子供の頃、全く作風は違うのだが、2人の女性作家のエッセイに衝撃を受けた。
一人目は、向田邦子さんである。
食べ物の話や猫の話、要は如月の好きなジャンルのお話も多く入っているわけだが、とにかく軽やかでそれでいて鋭い。
「文春カセットライブラリー」というシリーズがあり、山岡久乃さんの声でエッセイが朗読されているのを何回も何回も、暗記するほどに聴いていた。
そして、二人目が。
さくらももこさんである。
文章を読んで声を出して笑うという経験を生まれて初めてさせられたのは、さくらももこさんのエッセイだった。
そして、いい意味で、読後感がない。
つまり、深く考えさせられるような話ではないので、人にすすめやすい。
如月は、誰かが入院すると、必ずといっていいほど、さくらももこさんの初期エッセイ3部作を買って持っていき、そして、みなさん喜んでくださっていた。
あのエッセイを書いたとき、さくらさんはまだ20代である。化け物か。
いわゆる少女漫画的なストーリーでは全く芽の出なかったさくらさんは、確か高校生のときに書いた文章を「現代の清少納言」と誉められ、そこから作風を「エッセイ漫画」と呼ばれる今のジャンルに変えていき、瞬く間に国民的な作家になられた。
正直なところ、この仕事をしていったら、いつか関わることができるのではという淡い期待があった。
でも、もうそれは永遠にかなわなくなってしまった。
目の前にある本も、さくらさんの本である。
たまたま最近取り出して読んでいたのだ。
何か虫の知らせがあったのかもしれない。
向田邦子さんは、如月が生まれる前年に、飛行機事故で51歳という短い生涯を終えられた。
さくらさんも、53歳という、早すぎる一生であった。
お二人とも、才能をばらまいて、早く逝ってしまわれた。
このお二人に才能では遠く及ばないが、一生懸命やれることをやっていこうと思った。
謹んで哀悼の意を表します。
楽しい作品をたくさん、ありがとうございます。