日時:2023年11月18日
会場:ミューザ川崎
指揮:ジョナサン・ノット
ピアノ:ゲルハルト・オピッツ*
チェロ:伊藤文嗣**
東京交響楽団(コンマス:景山昌太郎<客演>)
S席 5,250円(年間セット券)
2CA-2-30番台
<木管トップ>
フルート:竹山愛
オーボエ:最上峰行
クラリネット:吉野亜希菜
ファゴット:福井蔵
<金管トップ>
ホルン:上間善之
トランペット:佐藤友則
トロンボーン:大馬直人
ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第193回
リゲティ アパリシオン
ドビュッシー 「3つの夜想曲」から“祭”
ブーレーズ メサジェスキス ~独奏チェロと6つのチェロのための~**
アマン グラット
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番・変ホ長調「皇帝」 op.73*
なんだかミューザに来たのが久々に感じるなぁと思ったら1ヶ月以上間隔が開いていました。最近、飲み会代捻出と家族への配慮のため意図的にコンサートの回数を減らしているのを実感しました。
前半は攻めに攻めた曲のオンパレード。
1曲目のリゲティのアパリシオン。
一見、支離滅裂にも思える曲だが、妙に心地よく妙に気が惹かれる。
なぜかワクワクしながらあっという間に曲が終わってしまった。弦は12-12-10-8-6。
2曲目はドビュッシーの祭。
リゲティの後だからかホッとしてリラックスさせてくれた。フランスの香りをたっぷり届けてくれました。
弦は14-12-10-8-6。
3曲目はブーレーズのメサジェスキス。
チェロのソロと6人のチェリストだけで演奏された。
エグい曲だった。
伊藤さんのテクニックが炸裂。
他の6人のチェロも凄まじい。
左手の動きを見ていたらいかにテクニックを求められている曲かがよくわかる。
曲が終わり、7人のチェリスト達のやり遂げた感たっぷりの清々しい表情が印象的でした。
4曲目はアマンのグラット。
これがまたすごい曲でした。
約20分間、ほぼハイテンションのまま突っ走る感じ。ただフルスロットルではなく、200m走のペースで時折アクセルを踏むようなイメージ。
間違いなく現代音楽ですが、あの嫌な世界ではなく、うまく表現するのが難しいのですが、緊張感のもと気持ちが高揚させられていくという感じの曲でした。たくさんのパーカッションが大活躍。
よくこんな曲を探してくるものだとノットさんの飽くなき探求心というものを感じさせられました。
弦は14-12-10-8-6。
前半はいずれの曲も手を抜くことができない曲ばかりでしたが、東響は見事にノットさんの期待に応えていたように思います。いい響きを持ちながらも一つひとつの音が明瞭に聴こえるミューザだからこその快演だったように思います。
後半は前半とは打って変わって、オピッツさんをソリストに迎えてのベートーヴェンの皇帝。
前半が緊張の連続だったためかすごくほっこりしました。
オピッツさんのピアノはドイツの風格をたたえながらも優しい音色で心に染みる。第2楽章の優しいメロディーには迂闊にもホロッときてしまいました。
ノットさんの鮮やかなタクトから奏でられる東響の音が生き生きとして美しい。
何度も聴いた皇帝ですが、今日ほど心穏やかに心に沁みた演奏は初めてのような気がします。
弦は12-12-8-6-5。
今日は前半と後半とで真反対のプログラムでしたが、充実していて老若男女が楽しめたコンサートだったと思います。