ゲット・バック / ドント・レット・ミー・ダウン / (1969年) シングル  収録
 レット・イット・ビー / (1970年)  収録
 12作目のオリジナル・アルバム
 バスト・マスターズ / (1988年)    収録
 邦題「ゲット・バック」 レノン / マッカートニー  作
 ポール・マッカートニー作の楽曲

 リード・ヴォーカルはポール。
 リード・ギターとパッキング・ヴォーカルはジョン。
 ビリー・プレストンがキーボードで参加。
 ポールの思いがストレートに反映されたスワンプ・ロック。
 19作目のオリジナル・シングル 英・米 チャート1位記録。




  The Beatles - Get Back  Rooftop Conceat,  1969



 ■ ゲット・バック

 ジョジョは自分を孤独な男と思ってたけど
 それも長くは続かないのを知っていた
 ジョジョはアリゾナ州ツーソンの故郷をあとに
 カリフォルニアの葉っぱ(ダラス) をめざした

 帰れよ 帰ったほうがいい
 おまえがもともといた場所へ帰れ
 帰れよ 帰ったほうがいい
 おまえがもともといた場所へ帰れ

 かわいいロレッタ・マーティンは女を自認してたけど
 所詮はただの男だった
 お仲間の “女性” たちが口を揃えてあとで泣きを見ると言うのに
 彼女は今のうちに楽しんでおくつもりだ

 帰れよ 帰ったほうがいい
 おまえがもともといた場所へ帰れ
 帰れよ 帰ったほうがいい
 おまえがもともといた場所へ帰れ

             訳 : 内田久美子



 ライヴを捨て、レコーディング・アーティストに徹する道を選んだビートルズだったが、人間関
 係を筆頭とする様々なトラブルを抱え行き詰まりを見せてしまう。 そんな中、バンド内に持ち
 上がったのがライヴへの “原点回帰” であり、ゲット・バック・セッションを牽引する重要な役
 割を担ったのがこの曲だった。
 
 しかし、このプロジェクトはメンバーの関係不和もあり暗礁に乗り上げ、ビートルズ有終の美を
 飾った傑作「アビイ・ロード」完成後に膨大なマスター・テープがフィル・スペクターに丸投げさ
 れ、数々のオーヴァーダヴの末に「レット・イット・ビー」としてようやく発売された。
 ただしこの “ゲット・バック” は混乱をすり抜け69年4月にシングルとしていち早く発売されてお
 り、英米ともに1位の大ヒットを記録している。

 原点回帰というテーマに相応しいビートルズ流ロックンロールを聴かせてくれるナンバーだが
 リンゴ・スターのダブル・ストロークにより刻まれるリズムが醸す疾走感など、シンプルな中に
 も非凡なものを感じるのはさすが。 

  映画「レット・イット・ビー」にも捉えられたアップル・オフィス屋上でのライヴでフィナーレを飾っ
 た。 つまり “ゲット・バック” こそがビートルズにとって最後のライヴ演奏曲であり、皮肉にも
 バンドの終焉を告げる曲となってしまったのである。 (犬伏 功)

 1969年1月30日、真冬の寒々とした曇り空のもと、昼休みのロンドンに突然ビートルズの生演
 奏が鳴り響いた。 映画「レット・イットビー」における最大の見せ場となったアップル・ビル屋
 上でのライブ(ルーフbトップ・コンサート) である。

 しかもただのライブではない。 オフィスや商店の立ち並ぶロンドンのど真ん中で、予告なしに
 始まったゲリラライブである。 道行く人々は驚いて足を止め、音のする方向を見上げる。
 警察に騒音の苦情が寄せられ、それを受けてやって来た警察官が演奏をやめさせようとする。

 偶然とはいえ実にスリリングな瞬間が映像に残されることになった。
 行き詰まっていた企画を救うために行われた、過去に例のないゲリラライブ。 
 運も偶然も見方につけ、何をやっても新境地を開いてしまうところがビートルズらしい。
 (山川真理)





  
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