大震災からの復興への道 提言 | 前田武志オフィシャルブログ「まえたけだよりweb版」Powered by Ameba

大震災からの復興への道 提言

東北関東大震災からの復興を目指し、再生可能エネルギー導入の早急な実現を求めてきた前田武志ですが、このほど日経新聞ウェブ版の会員用ページに掲載されました。


前田武志オフィシャルブログ「まえたけだよりweb版」Powered by Ameba
(日経新聞ネット版に掲載されました)


会員登録されておられない方もおられると思いますので、日経新聞者の担当記者さんの許可を得て、下記の通り、転載させて頂きます。


**以下、本文**


「再生エネの買い取り義務付けを」

民主・前田参院予算委員長

大震災と電力供給 与野党議員に聞く(3)


東日本大震災や原発事故の影響で、東京電力管内では今夏の電力供給が大幅に不足する見通しだ。


節電や、応急的な電力供給力の上積みが検討されているが、この時期にこそ、幅広い観点からエネルギー政策を抜本的に見直すべきだという意見もある。


電力問題に通じた与野党議員に考え方を聞いた。


第3回は民主党の前田武志氏(参院予算委員長)。


民主党は政権交代を果たした2009年の衆院選マニフェスト(政権公約)で、低炭素循環型社会の実現に向けて主に3つの点を訴えた。


まず再生可能エネルギーについて、電力会社に買い取りを義務付ける固定価格買い取り制度を導入する。


次に耐震補強改修や太陽光パネル、断熱材設置といった省エネルギー改修工事を支援することで、環境に優しく質の高い住宅の普及を促進する。


前田武志オフィシャルブログ「まえたけだよりweb版」Powered by Ameba


そして、エネルギーの総供給量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに10%程度まで引き上げる。


【提言】


○再生可能エネルギーについて、電力会社に買い取りを義務付ける固定価格買い取り制度を導入する。


○耐震補強改修、太陽光パネル、断熱材設置などの省エネルギー改修工事を支援する。


○再生可能エネルギーの割合を2020年までに10%程度まで引き上げる。


幸い09年に政権交代を果たすことはできたが、マニフェストで掲げたこれらの政策の実現は正直言って、なかなか進まなかった。


1つの省庁だけでは実現できず、多くの省庁の調整が必要だが、それ故に各省庁にとって政策実現に向けた動機が働きにくかった。


民主党政権にも官僚という政策の実施機構のベクトルを180度切り替えて実行させるだけの力がなかった。


しかし、3月の東日本大震災の発生を機に、政治の状況は大きく変わった。


野党はそれまで菅内閣を追い込むことに全力を挙げていたが、国難を乗り切るのが政治の責任と受け止め、私が委員長を務める参院予算委員会での質疑も建設的なものに変わった。


さらに、再生可能エネルギーの普及に本腰を入れるべきではないかという意見をどの政党も持ち始めた。


これまで現実に動いている経済社会を一気に方向転換させることは難しかったが、今こそ各党が一緒になってなおざりになっていたエネルギー問題の解決に取り組んでいくべきだ。民主党としては当然、マニフェストで訴えていた3つの政策をまずは実現する必要がある。その際、被災した東北地方には前倒しで制度を適用し、早期の復興を後押しするのが望ましい。


政府の動きが鈍いなら、私は各党に呼びかけて議員立法で実現するのもいいと思っている。


【提言】


○被災地には上記の3つの政策を前倒しで適用する。


○超党派の議員立法での実現も視野に入れる。


環境に優しく質の高い住宅の普及の促進を例にとって考えてみよう。


第2次世界大戦後の日本の住宅政策は新築住宅の支援に偏っていた。


そのため、サラリーマンがローンを組んでせっかく取得したマイホームも、平均して約25年がたつと資産価値がほとんどなくなってしまっていた。


耐震改修や省エネルギー改修工事を実施することで、50年も100年も使えるようにして資産価値を向上させるのが目的だ。


住宅の断熱化によって、消費電力の削減にも寄与できる。


被災した東北地方は寒冷地なのでより効果は大きい。何より、リフォームには製材所や工務店、電気工事業者など地元のあらゆる職種が関わることになる。


日常生活にまず必要な「住」をその時代の環境に合わせていくことで、地域の雇用が継続する。


そんな好循環を、今回の震災復興の局面でも作り出していくべきだ。


民主党は年間250万戸の住宅改修を掲げているが、ドイツでも補助金などの政策誘導によって年間150万戸のリフォーム需要が発生した。


人口や既存の住宅戸数を考えれば、5700万戸の既存住宅がある日本で、年間250万戸の改修は十分実現可能な数字だ。


再生可能エネルギーの割合を10%に高める目標についても、震災からの復興を契機を一段と加速していくべきだ。


例えば、被災地域の役場や公民館を建て直す際に太陽光の発電パネルを設置したり、地元の住民が集まって再生可能エネルギーのミニ発電会社を設立したりする。


ミニ発電会社の設立や運営資金のために、再生可能エネルギー基金のようなものを作って、東北以外の地域からも出資できるようにすれば資金も回っていく。


大手の電力会社が巨額の投資で作るのではなく、地域の住民が分散的に小さなエネルギー会社を作り、その集積で再生可能エネルギーの割合を少しずつ高めていく。


それが地域の継続的な雇用を生み、地域再生にもつながっていくというイメージだ。


これらの政策は民主党の政策調査会や各部門会議を通すと、実現が遅れる場合もあるだろう。


何も政権与党が必ず主導権を取る必要はない。私も各党と話をし、協力し合いながら、エネルギー政策の転換と大震災からの復興に尽力していきたいと思っている。


【提言】


○被災地の役場や公民館を再建する際に、太陽光発電パネルを設置。


○被災地の住民が集まって再生可能エネルギーのミニ発電会社を作れば、雇用を生み、地域再生にもつながる。