さっきラインを引いた公式を、望はぶつぶつ言いながら音読している。
「覚えたか?」
「・・・うるせーよ」
軽い夕食を作りながら聞いてみると、そっけない返事が返ってくる。
「寝て忘れたじゃ意味ねーからな」
「分かってるよ!」
むきになって吼える望を見ているとなんだか笑えてくる。
「何笑ってんだ?」
望が不服そうな顔をこちらに向けてくた。
それが余計笑えてしまう。
「やっぱりお前俺のこと馬鹿にしてるだろ!」
「そ・・・そんなことねーよ」
「なんで引っかかるんだよ」
望はノートとシャープペンシルを放り出すと、カーペットの上に寝転がった。
急に静かになって、今にも寝てしまいそうな雰囲気だ。
「寝るな」
「眠い・・・」
やがて、寝息が聞こえてきた。
「このやろう・・・」
浄華は出来上がったパスタのフライパンを持って行き、望の腕辺りにシャツの上から当ててみる。
じゅう、と音がした。
「熱っ!」
望はびっくりして飛び起きる。
びっくりしすぎてどこが熱いのかも分からなくなったらしく、慌てて自分の身体を触っている。
「お前何つーことすんだよ!火傷したらどーすんだ!」
望は腕をまくり、赤くなった皮膚を指差す。
「あー、赤くなってるね」
「赤くなってるねじゃねえよ!お前がやったんだろーが!」
「仕方ねーな」
浄華は望の腕を引き寄せると、赤くなった場所に舌を這わせた。
「何やってんだお前は!」
「手当て」
「保冷剤持って来い!それか冷やしたタオル!」
「お前顔も火傷したの?」
赤くなっていた望の顔が、更に赤みを帯びていく。
「うるせええ!」
「面白れー」
「・・・お前性格悪すぎだろ。前はもっと優しかったのに・・・」
「分かんねーかな。好きなやつ程いじめたくなっちゃうの」
「・・・!」
望はこちらを見ながら口をパクパクさせている。
そんな望をよそに、浄華はスッと立ち上がると、フライパンに入ったパスタを上機嫌で皿に盛り付けた。
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