映画と原作の関係とは | The Magellan

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映画「おくりびと」の原作といわれる「納棺夫日記」


その著者である青木新門氏のコラムを興味深く読み

ました。


以下が、その全文です。



3月25日付 北日本新聞夕刊「悠閑春秋」

 -後生の一大事-

 「最高に幸せな人生とは、生涯を通して安心して生きることである」

 これはローマ時代の哲人セネカの言葉である。誰もがそう願っているが、人生何が起きるかわからない。運よく不安の少ない人生を送れた人でも、老後の不安や死の不安に必ず直面することだろう。私はこの世を安心して生きるには、後の世も安心であることが絶対条件だと思っている。

 富山県内の葬儀は、現在も八○パーセント以上が浄土真宗で行われている。お通夜などで蓮如の御文(おふみ)「白骨の章」がよく読誦(どくじゅ)される。その中に「後生の一大事」という言葉がある。別の御文に「それ八万の法蔵を知るというども後世を知らざる人を愚者とす。たとひ一文不知の尼入道なりというとも後世を知るを知者とすといえり」とある。

 人は先行き不安だと今を安心して生きれないものである。にもかかわらず、ほとんどの人は後生を一大事と思っていない。映画「おくりびと」では後生がカットされていた。私はシナリオの段階で「納棺夫日記」を原作とすることを拒否して封印したのも、「後生の一大事」を書いた第三章が完全に削除されていたからであった。

 しかしマスコミにあぶり出されるようにして表に出てしまったが、今でも私は映画「おくりびと」は「おくりびと」、「納棺夫日記」は「納棺夫日記」だと思っている。

 作家・詩人 青木 新門