議連報告-2 村上敦さんの報告を受けて | 前田武志オフィシャルブログ「まえたけだよりweb版」Powered by Ameba

議連報告-2 村上敦さんの報告を受けて

再生可能エネルギー・省エネ技術促進議員連盟を4月12日に開催いたしました。


昨日のブログで紹介した市瀬慎太郎さんに続き、村上敦さんが講演してくださいました。


【村上敦さんのホームページ】


演題は「ドイツの戦略から学ぶ~再生可能エネルギーの大々的推進と省エネルギーの推進~」です。


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(講演をする村上敦氏)

要旨を列挙すると下記の通りです。


【今夏の電力不足に対して】

・今夏不足すると予想される電力出力は800万~1500万kw。


>ドイツでは昨年1年間で740万kw相当の太陽光発電パネルを設置。平和なドイツでできたのだから、危機下の日本なら随分効果があるはず。少なくとも夏の電力需要は太陽光発電に適した熱い昼のクーラー需要。太陽光発電は夏の電力使用ピーク時に効果を発揮するだろう。


【地方の雇用について】


・東北関東大震災による被災者の雇用は喫緊の課題。


>ドイツでは再生可能エネルギー分野への投資額265.7億ユーロ(2010年/内太陽光発電73%)。雇用は36万人(2010年/内太陽光発電約10.8万人)に上る。


>太陽光発電の設置によって生み出される雇用は、全体の約60%が地域(設置、メンテナンス等)。震災復興において雇用と同時にエネルギー確保にも直接つながり、是非推進するべき。


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(太陽光パネルを載せたドイツのヴぉーバン住宅地区)


【ドイツにおける再生可能エネルギー導入への道のり】


・ドイツの再生可能エネルギー投資をけん引したのは固定価格買取制度(フィード・イン・タリフ/FIT)の導入。


>FIT導入により再生可能エネルギーによる発電事業への投資環境が整い、太陽光発電機器に至っては機材価格が5年で約4割下がった。


>統合された東ドイツ地域に基幹産業がなかったため、太陽光発電の産業集積地とした。結果、雇用が生まれ、ドイツ経済をけん引し、東ドイツ地域を安定化させている。


>太陽光発電の普及により、改正であれば太陽光発電のみで電気需要量の40%を賄えるようになっている。


>当初高かった電力の買取り価格も急速に低下(2007年49.21セント/kwh→2010年41.73セント/kwh)し、消費者の負担も軽減傾向にある。


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(村上氏資料より)


【日本への提言:すぐにできること】


・電力危機のピークに対応するためにも、数年間限定で構わないので、ドイツで効果の実証された5‐10Gwp/年の太陽光発電を設置。(主体は非住宅用の中大型太陽光パネル)


>市場への投資インセンティブとして、(1)企業に対して損金扱い、減価償却対象とする、(2)投資資金を長たすするための公的、もしくは市民ファンドの確立、(3)損失が生じないよう、10年間の全量買い取り制度(約40円/kwh程度)の実施、(4)11年目以降の保証も当初より検討する。


【日本への提言:中長期的にすること】


・低燃費住宅を実現し、エネルギー使用量の根本的な低下を図る。


>ドイツを含む欧州に比べて日本の断熱基準(次世代断熱基準を含む)は非常に低い。ドイツでは超断熱高気密が義務(改築であっても断熱材は20センチ)。


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(ドイツで普及する20センチの断熱材)


>電気を使った発熱設備のできる限りの排除。例えば電気式蓄熱暖房機器の即時販売禁止と取替え補助、太陽光温水器、コージェネの大々的普及、多様なエネルギー源による給湯・暖房設備へのシフト。


・住宅の燃費を見える化するため、ドイツのエネルギーパスのような、ISO等国際基準に準拠した躯体性能表示の導入。ドイツでは不動産の売買、賃貸時に必ず住宅の燃費を消費者に提示しなければならない。


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(実際に日本のある工務店ではドイツのエネパスを取ったそうです)

>エネルギーパスを例えると、ある住戸を1年間21℃設定で維持した場合に必要な燃料代を表示するというもので、燃料代の高い安いが一目瞭然に分かるというものです。併せて、何をすれば更に燃料代が下がるかなども記載されています。



ドイツと日本では事情が違う、例えば日本の高温多湿な環境では一概に政策を論じることはできない、といったご指摘はあります。


しかしながら、だからこそ全てを否定する、のではなく、取るべきところは取り、修正すべきところは修正して採用する、という姿勢が必要です。


4月1日より以前ご紹介した「住生活基本計画(5年間の全国計画)」がスタートしました。


その中には低炭素化に向け、住宅の躯体性能の向上や、燃費の見えるかなどの方向性も明示され、政府としても村上氏の提案する方向に舵を切りました。


あとは「国民の生活が第一。」の大義の下、目先の利益に捉われず、公益、長期展望に立って進めて行くことが肝要です。


前田武志は村上氏の提言をしっかりと受け止め、震災地域の復興、再生可能エネルギーの普及、省エネ住宅の推進などに取り組んで参ります。