3/3(日)すみだトリフォニーホールでフライハイト交響楽団のコンサートを聴きました

指揮は井崎正浩


井崎さんの指揮では別のアマオケをたくさん聴いて来ましたし

そのアマオケ(リコーフィル)を聴いてクラシックの名曲を楽しむのに十分なレベルのアマオケが存在することを知り

現在のアマオケ実演三昧生活のきっかけになったので

アマオケを振る最初の信頼する指揮者となった方で

フライハイト交響楽団を振っているのも知っていましたが

コンサートを聴くのは今回が初めてでした


曲目は

エネスコ ルーマニア狂詩曲第1番

バルトーク 舞踏組曲

ドヴォルザーク  交響曲第8番ト長調

(アンコール スメタナ 歌劇「売られた花嫁」〜「道化師の踊り」)


エネスコはエネスクとも書かれますね

フランスで活躍した時のフランス語名からエネスコと呼ばれることが多かったようですが

近年は母国のルーマニア語表記のエネスクと呼ばれることも多くなりました


「ルーマニア狂詩曲」第1番は色彩感豊かでオーケストラの各楽器の聴かせどころの多い華やかな曲

木管楽器ののどかなメロディで始まるとすぐにちょっと活発な音楽が現れ

今度は弦楽器で優雅なメロディが奏されると次は木管楽器が速いパッセージを吹くという具合に

音楽の様子がくるくる目まぐるしく変わって行く

狂詩曲という名前にふさわしく一つの場所に留まらない展開をみせます

真ん中辺で一旦テンポを落として弦のピチカートと共に後半に入ると一気にテンポ上げ

あと打ちの弦の伴奏に乗ってフルートのソロがノリノリでオーケストラを引っ張って行きます

音楽が盛り上がってきたところで金管楽器と打楽器の活躍も始まります

これでもかというくらい激しく盛り上げたあと木管楽器とシンバルによる静かな行進曲風の音楽になると

最後は全奏による2発の長いフォルテで派手に締めくくります

そんな曲の華やかさに溢れた魅力を井崎さんの指揮は見事に引き出していました

手持ちのシルヴェストリ指揮ウィーンフィルの名演のCDと比べても遜色ない良い演奏でした


バルトークの「舞踏組曲」はバルトークらしい難解な部分と親しみやすい部分が両方ある曲。全5曲

第1曲はファゴットを中心に方向感の定まらない音楽で始まり

まるで抽象画のような分かりにくさがありました

2曲目以降は民謡風のメロディも多く聴きやすくなります

オーケストラは井崎さんのリードの下引き締まった音楽を作り上げました


後半ははドヴォルザークの交響曲第8番ト長調

有名な第9番「新世界から」とは趣きの違う自然、森、鳥を感じせる曲で代表作の1つと考えます

オーケストラはこの曲が持つ様々なシーンを情景感豊かに演奏しました

井崎さんの解釈でユニークでハッとさせられたのが第2楽章

弦楽器の合奏でゆっくり重めのテンポで始まったあとに出てくるフルート

3音の上行音型と2音の下降音型×3のメロディが鳥の鳴き声を連想させるのですが

井崎さんはこのメロディをとても速く演奏させて

リアルな鳥の鳴き声に近づけるという方法を取りました

僕が今まで聴いできた全ての演奏で明らかにこうした手法をとる演奏はなく

もっとのどかな感じで奏されることが多かったので一瞬「アレっ」と思いましたが

すぐに鳥の鳴き声をリアルに表したかったんだなぁ、と指揮者の意図を理解しました!

アリだと思いました (^_^)


センチメンタルで優雅な第3楽章が終わると間を開けずに第4楽章に突入(こういう演奏法をアタッカと言います)

第4楽章はトランペットのファンファーレの後一旦ゆっくりしみじみとしたメロディで始まり

その後一気にギアチェンジして快速に飛ばして行く曲です

エンディングも猛スピードで駆け抜けるように終わります

盛り上がったまま終わるのが「新世界から」と違うところで親しみやすさがありますね


アンコールはスメタナ 歌劇「売られた花嫁」〜「道化師の踊り」

「売られた花嫁」は序曲が有名ですが他はあまり有名ではありません

手持ちのレコードやCDにもこの曲はありませんでしたので初聴きです

素朴感のある力強い舞曲で途中でティンパニをトリッキーなリズムで叩かせて道化師感を演出するところもありましたね

メジャーな曲にこだわらない選曲にセンスの良さを感じました


久しぶりに井崎さんの指揮を聴いて

そのクオリティとこだわりに改めて信頼できる指揮者だなぁと思いました


この時の演奏会がYouTubeで公開されています


ルーマニア民族舞曲



舞踏組曲



ドヴォルザーク   交響曲第8番

スメタナ 道化師の踊り