誰かが鳴らしたインターホンの音で目が覚めた。


 知らないうちに眠ってしまっていたらしい。外も部屋の中も真っ暗になっている。


 携帯電話を開いて時刻を見ると、PM7時。思っていたより時間は経っていなかった。


(・・・あれ?着信履歴が・・・)


 寝ていたせいか着信音には全く気づかなかったが、着信が17件も入っている。


 その着信は全て望からで、一番古い着信の時刻はPM6時12分だった。


(へー。人を待たせといて、あれから更に一時間もヤってたのかよ)


 無性に腹が立ったが、それは抑えて玄関へと向かう。


 玄関のドアを開けると、そこに立っていたのは望だった。


「浄華!ごめん。連絡しないで待たせちゃって・・・あれ・・・?」


 謝罪の途中で望が急に話すのを止め、浄華の顔を不思議そうに見ている。


「・・・何?」


 意味が分からず、イライラしながら問い返すと、望は言いにくそうに口を開いた。


「いや・・・なんか・・・目が赤いなと思って・・・」


「・・・っ!?」


 反射的に目を触るが、触っただけでは分からない。しかし、原因ははっきり分かっていた。


(さっき泣いてたからか・・・)


 一瞬忘れかけていたけれど、自分がさっきまで泣いていたことを思い出す。


「あ・・・どうかしたのか?」


「・・・少しこすったから赤くなっただけだろ。とりあえず入れよ」


 思いつきでごまかし、望を部屋へ招き入れる。


 冷蔵庫にあったジュースをグラスに注いで渡すが、望は口を付けようともしなかった。


「・・・そのジュース嫌いなのか?」


 イライラしているせいか、喧嘩を吹っかけるような言い方をしてしまう。その言葉に望はビクリとし、震えながらコップに口を付ける。


 しばらく沈黙が続いた。望が何か言うのを待っていたが、ビクビクしていて何も言おうとしない。


 結局は気が短くなっている浄華が口を開いた。


「お前さあ、何か用があってきたんじゃねーの?」


 浄華の声に反応してしまったのか、望は持っていたコップを引っくり返そうになる。


 コップをテーブルに置くと、望は子供が叱られているときのような顔を向けてきた。

 

 今の望は明らかに浄華を怖がっている。自覚はないが、きっと今の自分は怖い顔をしているのだろうと浄華は思った。


 そして、やっと望が自分から口を開く。


「あの・・・怒ってる?」


「・・・何に対して?」


「・・・今日一緒に帰りたいって言ったの俺なのに、連絡入れずに待たせたこと・・・」


 それもあるが、もちろん浄華にとって一番腹が立つことはそれではなかった。


「・・・それで?人のこと1、2時間待たせて一体何してたんだよ?」


 望は気まずい表情を浮かべ、小さな声で話した。


「・・・友達と話し込んじゃって・・・」


(・・・嘘つくのか・・・)


 望が嘘を言ったことで、浄華の中で何かが切れる。




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