レディ・マドンナ / ジ・インナー・ライト / (1968年)    収録  シングル
 パスト・マスターズ / (1968年)  収録
 邦題「レディ・マドンナ」  レノン / マッカートニー
 ポール・マッカートニー作の楽曲

 リード・ヴォーカルはポール。
 ポール、ジョージのユニークなコーラスは紙を口に当てて歌ったもの。
 17枚目のオリジナル・シングル   全英1位。
 
 67年までのサイケデリックなサウンドから一転、ジャズ系のサックス奏者を4人起用し
 50年代のロックンロール調へと転換している。  歌詞に登場しない曜日がある。
 



   The Beatles - Lady Madonna 
  


 ■ レディ・マドンナ

 レディ・マドンナ 子供たちを大勢かかえこんで
 いったいどうやって採算を合わせるんだい
 家賃はどこから捻出するんだろう
 金は天から降ってくるとでも思ったのかい

 金曜の晩はスーツケースも持たずにやってくる
 日曜の朝は尼僧みたいに忍び入る
 月曜の子供はやっと靴ひもを結べるようになる
 あの子たちが走ってくのをごらんよ

 レディ・マドンナ 赤ん坊に乳をやりながら
 ほかの子供たちをどうやって養おうかと思案顔

 あの子たちが走ってくのをごらんよ

 レディ・マドンナ ベッドに横になり
 頭の中に流れる音楽を聴いてごらん

 火曜の午後は果てしなく長い
 水曜の朝は新聞が来なかった
 木曜の晩 君のストッキングは穴だらけ
 あの子たちが走ってくのごらんよ

 レディ・マドンナ 子供たちを大勢かかえこんで
 いったいどうやって採算を合わせるんだい

                   訳 : 内田久美子




 「最初のイメージは聖母マリアだったけど、多難に耐える労働階級の女性に捧げる歌になった。
 歌はファッツ・ドミノふうだ」 (ポール)

 サイケデリックに明け暮れた67年を超え、68年初のシングル(3月15日発売) として発表された
 オールドスタイルのロックナンバー。

 ポールの父親はトラッド・ジャズを演奏するミュージシャン。 
 父のもとでハンフリー・リトルトンの “バッド・ペニー・ブルース” を聴いたに違いない。 
 そのピアノのパターンを拝借。 そこにリトル・リチャードを介したニューオリンズR&Bへの憧
 憬を絡めて仕上げたのがこの曲。

 単純なR&Bのようだが、転調を活かすメロディや管楽器の音色を真似るコーラスなど ビート
 ルズならではの洒落も盛り込む。 へヴィなシャッフルに対峙するワイヤー・ブラシのスウィン
 グも効果的。 ジャズ奏者、ロニー・スコットによるモダン・テナーの正統と言うべきソロを促し
 ている。 決め手はポールのブギ・ピアノ。 左利きならではの強力な乗りに戦前のチャール
 ストンさえ想起する。 が、総じてファッツ・ドミノへのオマージュのよう。

 同年、その御大は貫禄のカヴァーを生む。 
 ポールのバリトンぎみの歌声にはエルヴィスを思う。 
 その御大もカヴァーを披露している。 (マッド矢野) 
 








  
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