「・・・なんか、こうやって誰かと寝るのって久しぶりだな・・・」
「え?」
「親が死んでからずっと一人だったし・・・なんか懐かしいなって」
「・・・でも、俺だって久しぶりだぞ・・・」
「そうだよな。高校生じゃ、普通一人で寝るよなー・・・」
「寝るとしたら、自分の子供とかか」
「・・・そうだな」
もし、望が自分と添い遂げたら、望は自分の子どもに会うことはなくなる。
そう思うと少し悲しい気持ちになった。
「・・・別に、お前がいてくれれば子どもはいらないけど」
「・・・望」
意外な一言に、浄華は少し驚いた。
自分のことを傷つけないために言ったのだろうか。
そう思うと、余計愛おしく思えてくる。
「・・・まあ、もしもとか考えるのはいいんじゃね?俺も子ども欲しいなーとか思ったことあるし」
両親も兄弟もいない浄華は、家族に囲まれることに憧れを持ったことがあった。
「そうなのか?」
「ああ。男ならいっしょに外で遊んだりできるなー、とか。俺、トランプのダイヤが好きだったから、単純に子どもにはダイヤって名前付けたいなって思ってた」
「ダイヤ?なんか高そうな名前だな」
「お前も考えたことないの?」
「そうだなー。やっぱり夢に向かって生きて欲しいとか思うから、「夢」か「叶」って言う字を入れたいかな」
「・・・結構真面目に考えたんだな」
「お前が聞いてきたんだろ!?ったく・・・」
望はまた不機嫌になったらしく、向こうを向いてしまった。
「すねんなよ。いい名前じゃん」
「うるせーよ」
「・・・俺が子ども産めればいいのにな」
「急になんつーこと言うんだよ!」
「えー、そんな変なこと言った?」
どちらかが女だったら、もっと自然な恋ができていたかもしれない。
浄華はどうしてもそう考えずにはいられなくなってしまうのだ。
「俺が女なら・・・」
「・・・いいじゃん。別に男でも女でも。お前は俺が男だから好きになったわけ?」
「いや、そうじゃないけど・・・」
女でもきっと好きになっていたはずだ。
「そうだろ。まあ、男だから好きなんて言われたらちょっと怖えーけど」
「・・・確かにな」
今はまだ10時頃だろうか。
つい早く布団に入ってしまったが、この状況では出たくもないので、このまま寝てしまおうか。
「お前さっき眠いって言ってたよな。もう寝るか」
ベッドの薄暗いランプを消そうと手を伸ばすと、不意に望に止められた。
「?明るい方がいいか?」
「・・・いや」
望は更に浄華に近づいて、浄華のシャツをぎゅっと握った。
「もう少し・・・話さねーか?」
望の髪はシャンプーの甘い香りがする。
身体を抱いていると温かくて気持ちがいい。
それは硬いはずなのに何故か柔らかいような気がした。
「・・・そうだな」
浄華は出した手を布団の中に戻し、再び望に腕を回した。