「・・・ふざけんな・・・」


 声を震わせ、膝の上で拳を強く握り締める。


「え・・・?」


「とぼけんじゃねえよ!てめえが教室で彼女と何やってたのかって聞いてんだよ!」


 望は今浄華が言った台詞が信じられないというように目を見開いた。


「な・・・んで・・・知って・・・」


「お前が中々来ないから教室まで見に行った。そしたら・・・」


 その先を言おうとすると、何故か言葉が詰まってしまう。しかし、その先を聞かなくても望は言いたいことが分かったようだった。


「ごめん・・・あの子がどうしてもって言って泣き出したから他にどうしていいのか分かんなくなって・・・」


 望の声が震えている。よっぽど罪悪感を感じているのだろう。


 いつもは望が約束をすっぽかしても、何だかんだで結局許してしまっていたが、今回はどうもそういう気になれない。怒りの根本的な原因は約束についてではないのだから。


「・・・むかつく・・・」


 つい出た言葉にも、望は過剰に反応し、また謝り始めた。


「ホントにごめん!・・・俺はどうしたらいいんだ・・・?何でもするから・・・」


「何でも・・・?」


 その発言から、浄華の頭の中にとんでもない考えが浮かぶ。

(これに付け込めば、望を抱ける・・・?)


 そんなことをしたら、明日からはもう親友ではいられない。きっと一生怖がられ、嫌われることになるだろう。しかし、これ以上望が他の相手と身体を重ねるのはもう耐えられない。自分が潰れる───。


「・・・今、何でもするって言ったよな?」


「え?う、うん・・・」


 望は一瞬、迷ったような顔をしたが、覚悟を決めたようで、改めてこちらを見つめ返してくる。


「許してくれるんなら何でもする。何発殴ったって構わないし、あげれるもんなら何でもやるし―」


「ヤらせろ」


「は?」


「俺と寝ろって言ってんだよ」


 固まる望をよそに、浄華は言葉を続ける。


「何でもするんだろ?だったら俺と寝ろよ」


 望は信じられないというような顔をして、動揺しながら口を開けた。


「な・・・何言ってんだよ!?俺は男だぞ!?胸もないし、それに・・・」


「そんなこと分かってる。それとも怖気づいたか?」


 わざと挑発するような言い方をしてみるが、望は相変わらず困った顔をしている。


 望が何も答えないので、浄華はソファーから立ち上がり、テーブルを挟んで反対側のソファーに座っている望を抱え上げた。


「ちょっ・・・!?何して・・・」


「ベッドに行くに決まってんだろ」


 暴れる望を抱えたまま自分の寝室へと向かう。ドアを勢いよく開けると、薄暗い寝室のベッドに望を放り投げた。


「いったぁ・・・!何すん・・・!?」


 浄華は望の身体を自分の身体で押さえつけ、顔を固定させる。そして、望の唇に自分のそれを無理矢理重ね合わせた。




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