先日よりこちらのブログで、私が代表を務めています大阪堀江のパーソナルジム「W-GYM」の契約トレーナー向け勉強会のレポートをアップしております。
新型コロナウイルスが我々フィットネス業界にも甚大な影響を与えている中、情報をシェアすることで同業の皆様にほんの少しでもお役に立てればと思います。また同業の方に限らず今回の感染拡大の伴う経済への影響は他人事ではないでしょう。前回(3月27日)に実施した勉強会では、まさにそんな社会情勢から考えた時により重要となるフィットネスやトレーニングに対する考え方を探るものとなりました。
まさにタイムリーな話題ですが、私たちは日常の中で多くのストレスを抱えています。厳密に言えばストレスとは刺激に対する反応であって、その刺激(ストレスの原因となるもの)はストレッサーと呼ばれます。ストレッサーがあるから心身が成長するのは間違いなく、困難や挑戦は乗り越える事が出来れば素晴らしい反応が生まれるものです。ストレスへの対処方法をコーピングと呼びますが、このコーピングが上手であればストレッサーは正の刺激となりますが、上手く出来ない場合は負の刺激となり、負のストレス反応が発生していまいます。
例えば、職場や家庭での不良な人間関係、金銭的な問題、電子機器や電磁波と隣り合わせの生活、添加物過多の食生活などへのコーピングは非常に困難です。上手く対処できているつもりでも、肩こり、腰痛、月経不順などの身体的愁訴や、不安やイライラと言った精神的愁訴を知らず知らずのうちに抱えているケースは非常に多く見受けられます。
私たちパーソナルトレーナーは主に筋トレ等の運動を指導することを生業としていますが、この様に上手くコーピング出来ていないお客様に対してただ負荷を与えるだけのワークアウトセッション(と呼んでよいかは不明ですが…)を提供するのは、更なるストレッサーの提供にしかすぎず、その場では気持ちがスッキリしたり身体が軽くなったりするかもしれませんが根本的な問題解決には至らない少々稚拙な運動指導と言わざるを得ません。
パーソナルトレーナーはお客様のプライベートな部分に土足で踏み込んではいけませんが、どの様なストレスを抱えておられるのかは、ある程度身体の状態を見た時に把握できるべきです。普段からストレスフルな状況にあるお客様は、その状態が普通だと思っておられますから単純に「元気ですか?」と聞けば「元気です」と答えられるでしょう。しかしその答えに騙されてはいけません。何故ならその感覚は正常な感覚から多少のずれがあるからです。語弊を恐れずに言えば、感性が低い、すなわちセンスがない状態であると言えます。何かにずっとイライラしていたり、不安な気持ちになっていたり、焦っていたり、そんな状態で日々過ごしている方が、自身の状況について正常に判断できるとは考えにくいのです。
自律神経は興奮を司る交感神経と、リラックスや消化を司る副交感神経に分類されますが、こういった方は交感神経優位である時間があまりにも長くなっています。交感神経は筋を緊張させます。これは運動をする際に優位になるのが正常ですが、気合いを入れて運動をする必要もない状況にある時にあからさまに優位になっているのは、自律神経の乱れと言って差し支えありません。そんな人にまたただただ運動をさせる(重たいものを持たせたり追い込んだりすること)なんて狂気の沙汰です。落ち着いていない人に、「フォームを意識しましょう」なんて、ちょっと何言っているのか分かりません。
こういった状況であれば、センスが下がっていますから、そのセンスを高めるべくワークアウトセッションを進めるべきでしょう。副交感神経を優位にしたければ例えば深呼吸です。思ったよりも呼吸が浅くなっている人が多いです。そういう人は恐らく肩が挙がっています。肩こりを訴えている人も多いのではないでしょうか。もっと厄介なのはそれすら気付けていない状態ですが、それを気付かせるのが私たちの仕事です。口から細く長く、感覚的には思ったよりもずっと長く息を吐き、吐き切ったら鼻から目いっぱい空気を吸い込みます。リラクセーション系の音楽を流しておくなどの工夫も必要かも知れません。
次に時間の共有です。1秒は万人に対して等しく1秒です。しかし交感神経優位の人はカウントが速くなる傾向にあります。タイマーなどを使って時間を共有しましょう。30秒ストレッチをするなら、30秒を共有するのです。そうすれば自分の時間感覚がズレていることに気付いて頂けるでしょう。
そんな風にしてセッションを丁寧に進める事が出来ても、それだけでは根本的な解決には至りません。適切なコーピングを伝えましょう。しかしいきなり職場を変えましょうとか、家族と離れましょうとか、電子機器を捨ててください、等とは言えるはずもありません。私たちがアプローチできるとしたら、普段の食事です。
なるべく彩り豊かな食卓にするとか、コンビニ食を避けてみるとか、色々な手法がありますが対処法は千差万別です。出来そうなことから始めて頂きましょう。
「You are what you eat」=「あなたは食べ物で出来ている」ということが理解できれば、心身の問題は食にあると考えて然りです。結局のところ、適切な食事と、適切な睡眠と、適切な運動が生活の質(QOL)を向上させます。運動だけ無理矢理生活の中にねじ込んでも仕方がないのです。体型を整えたければ、生活リズムを整え、食事を整えるべきなのです。筋トレや美ボディなんて言うのはその先ですが、前段階が整備されれば後はとんとん拍子に事が進みます。大切なのはベースだと言うことですね。
QOLが向上することでセンスは格段に高まり、適切な食材の選択や、入浴や睡眠時間の確保など、身体にとってよいと考えられる行動を取れるようになります。それと同時に危険から回避する行動も取れるようになります。つまり適切なコーピングということです。
日常のあらゆるところでセンスが問われています。私が偉そうに言えた立場かは分かりませんが、非常時にもある程度落ち着いて対処できるセンスは身に着けておきたいものですね。
