | 音楽と競馬、思ったことを書いて行きます

北田 千尋

 プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 op.19

  1:9分50秒 2:3分54秒 3:8分10秒

 ブラームス 交響曲第1番ハ短調 op.64 から 第2楽章の指定箇所

  3分23秒

 R.シュトラウス 交響詩「ツァラストラはこう語った」から 指定箇所

  3分59秒

 音がとても綺麗で、澄んでいる。プロコフィエフは、かなり積極的に攻めて来ており、メリハリも十分。一方で自然さもあり、この曲を良く弾きこんでいる様子が良く窺い知れる。ただ、この曲の持つ「浮遊感」のようなものが欲しいと感じるような場所で、唄いこんでしまうような感じもし、実際に、第3楽章の冒頭以降で、少し退屈に聴こえてしまった。

「コンミス」としては、大変素晴らしい演奏で、この部分は、申し分ないように思う。

 

 

岸本 萌乃加

 ストラヴィンスキー ヴァイオリン協奏曲ニ調

  1:5分40秒 2-1:4分38秒 2-2:5分28秒 3:5分51秒

 ブラームス 交響曲第1番ハ短調 op.64 から 第2楽章の指定箇所

  3分21秒

 R.シュトラウス 交響詩「ツァラストラはこう語った」から 指定箇所

  3分55秒

 ストラヴィンスキーは、彼女自身初めての取組になる曲のようだが、とにかく素晴らしいの一言。予選の時、この曲の演奏の予想として「手堅く」と書いてしまったが、全く違った。彼女の持つ少し重めの(重心の低い)音質・音楽と言うキャラクターにとても良く合い、この曲に挑戦しようと言う意欲が溢れ、選曲の意図が見るような、文字通りの秀演。形を崩すこと無く、鮮烈で、聴く側の心を捉える。曲の持ついろいろな側面・アイディアが見事に具現化され、申し分ない出来。コンクールと言う範疇を超え、今この曲をこれだけ見事に弾ける人は、そうそういないのではないだろうか。「コンミス」としても、メンバーに溶け込み、アンサンブル能力を見せつける。譜面も深く読み込み、ブラームス&R.シュトラウスが書いた音符の意味を、再確認させてくれる。いやあ、参りました、の一言。きっと、本選に進むだろう。

 

 

チャーリー・ラヴェル=ジョーンズ

 プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 op.19

  1:10分55秒 2:3分46秒 3:9分40秒

 ブラームス 交響曲第1番ハ短調 op.64 から 第2楽章の指定箇所

  3分26秒

 R.シュトラウス 交響詩「ツァラストラはこう語った」から 指定箇所

  3分57秒

 予選の時と、印象はあまり変わらない。プロコフィエフでは、もっと透明感が欲しいし、場所場所での凹凸が激しい。両端楽章では、テンポを比較的遅めに取り、ヴィブラートと弓圧に頼って唄ってしまうので、この曲をそう弾いては、逆に息苦しく感じてしまう。全体を通して、演奏から曲の様式感が感じられ難く、そう言ったことを、日頃からあまり意識していないのかも知れない。ブラームスでは多少個性を抑えたような感じになり、オケに溶け込んで、なかなか良い「コンマス」と思った。

 

 

古澤 香理

 プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 op.19

  1:9分50秒 2:3分51秒 3:8分22秒

 ブラームス 交響曲第1番ハ短調 op.64 から 第2楽章の指定箇所

  3分24秒

 R.シュトラウス 交響詩「ツァラストラはこう語った」から 指定箇所

  3分59秒

 とても真面目な性格の方なのだろう。それが、音楽に出てしまっているのが惜しい。幾分力任せの印象で、恐らく彼女の癖なんだろうと思うが、時折見せるルバート癖が、どうしても音楽がスムーズに聴こえない要因のひとつなんだと思う。速いパッセージでの音の処理があまり上手く無く、音と音が有機的につながって行かないように感じるし、全体的に音楽自体が前のめりになり気味で、もっとまっすぐに進んで行って欲しいと思う場所がいくつもある。第2楽章でのテクニックの弱点も気になる。もっと余裕を持ち、あっさりと通り過ぎる場所を多く作っても良いのではないだろうか。オケの中でのブラームスでは、とても良い音楽を作れるのに。

 

岸本 萌乃加さんは、きっと本選に進むだろう。北田 千尋さんも、可能性がある。

 

今回から採用された「コンマス試験」、以前から何度も書いて来たが、あまり意味の無い「イベント」だと思う。セッティングからして慌ただしく、手を掛け過ぎの「見世物」のようだし、さりとて、今日の4人の演奏を聴いても、あまり差が付くようなものでもなく、特にブラームスは、少なくとも楽章全体を弾かないと、曲の流れも何も無い中でいきなり始まるし、一体ブラームスの音楽を何だと考えているのか、と、聴きながらとても悲しくなる。いい加減に、やめて欲しい企画だ。