世の中は、不景気だった。
その、はずだった。
街工場の二代目に生まれた私にも、世の中の好景気風が生温かく吹いているのが感じられた。
そうこれが、のちに言われる、バブル景気到来の予兆であった・
そんなある日、学生時代の先輩に、誘われた。
私は、子供の頃からのサッカー少年で、高校の時にはインターハイまで出場した。
先輩は、当時キーパーだった。PKで森下先輩が両手を広げて守りに入ると、それは弁慶の仁王立ちと言われるくらいの迫力、巨体であった。
『おいタク。今晩、付き合えよ。ちょっと面白いところに連れてってやるから。』
私は、大きくうなずいた。
そして、その晩 先輩に連れられて行ったのが、通称PP、フィリピン・パブであった。
店に入るなり『イラッシャイ! マセェ~』とギコチナク且つ大きな声の出迎えに驚いた。
内心(なんだこりゃ、薄暗くてヤバくなぁ?)と思った。
とりあえずは、先輩のあとに続き、席までたどり着く。
しばらくするとボーイが
『ご指名は?』
すかさず先輩が
『おれ。あそこのレイナったっけ?・・・・こいつは初めてだからフリーで』と私を指差す。
そして、レイナとマリという女性が来た。
まわりを見回すと、まだ時間が早いせいか他に客は、まばら。でも(まだ午後6時半。4人も座ってんだ、この店) とも思った。
『ハジメマシテェ マリ デス』と彼女が握手を求めてきた。
『あっ。どうも』と私も答える。
ヘアスタイルは、日本人のそれにはない、まるでオカメインコのように前髪が斜め前方へ長く吊り下がっていて、何と言っても目が大きく輝いていた。
服装は、この手の店内なのでお約束の安っぽいドレスだが、明らかに日本人とは腰の位置がちがう。
彼女は、日本人っぽいが、先輩のレイナは完全に白人的、長椅子に座る10名ほどの女性は白から茶色そして黒と、まるで多国籍に見える。
まず、最初にわたしの方から
『はじめまして、日本語大丈夫?』
『ハイ。ダイジョウブデス。』
(よかった)
『このお店の女の子は、どこの国の人が多いの?』
『ミンナ ピリピンジン デス。』
(フィリピン人って様々な人種がいるのかなぁ?これじゃ、見分けつかないや)そう思った。
ここから、しばし彼女の質問が始まる。
①『コノオミセハ ハジメテ デスカ?』
②『オナマエハ?』
③『ナンサイ デスカ?』
④『オシゴトハ イッショ?』
⑤『ピリピンノ オミセ ハジメテ?』
上から①はい。②タクマです。③23です。④いや別々だけど・・・⑤はい。初めてです。
そして、第二段!カーン
⑥『ケッコンハ シテマスカ?』
⑦『オシゴトハ ナンデスカ?』
⑧『ゴハン タベタ?』(・・?)
⑨『ドコニ スンデマスカ?』
⑩『ナニカ ウタ♪イマスカ?』
そして、⑥いいえ。⑦ん~ん。。自分で・・・(なに言ってんだろ)⑧食べたよ。⑨この近く。と答えた。
『⑩のカラオケ?・・・・歌うかぁ~って、まだ何も飲んでないじゃん。』
『君は何か飲まないの?』
すると彼女が私の耳元で囁く
『サラマット ポー。デモ ドリンク タカイ ダカラ、カワリニ シメイ イイデスカ?』
先輩の顔を見ると
『どうした。気に入ったら指名すればいいんだよ。そうすりゃ、他に指名客が来なければ、ずっとここに居るから。』
私は、彼女に言った。
『じゃあ、指名』
この時、微かに「カシャ」と音がしたような?しないような?とにかく彼女の万弁の笑みが降りかかった。
すると次の瞬間『チョット スイマセン』と言い彼女は中座しカウンター越しに消えた。
席に戻る彼女は、左手に小さなグラスを持って帰ってきた。そして、そのグラスに置いてあったウーロン茶を注ぐ。
『ウーロン茶でいいの?』
『ハイ。ダイジョウブデス。』
そして、ようやく
『乾杯』
ここまで来るのに5分・・・いや10分も費やしただろうか。
その、はずだった。
街工場の二代目に生まれた私にも、世の中の好景気風が生温かく吹いているのが感じられた。
そうこれが、のちに言われる、バブル景気到来の予兆であった・
そんなある日、学生時代の先輩に、誘われた。
私は、子供の頃からのサッカー少年で、高校の時にはインターハイまで出場した。
先輩は、当時キーパーだった。PKで森下先輩が両手を広げて守りに入ると、それは弁慶の仁王立ちと言われるくらいの迫力、巨体であった。
『おいタク。今晩、付き合えよ。ちょっと面白いところに連れてってやるから。』
私は、大きくうなずいた。
そして、その晩 先輩に連れられて行ったのが、通称PP、フィリピン・パブであった。
店に入るなり『イラッシャイ! マセェ~』とギコチナク且つ大きな声の出迎えに驚いた。
内心(なんだこりゃ、薄暗くてヤバくなぁ?)と思った。
とりあえずは、先輩のあとに続き、席までたどり着く。
しばらくするとボーイが
『ご指名は?』
すかさず先輩が
『おれ。あそこのレイナったっけ?・・・・こいつは初めてだからフリーで』と私を指差す。
そして、レイナとマリという女性が来た。
まわりを見回すと、まだ時間が早いせいか他に客は、まばら。でも(まだ午後6時半。4人も座ってんだ、この店) とも思った。
『ハジメマシテェ マリ デス』と彼女が握手を求めてきた。
『あっ。どうも』と私も答える。
ヘアスタイルは、日本人のそれにはない、まるでオカメインコのように前髪が斜め前方へ長く吊り下がっていて、何と言っても目が大きく輝いていた。
服装は、この手の店内なのでお約束の安っぽいドレスだが、明らかに日本人とは腰の位置がちがう。
彼女は、日本人っぽいが、先輩のレイナは完全に白人的、長椅子に座る10名ほどの女性は白から茶色そして黒と、まるで多国籍に見える。
まず、最初にわたしの方から
『はじめまして、日本語大丈夫?』
『ハイ。ダイジョウブデス。』
(よかった)
『このお店の女の子は、どこの国の人が多いの?』
『ミンナ ピリピンジン デス。』
(フィリピン人って様々な人種がいるのかなぁ?これじゃ、見分けつかないや)そう思った。
ここから、しばし彼女の質問が始まる。
①『コノオミセハ ハジメテ デスカ?』
②『オナマエハ?』
③『ナンサイ デスカ?』
④『オシゴトハ イッショ?』
⑤『ピリピンノ オミセ ハジメテ?』
上から①はい。②タクマです。③23です。④いや別々だけど・・・⑤はい。初めてです。
そして、第二段!カーン
⑥『ケッコンハ シテマスカ?』
⑦『オシゴトハ ナンデスカ?』
⑧『ゴハン タベタ?』(・・?)
⑨『ドコニ スンデマスカ?』
⑩『ナニカ ウタ♪イマスカ?』
そして、⑥いいえ。⑦ん~ん。。自分で・・・(なに言ってんだろ)⑧食べたよ。⑨この近く。と答えた。
『⑩のカラオケ?・・・・歌うかぁ~って、まだ何も飲んでないじゃん。』
『君は何か飲まないの?』
すると彼女が私の耳元で囁く
『サラマット ポー。デモ ドリンク タカイ ダカラ、カワリニ シメイ イイデスカ?』
先輩の顔を見ると
『どうした。気に入ったら指名すればいいんだよ。そうすりゃ、他に指名客が来なければ、ずっとここに居るから。』
私は、彼女に言った。
『じゃあ、指名』
この時、微かに「カシャ」と音がしたような?しないような?とにかく彼女の万弁の笑みが降りかかった。
すると次の瞬間『チョット スイマセン』と言い彼女は中座しカウンター越しに消えた。
席に戻る彼女は、左手に小さなグラスを持って帰ってきた。そして、そのグラスに置いてあったウーロン茶を注ぐ。
『ウーロン茶でいいの?』
『ハイ。ダイジョウブデス。』
そして、ようやく
『乾杯』
ここまで来るのに5分・・・いや10分も費やしただろうか。