誰もいない公園を歩く。文化財のように埋もれていた巨大な松ぼっくりが一つまたひとつ。
やわらかな日差しを木肌に感じる。それはきみの肌のように栄養を蓄えて乗り切った冬の終わり、あるいは春の始まり。
いくつものひかりが氷雪ぎりぎりに境界をえぐっていく。きみの像がこぼれる。ふるさとの潮のように。
今しがた美しい影が風で揺れているように見えた。ささやかなわたしの記憶も耳なりも。冬の最高気温の水が熟れる。
岸のない空の湾内に彗星のように堕ちていく航空機の軌跡。あるいは希薄なこの国の戦意。
誰かと交わるために草花の死が新しい命を地上に贈る。想像力の破片の波しぶきが夕闇に包まれていく。
比喩はまだまだ幼いが、子規のように「文学はようやく佳境に入りぬ」。道連れが山交わる。
同行二人とつぶやく空は新しい写生を始める。きみはきみの歌を。流れる髪。流れる時空。流れる

