みえ木造塾2017 実大実験 | ヨネダ設計舎のブログ

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20170909

みえ木造塾2017 4回目  

実大実験講義の日でした.

今年で14年目となる木造塾.

毎年実大実験を行っていくうちに、とてもマニアックな実験になっていました.

それはそれで面白いのですが、僕も含め、初期のシンプルな木の強度実験を体験したことのない塾生向け、と初期からの塾生の復習もかねて、直談判し、原点回帰ということで今年はシンプルな単純梁の実験にしてもらいました.

木、と言っても樹種、乾燥方法、節の状況、端部の状況によって耐力が異なります.

事前に会議にて木造塾センパイ運営委員のみなさまと、構造設計士 山辺先生にアドバイスをいただきながら試験体の種類を決定し資料を作成しました.




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あわせて、試験の実測値と、構造計算による値とを比べれるように3等分点集中荷重のたわみ検算用計算用紙も作成し、配布しました.

学校や資格試験などで学ぶ計算式と生の試験での実測値と木の動きかた、どちらも体験することで、計算による木構造をより身近に実感してもらおうという主旨です.





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講義は12時からですが、朝から集まって設営、準備.






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スギ・ヒノキ・ベイマツ  高温乾燥材、グリーン材、天然乾燥材・・・。


みんなそれぞれ表情が違います.


横に並べて見る良い機会でもありますね.






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含水率を測っているところ.


いろんな種類.いちばんひだりがぼくのです.


設計士により、それぞれ異なる含水率計の種類.なんだかジョジョのスタンドみたい・・・。






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ヤング係数を測る測定器 ウッディーくんで計測しているところ.




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木の質量、体積をもとに含水率を計算している木造塾大先輩の萩原さん.


博士みたいです.





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12時.講義開始.


山辺豊彦先生による木構造のレクチャーから.


いつも愛読している先生の専門書を片手に拝聴.


今回のテーマのひとつ.力の流れを想像すること.


その辺、基準法には規定されてませんから、いつもながら大変勉強になります.






1時間後、実験開始.





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樹種や乾燥方法による壊れ方の違いを肌で感じる事ができました.


ベイマツの強度がアタマ一つ抜けているのは驚愕でしたが、破壊は靭性の乏しい壊れ方でした.

節の位置が木の終局強度に大きく影響を与えることも実験に表れました.

今回各試験体の梁断面は120x180 スパン2700 でしたが、折れるまでに梁1本で40kN ~ 60kN耐えていて、木の終局強度の強さを目の当たりにしました.

これは実に普通車2~3台分の重量.

実際の計算ではたわみがスパンに対して変形増大係数をx2して1/250mm以内である事が求められるので、こんなに70㎜もたわむまでの構造検討はありえませんが、木という素材の生の特性を見ることができました.

材料の特性、終局状況を経験できたことで、設計時の強度の想像の解像度がかなり上がったように感じます.



よい講義でした.






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この日、休日出勤で試験をしてくださいました、三重県林業研究所の職員のみなさま、ありがとうございました!


東京から、毎年熱く、おもしろい講義と解説をしてくださる山辺先生、ありがとうございました.







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