「浄華ー、数学のノート見せてー」
「あ・・・ああ・・・」
望に数学ノートを渡すと、浄華は自分の席に戻っていく後ろ姿をまじまじと見つめる。
友情をぶち壊したはずのあの日からすでに1週間。あんなに酷いことをしたのに、望との友人関係は以前と変わらず続いている。
(・・・いや、ひとつだけ変わったか)
あの日以来、望は浄華と二人きりになるのを避けている。
一人で自宅まで遊びに来ることはなくなり、下校するときは他の友達を連れて来て必ず三人以上で帰ろうとするようになった。
(そりゃそうだよな。二人きりになったら何されるか分かんねーもんな)
表上の友情は続いていても、心の奥にある絆はぷっつりと切れてしまったのだろう。
そんなことを考えていると、望とクラスの男子の話し声が聞こえてきた。
「望ー、B組のリカちゃんがお前のこと気になってるらしいんだけどどう?」
「あー・・・もうしばらく女の子はいいや」
「えー!?お前らしくねーな。悪い女にでも引っかかったか?」
「ちげーよ。もう見境なく付き合うのはやめたの」
そういえば、あの日以来望が自分から女の子の話をすることはなくなった。
正直言って一番聞きたくない話だったのだが。
(俺も女の子だったら可能性あったかな・・・)
以前、望が男と付き合うなんてありえないと言ったのを鮮明に覚えている。
それなのに、無理矢理抱いてしまった。
(いい加減諦めた方がいいよな。現実見ろっての)
自分を嘲笑ってやりたくなったが、多分一生諦めがつかないことは自分でも何となく分かっていた。
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