先日より十数年前に完成させた作品群の再生を進めているのですが、それに関連してガレージキット(レジンキャストキット)の完成後の劣化について書いてみたいと思います。
模型に限らずどんな物にも時間の経過による劣化はあるものですが、模型、ことにガレージキットの劣化は塗装表面と接着部分に集約されると言ってかまわないでしょう。
塗装面の劣化とは光線による変色や退色、空気中の埃や湿気、カビなどによる汚れで、これらはプラモデルであっても起こる可能性はあるものです。
現在再生中の『セーラームーンシリーズ』の中から、未処置のセーラームーンです。
これが制作後十数年経った状態ですが、全体にくすんだ色味になっているうえに退色によって肌色がほとんど分からなくなっています。また、アーマーやグローブの白い部分に汚れが出ているのがわかります。
退色はとくに青系の塗料が顕著です。
マーキュリーのブーツ
接着部分の劣化については、正しくは(ガレージキットに使用する)瞬間接着剤の劣化であるため、溶剤系接着剤で溶着させるプラモデルや、ガレージキットであってもエポキシ接着剤を使用する場合は関係ないものとなります。
瞬間接着剤は短時間で強力な接着効果が得られるうえに化学反応による接着であるため溶着できないレジンキャストやソフトビニールなども接着できる便利なマテリアルですが、反面いくつかの弱点も持っています。
その一つに『ガラス化現象』というものがあり、これは固着している接着剤が経年変化により脆くなってまさしくガラスのようにパリパリと砕けてしまう現象で、これがここで言う『接着面の劣化』です。そのため完成時にはガッチリ接着出来ていた部分も何年か経つと普通に引っ張る程度で簡単に外れてしまうのです。
これらの劣化は保管方法や環境などで軽減させることもある程度は可能でしょうが、それでも完全に防ぐことは出来ず、悲しいことですが精魂込めて制作した作品が時の流れとともに見るも無残な姿となってしまうという訳なのです。
それを『ガレージキットの寿命』と言ってしまえばそれまでですが、それでもなおその作品に愛着を持っているなら、一度元の状態まで戻したうえで再度組み立て塗装をして、きれいな姿に甦らせてあげるのも選択肢の一つではないかと思うのです。
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