イニュエンドウ / (1991年)  収録
 邦題「ドント・トライ・ソー・ハード」  クイーン   作

 生前のフレディが残した最後のアルバム、第14作 『イニュエンドウ』に収録された。
 作者のクレジットはクイーンになっているが、主にフレディが中心になって作ったと言わ
 れている。
 フレディは当時 (1990年ごろ)、医療レベルでは絶望と言える病、エイズに冒されていた。
 自らの命の炎が尽きそうになっていることを自覚しながら、彼はこんな歌を作り、歌った。
 そう考えただけで切なくなってくる曲だ。 (吉田俊宏) 
 






 ■ ドント・トライ・ソー・ハード

 きみが何かを探しているとしても
 そんなに必死になることはない
 無力感を感じているとしても
 そんなにがむしゃらになることはない
 いろんな問題が山積みで
 なんらかの解決策が必要だとしても
 明日まで放っておけばいい
 そんなに焦ることはない

 つまずいて
 落ち込んだとしても
 それほど長くつづくわけじゃない
 しくじっても不平などこぼさずに
 幸運の星に感謝するんだ
 一口ひとくちを楽しんで味わい
 一瞬一瞬を大切にするんだ
 きみのまわりを嵐が吹き荒れても
 今いる場所にじっとしていることだ

 そんなにがんばるな
 気に病む必要なんかない
 愚か者にかぎって いろんなルールを作りたがるもの
 だから 必死になることはない

 いつの日か 特務曹長になれば
 きみは得意になって
 血なまぐさい命令をがなり立てるんだろう
 あんまり大声で怒鳴るなよ
 きみはボタンを金ピカに磨きあげ
 よく見せようとめかし込む
 だけど 群衆のなかから突出するために
 それほど努力したわけではない

 あぁ なんて美しいこの世界
 これが僕の人生なのか
 あぁ なんて美しいこの世界
 これぞ 僕のありのままの人生

 そんなにがんばるな
 気に病む必要なんかない
 こんなルールを作りたがるのは愚か者だけさ
 必死になることはない
 がんばる必要もない

                 訳 : 山本安見