天上のアイス | The Magellan

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Poetry Magazine Magellan 発行人のブログ

H21.5.9



 大型連休も終わり、周辺の風景も日増しに初夏のような装いとなってきた。きょうはアイスクリームの日だそうだ。その由来は、連休後に本格的なシーズンが始まるからだと聞くが、確かにそうかもしれない。

 日本人で初めてアイスクリームを食べたのは、咸臨丸(かんりんまる)で渡米した使節団だと言われている。明治初期に国内で販売されたときの値段は、現在の価値に換算すると約八千円で、とても庶民の手には届かない高級菓子だった。

 アイスクリームの起源は、紀元前後のローマの文書にもレシピが残っているほど古く、シーザーやアレクサンダー大王も食したと言われている。雪や氷を砕いたものにミルクや蜜(みつ)を掛けたかき氷のようなものらしいが、同様の氷菓は『枕草子』にも登場する。

 現在、全国には醤油(しょうゆ)アイスなど、さまざまなご当地アイスがあるが、県内にも、こしひかりや深層水、呉羽梨(なし)や魚津りんごを使ったもの、さらには薬膳(やくぜん)アイスなど個性的な商品が多い。

 これほど人々に嗜好(しこう)されている食品も珍しいが、詩人宮沢賢治の「永訣(えいけつ)の朝」には、死にゆく妹に頼まれて取る二椀(ふたわん)の雪が歌われていて胸が熱くなる。

 「どうかこれが天上のアイスクリームになつて/おまへとみんなとに聖(きよ)い資糧をもたらすやうに/わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ」