3/23(土)に錦糸町のすみだトリフォニーホールで新日本交響楽団のコンサートを聴きました
お目当てはヴァイオリン協奏曲のソロを務める戸澤采紀さんです!
曲目は
グリンカ 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調
ドヴォルザーク 交響曲第7番ニ短調
(アンコール スラヴ舞曲ホ短調作品72の2)
指揮は吉崎理乃(よしざき あやの 「吉」の字は正しくは上の「士」が「土」)
2019年に東京芸大指揮科に入学し現在大学院の1年次に在学中
「ルスランとリュドミラ」序曲は中庸なテンポの演奏
主旋律を弾くヴァイオリンの細かいパッセージが綺麗に揃っていて気持ちいい演奏でした
当日のメインであるヴァイオリン協奏曲の前に会場を温めるのに十分でした
シベリウスのヴィイオリン協奏曲はヴァイオリン協奏曲の中でいちばん好きな曲で
協奏曲全部の中でもいちばん好きな曲です
指揮者の吉崎さんとの短いアイコンタクトの後
静かな弦楽合奏の導入からすぐに始まるヴァイオリンのソロは
落ち着いたテンポでとても丁寧に一音一音を誠実に弾き上げていき
シベリウスの音楽に真正面から向き合っている感じで
一聴衆としても一音も聴き漏らすことなく自然に音楽に集中させてもらえる素晴らしい演奏でした (^_^)
今よりさらに若い頃からシベリウスを弾き続けているなかで深めて育てて来た豊かな音楽がここにあるんだな、と思いました
シベリウスのヴァイオリン協奏曲は色んなヴァイオリン協奏曲があるなかでも
オーケストラが引き立て役としての伴奏にとどまらず
ソロとオーケストラの一体感が強い魅力的な曲ですが
戸澤さんのソロがあまりに素晴らしいのでオーケストラのパフォーマンスに気を向けるのが疎かなるほどでした (⌒-⌒; )
逆に言えばオーケストラに何の不足もなかったのでヴァイオリンのソロに全力で耳を傾けることが出来て幸せな時間でした
第3楽章の最初のヴァイオリンソロのメロディは弾き方が難しいのか
有名なヴァイオリニストでも独特なイントネーション、訛りのような癖がつくことが少なくないのですが
戸澤さんの演奏はリズムの癖がなくフラットでスムーズに音がつながり紡がれていき
技術的な難しさを微塵も感じさせずにシベリウスの言いたい事だけを聴かせてもらった気がしました (^_^)
この曲の好きな場所の一つに
第3楽章の後半で音楽が一旦静かになったところで木管楽器を中心にオーケストラが裏で第1主題を演奏している上をヴァイオリンがフラジオレットという技法で口笛のような高音を奏でるところがありますが
戸澤さんはここではあまりフラジオレットを表立てずに普通の弾き方と差をつけずに演奏されていました
曲の最後のオーケストラとのやり取りがリズム的に難しいところも颯爽と決まり見事な締めくくりでした \(^o^)/
ソリストアンコールはバッハっぽくて
音楽がゆっくりと歩んで行き時々入る重音が美しく心が洗われるような曲、演奏でした
曲はたぶん「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」の中のどれかだろう?とは思ったもののはっきり分からず
いつもならホワイエの掲示を確認するのですが、うっかりし忘れて帰ってしまいました…
ネットのつぶやきを探すも細かい曲名まで触れているものが見つからずにモヤモヤしましたが
演奏した新日本交響楽団のサイトに記載があったのでようやく分かりました
曲は「バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番」〜ラルゴ でした
スッキリしました (⌒-⌒; )
コンサートの後半はドヴォルザークの交響曲第7番ニ短調
ドヴォルザーク の交響曲は個人的には7番以降の3曲が完成度が高いと思っていて
第7番は特に有名な第9番「新世界から」、第8番と同じぐらい魅力的な曲だと思っています
他の2曲と比べて音色的に地味で土の匂いを感じるぐらいですが
大地の壮大さを感じさせるドラマティックな部分と感傷的な美しいメロディのある名作です
吉崎さんの指揮は自然体で奏者へのサインも的確で
しなやかな動きでオーケストラの自発性を引き出しているように見えました
アンコールは同じくドヴォルザーク のスラヴ舞曲ホ短調作品72の2
哀愁のあるメロディが美しいスラヴ舞曲のなかでいちばん演奏される曲でした
聴衆の質も高くて演奏中に荷物をガサガサいじるような音もほとんどなく
音楽に集中できて幸せな時間を過ごせました
そういえば当日は雨だったのですが
ホール入口の手前でスタッフが傘の収納器具(鍵付き)の利用を促す仕事を一所懸命やっていましたね
元元僕は持ってきた傘をそこに入れるつもりでいたので真っ直ぐ向かいました
傘を客席に持ち込むと床が濡れたり、迷惑な置き方をする人も現れかねないので
そういうところまで気が使えるスタッフ、運営体制は素晴らしいと思います (^_^)