やっぱりメディアワークスの
一瞬ラノベに見えてラノベじゃないっていう温度の
エンターテイメント感が好きなのかなぁ。
という11月のラインナップ。12月もそうなる予定。

2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5564ページ
ナイス数:291ナイス



クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)
クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)感想
西尾維新、まともに読んだのは初かも。読みたい本はたくさんあるのになぜかきっかけがなかった。ので、最初は戯言シリーズでしょ、と、手を出してみた。独特の台詞回しがちょっと引っかかるけどミステリーとしては意外としっかり謎解きをする後半。金田一少年に似たような事件があったような…。けっこうしっかり首斬り事件なのに、重くならずサクッと読めてでも流れないのは西尾維新だからかな。女性の若い天才とオマケが集められた島で、何が嘘でどれが戯言か。主人公の1人視点のみで進められる話。うん、続きも手を出してみようかな。
読了日:11月1日 著者:西尾維新


バカの壁 (新潮新書)
バカの壁 (新潮新書)感想
今更ながら読んでみた。極端だったり、読みにくかったり、と言うとこもありつつ。メンタルブロックとでもいうのか、自分の無意識の決めつけと、"つもり"コミュニケーション、耳を傾けるとはどういうことなのか、など。ネットコミュニケーションが当たり前の今の方がより当てはまることも多い気がする。受け入れられない記載もたくさんあったけど、ここは意識して自分を把握してみたいことや、行動に起こす前の一呼吸で考えてみたいことなどたくさんあった。いずれまた再読する気がする。
読了日:11月2日 著者:養老孟司


緋色の習作 (シャーロック・ホームズ全集)
緋色の習作 (シャーロック・ホームズ全集)感想
実は初シャーロック・ホームズ。読みにくいとこもあるし、当時の解釈を忠実に、ということて理解したところもあるが、一言でまとめると気分はワトソン君で一気読み。深夜に海外ドラマでやってたやつも見てないけど、合わせてちょっと読みたい観たいな。この本は注釈が半分弱あってまだ読みきれてないけど、その注釈も面白い。著者がロンドンに詳しくないからかけるロンドン、か。人によっては訳を受け付けないとか聞いたけど、初のおかげかそういった引っかかりはなくてよかった。全8巻?トライしようかな。
読了日:11月4日 著者:アーサー・コナンドイル


まざあ・ぐうす (お風呂で読む文庫 65)
まざあ・ぐうす (お風呂で読む文庫 65)感想
思ってたのとちょっと違って怖いというか嗜虐的というか、そういったものが結構混ざってておどろき。日本語にした時点でニュアンスや韻の面白さが変わってるのを意訳して韻やリズム感を保ってる分意味が難しい、みたいな感じなんだろうな。残念ながら英読が私はできないのですが、英読できる人は英語で読んだ方が楽しめそう。
読了日:11月4日 著者:北原白秋


レトリカ・クロニクル 香油の盟約 (メディアワークス文庫)
レトリカ・クロニクル 香油の盟約 (メディアワークス文庫)感想
童話的ファンタジーと、妄想的理想論の根源性善説的?な雰囲気は変わらない。今回は驚いたのは「殺人事件」と「守って死ぬ」というところがあった点。「実は生きてました」があっちだったのは物語の進行上必須だったけど。獣人という存在の能力とそこから紡がれるもの、人との共存共栄は教義によってプレゼンテーションを変える必要があるという、レトリックというこの小説のテーマとして「宗教思想」を入れてきたのも面白かった。が、世界観としては前巻の方が個人的には好み。長く感じる場面が多かった。けど続きが出たら読んじゃうんだろうな。
読了日:11月5日 著者:森日向


ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)
ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)感想
先に虐殺器官を読んだ方が楽しめた気がする。マークアップ言語で綴られる意味はラストに来て意味の深さに感動。「優しさ」で「真綿で首を絞められる」ような世界、ユートピアが臨界に達するとディストピアになり、更に突き詰めていった先にあるのは意思の喪失。人の存在をリソースとして共有する世界を突き詰めた先に見つかった「我思う故に、」の結末で袂を分った研究組織と、そこが起点となっての親友の死、カリスマとの再会、父との再会と死。清廉潔白なはずの上司の正体と希望。そして、主人公の行動原理は世界のためではなく「個」の復讐。か…
読了日:11月9日 著者:伊藤計劃


虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)感想
テロと先導者と虐殺、管理社会と暗殺、というテーマで冒頭からラストまで綴られているのに、ものすごく柔らかくて繊細な本だった。なぜ「器官」という漢字を使うのかも意味がすごい。母の「言葉」とジョン・ポールの「文法」。アレックスのいう「地獄」、暗殺のために必要な「痛みのマスキング」と「罪悪感のマスキング」。正義や理由を振りかざしても「殺」に対する責任と罪悪感はこびりつくものか、暗殺される権力者の心境が非常に人間臭い。ラストに驚くが、ジョンはなにを込めて「ぼく」に託したのか。ピザを食べながら「ぼく」は何を思うのか。
読了日:11月12日 著者:伊藤計劃


サマーウォーズ (角川文庫)
サマーウォーズ (角川文庫)感想
全編通しで見たことは無く。最初に登場人物の多さとつながり把握をにおわせる相関図にちょっと引いたものの、それ自体は苦ではなく。むしろ「家族」のつながりと暖かみが強く、ぶっとんでるけどほっこりする。家族で一緒にごはんを食べることの大切さ。仮想空間で暴走するAIが現実に影響を及ぼし、仮想空間のカリスマと旧家当主の国家レベルまで影響するカリスマが同じ家にいて。「それぞれができること」を全うしていくのはなかなかかっこいい。花札のシーン、1度の負けからのドイツのアバターからの流れはかなり感動する。映像も見てみよう。
読了日:11月16日 著者:岩井恭平


博多豚骨ラーメンズ (メディアワークス文庫)
博多豚骨ラーメンズ (メディアワークス文庫)感想
殺し屋という題材で、何故かなってしまった人と、勘違いで味方になった復讐屋と、探偵と刑事と情報屋に、最強の殺し屋殺し屋が実はやっぱり…で。政治家の権力と金とやっぱり殺し屋と。バカ息子と失脚と暗殺と。メディアワークスらしい虚実バランスはさすが。デュラララっぽくもあり、伊坂さんぽくもある気がする。あっさり沢山の人が殺されるのは意外。福岡につい最近行ったばかりで土地勘がなんとなくわかるのも楽しめた理由かも。野球は絡めるならもうちょいしっかり絡んで欲しかったな。続編も期待。あ、斉藤くんは結局辞めたのかな?
読了日:11月17日 著者:木崎ちあき


クローズド・ノート (角川文庫)
クローズド・ノート (角川文庫)感想
雫井さんというとミステリーのイメージがあったのでちょっと意外。序盤ですでに最期まで話の展開や人物の感情がわかるに、その人が選ぶ言葉がどう伝わっていくのかの波状効果というか、そういうものがすごく暖かい気持ちになって染みてくる、といった本。主人公は終盤一気に存在感が出てきて感動にもっていかえれるけど序盤は感情移入できず、ノートを開いていくとともにどんどん身近になっていく引き込まれ方もよかった。個人的に万年筆は好きなのでその辺の設定もよかった。「余分な話」が「ほどよい肉付き」。ノートの主のラストの言葉に感動。
読了日:11月20日 著者:雫井脩介


いつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)
いつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)感想
ショパンのピアノでしかも同じ曲なのに、ここまで演奏についてかき分けられるのが本当にすごいと思うし、岬先生のピアノを聞ける世界にいないのが残念。岬先生の発作、そしてそこからのノクターン。ショパンを実際に聞きながらゆっくり読んでみたいなぁ。最期には「あの子」も「出てきて帰ってきた」し、下諏訪さんがツンデレだし。ラストの城戸くん遠隔の謎解きはあっさり罪滅ぼしミステリー感、もう少し読みたかったなぁ。ドビュッシーやラフマニノフに比べると、ミステリー色がだいぶ薄く好みは分かれそう。犯人は消去法で読むと早めにわかる。
読了日:11月21日 著者:中山七里


博多豚骨ラーメンズ (2) (メディアワークス文庫)
博多豚骨ラーメンズ (2) (メディアワークス文庫)感想
方言の力なのか、ハードボイルドなシーンが非常にソフトな感触。前作よりもシーンとしては「殺し」が減って戦闘が増えた感。「代打オレ」がG.G.って非常にしびれつつなんていうオチをつけるのよ、と正体は分っていてもひと笑いもらって。「殺し屋殺し」屋を求めてフリーランスとコンサルタントが立ちはだかりつつ、やっぱり野球でもぶつかってくるのね、と。林がしっかり人間的に成長し、遊撃手としても成長していく姿が今回の筋なのか。安倍山本コンビのドタバタぶりと彼らが全部の事件に絡んでくる感、最期みんながバッタリは良いオチでした。
読了日:11月23日 著者:木崎ちあき


空の彼方 (メディアワークス文庫)
空の彼方 (メディアワークス文庫)感想
いってらっしゃい、と送り出す店主が客に求める3つの条件は、「おかえりなさい」と言うための約束。「防具職人兼防具屋の女の子」が軸だからもっとPRGっぽい話かとおもったらそうでもなく、お客さんの「旅」にまつわる心のやり取りのファンタジー。待つ身の辛さ、便りがない諦めと少しの希望と絶望。心の扉が少し開く瞬間を同性異性ともきっかけがあって、それが一方通行じゃない、このおっかなびっくり感はすごくわかる。ちょっと悲しい最期でもあったけど、そこから止まっていた心の時間が動き出して次巻にどうつながるか。
読了日:11月24日 著者:菱田愛日


空の彼方〈2〉 (メディアワークス文庫)
空の彼方〈2〉 (メディアワークス文庫)感想
「そう生まれてしまったのだから仕方ない、変えられないのなら武器にするしかない」というテーマが登場人物それぞれにのしかかってくる。そう思うと1巻は「不自由である自由」がテーマだった気がする。少し心を開いていくと、大切になるほど怖くなってくる、これもまた気持ちの動きとしてすごくよくわかる。師弟愛、家族愛、友愛、愛国、裏切り、いろんな愛情が最期の話に特に詰まってた。待つだけではなく離れていてもできることがある、考える人の力と無鉄砲でも動ける人の力、両方があって成し遂げられることもある。
読了日:11月25日 著者:菱田愛日


空の彼方〈3〉 (メディアワークス文庫)
空の彼方〈3〉 (メディアワークス文庫)感想
読後感は爽やか。たった1店しか対象が無い法という暴力に晒されたソラの店と、その暴力の理由が自分にあることを知るアルフォンス。マリアベルの想い人がアルフォンスの兄。マリアベルが個人として将軍に意見をし、将軍も個人としての暖かさをかけて、さらに・・・というこの続きが少しで良いから読みたかったなぁ。ソラの「許す」「許そうとする」強さは美しいね。ソラの言葉と想い、兄の存在を通じて家と父と向き合い、逃げてきた自分と戦うアルフォンス。母の故郷での出来事も通して誤解も溶け。最期の部屋のシーンはすごく光の存在が強く奇麗。
読了日:11月26日 著者:菱田愛日


博多豚骨ラーメンズ (3) (メディアワークス文庫)
博多豚骨ラーメンズ (3) (メディアワークス文庫)感想
エンドランとそのサインが鍵になる、林の過去の因縁からの一冊。榎田になんかフラグ立ってるよね。過去の因縁とかトラウマから今信じてるものがわかんなくなって恐怖に変わり、でもふと冷静に今を見ると重ねるのが馬鹿らしくなる、なんてことは現実にもよくある。G.G.の復活というか通信機から脱出の部分が今巻の中では好きなシーンかな。とはいえ、このシリーズは命の扱いが軽い側面があるのがちょっとツラいなぁ。話としては面白くて読んでしまうけど、間違って殺したとか、おびき出すために無関係の人から、とか、はちょと辛い。
読了日:11月28日 著者:木崎ちあき

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