海の博物館 | ヨネダ設計舎のブログ

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20190419 

鳥羽市海の博物館で行われた、設計者である内藤廣さんによる講演会を拝聴しました.

『ここはすごいものが展示してあるんです.漁師の文化、時間がこんなに集まってきている場所はない.

だけど、すごすぎるものは、なかなか理解されないんです.

逆にとくに地元の方には。。。皆さんどうかよかった、とお伝えください.』


講演をとおして内藤さんの海の博物館への愛を感じました.


そして、建築に向き合う時、人、地域にも誠実に、正直に向き合ってこられたということも.

講演のかかりに、この博物館をつくられた棟梁を紹介し、30年前、このプロジェクトを担当した所員さんと棟梁が並ぶ写真も映され、当時の石原館長とのやり取りや、監督さんとのエピソードをお話ししてくださいました.


棟梁は寡黙に、すっと立たれて.


まさに、建築の設計、ひととの関係の設計、建ってからの関係、のすばらしさそのものを拝見しました.




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講演後の質問の際、学生が

『どうして収蔵庫に大きなエネルギーと時間をかけて設計されたのですか?普通収蔵庫といったら裏方で、人があまり見るものでもないから、一般展示棟にその労力をまわすのだと思うのですが・・・、いや、収蔵庫かっこいいと思いまして・・・』

と質問すると、

内藤さんは少し嬉しそうに、

『博物館は100年さき、200年さきの人に届けるものだと思っています.美術館というと少し違うかもしれないけど.僕も海の博物館で収蔵庫がいちばん好きなんです.』

と.

時間と建築について、素晴らしい話を聴くことができました.

その建築の時間.

でも、その射程が長ければ長いほど良い建築か、というとそういうわけではなくて、設計の中で、そのプロジェクト、建物に込めるその時間の感覚を考えること、想像することこそが大切なんだと気づかせていただきました.


講演が終わって、スミレ設計室の小林さんと二人で館内を見学していると、運よくこの建物を建てられた棟梁とご縁を頂き、非公開の収蔵庫に入らせていただいて、たくさんの話をお聞かせいただきました.


『予算が100のところが0やったらあかんけど、80やったら、自分の努力で何とでもなる.
内藤さんの図面を見て、情熱を感じた.この設計事務所、こんなしっかりした図面引いて、勘所も抑えとる.
これはやっかいな事務所やで.

”これはやるしかない.”』

と思ったと.



『海の博物館のメンテナンスや相談をボランティアで、って人に言われるけど、おれは好きで、やりたいからやっとるだけや!』

と。。。。



建築をつくることは人間関係をつくることだと、手本を拝見させていただきました.

それはつくっている時だけじゃなく.


それはお互いの信頼関係であり、建物に対する愛着であり、人の想いであると.

さらに


『自然の中に建てること.建築の形.社会の中で建てること.その情勢』


など熱い熱いお話をお聞かせいただき、魂のおすそ分けをいただきました.

『きみらこれからや!がんばれよ、』

と熱く、力強く握手をしてくださいました.


このような貴重な機会をつくってくださった、海の博物館さん、ありがとうございました!






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この日感動したことを忘れないように、自分の仕事はなにか、ということをいまいちど噛みしめ、設計というものを歩んでいきます.

自分が生きるということ、ご縁の中で.